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随想録(エッセイ)

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思ったこと。感じたこと。忘備録的な記録。など
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記事一覧

タオルの好きも千差万別

タオルの好きも千差万別

お風呂上がり、体についた滴をバスタオルで拭う。
柔らかいバスタオルに全身を包まれると、少し贅沢な気分になる。それがいい香りなら更に幸せな気分で満たされる。

でも、柔らかいバスタオルなら何でもいいと言うわけではない。
ホテルのバスタオルは大きくてフワフワで分厚い。
全体をサッと拭くのにはいいけど、分厚すぎて耳の窪みやお尻の割れ目とか足の趾の間なんかには上手く入らないから拭きにくい。
そして洗濯屋さ

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オオシマさんが!

オオシマさんが!

朝、いつものようにホームの最後尾へと向かう。向かいのホームを見ると、左斜め前に
「オオシマさんがいる!!」

私は平静を装い、オオシマさんの正面に立った。

グレーのトレーナーにカーキのワークパンツ、コンバース風の黒のスニーカー(底のゴムの部分は少し厚めで真っ白)に紺のキャンバス地のトートバッグを体の前で両手に持って立っていた。
左の手首には黒のバンドに盤面が丸い腕時計をはめて。
髪の毛は少し短く

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強運の持ち主N子に冥土の土産をもらった。

強運の持ち主N子に冥土の土産をもらった。

N子と出会ったのは2019年の6月。
N子は私が通う美容院の美容師さん(W子)の友人だった。

2018年の3月、大橋純子さんが食道癌を公表された。そのニュースを見た私は「シルエット・ロマンス」が聴きたくなりYou Tubeを観た。シルエット・ロマンスが終わると、おすすめ動画の再生が始まる。
流れてきたのはTHE ALFEEがゲストの「堂本兄弟」。
「なんやこの3人!?その辺のお笑い芸人より面白い

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ノーモア ヒバクシャ そしてピカソのゲルニカに思いを馳せる

ノーモア ヒバクシャ そしてピカソのゲルニカに思いを馳せる

ニホンヒダンキョウ
ヒロシマ
ナガサキ
ヒバクシャ

ノーベル平和賞に「日本被団協」が選ばれた。
発表の際、聞き覚えのある日本語に、選考委員の被団協への敬意を感じた。

選考理由について選考委員は下記のように評価している。

そして受賞についての選考委員の言葉。

小学生の頃、私は祖母の被爆体験を聞いた。

私の隣に座る祖母の声が、涙が、息遣いが、その時の空気が、目を閉じると蘇える。ただ聞いた、と

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オオシマさんがいない、からつまらない

オオシマさんがいない、からつまらない

ここのところオオシマさんを見かけない。
オオシマさんはいつも向かいのホームに立っていた。

初めてオオシマさんを見かけたのは今年の1月。いつも利用する鉄道会社のダイヤ改正に伴い、通勤電車の時間が少し変わった。そのタイミングで私は電車を待つホームの位置を変えた。

ホームの位置を変えるのは少し勇気がいる。毎朝、最寄り駅のその時刻に顔を合わせるのは大体同じ人達。何もないのに乗る位置を変えると「あの人、

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ナポリタンと異臭騒動

ナポリタンと異臭騒動

職場でのランチは、自分で作ったお弁当か冷凍食品が多い。時々、同僚と食べに行ったりもする。

私はこれまで、冷凍食品をあまり食べた事が無かった。
今の職場に冷凍パスタをよく食べている同僚がいて、聞いてみると美味しいらしい。
で、初めて冷凍パスタを食べてみた。

「なにーーめっちゃおいしいやん!冷凍やのにこのクオリティ。カップ麺より全然いいやん!!」

これまでお弁当が面倒な時は、カップ麺を食べていた

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【届かない手紙】おかめさんへ

【届かない手紙】おかめさんへ

おかめさん、お誕生日おめでとう。今日は59歳のお誕生日。
いくつになってもパンクが好きで、ファンキーなおかめさん。
来年は還暦だなんて、まったく信じられない。

おかめさんと言えば、最初に思い出すのは、やっぱりお酒。
はじめは必ずビール。そして途中からは麦焼酎のロック。
ロックグラスに入った半分くらいの焼酎と大きな氷を、左手の薬指でぐるぐるとかき混ぜる。
グラスと焼酎と氷と指が混じり合って、時折、

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作業を終えてパソコンの電源を切ると、暗くなった画面に、反射した自分のおっぱいが映ってびっくりした。

うわっ。
何でおっぱい映ってるん?!

自分の姿を見るとショーツだけ履いて、裸だった。

裸のまま作業していた事をすっかり忘れていた。

特攻隊と言われた祖母

特攻隊と言われた祖母

8月6日に 祖母の涙と被曝3世の私 という記事を書いた。

書いてから、自分が被爆3世であることをこれまであまり意識してこなかったことに気がついた。

そうか。私は被爆3世なんだ。
と改めて思った。

翌日、私はいつものようにラジオを聴いていた。
ゲストは被爆3世で大学講師をされている桐谷多恵子さん。桐谷さんは被爆者の聞き取り調査と研究をされている。
そこで被爆3世にも温度差がある、と話されていた

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祖母の涙と被爆3世の私。

祖母の涙と被爆3世の私。

祖母の涙を初めて見たのは小学校4年生の夏だった。

祖母は背が少し低くふくよかで、いつも白髪を紫色に染め、紫色のサングラスをかけて、時々タバコを吸い、よくパチンコ屋さんに行っていた。
性格は明るくおおらかで、面倒見がよく、手先が器用だった。
私が子供の頃、ピアノの発表会や入学式にレースの付いた可愛いワンピースを縫ってくれた。
いつだって太陽のように輝いているけど、その輝きは自分が光るためではなく、

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全部ハトのせい。

全部ハトのせい。

私は鳩が嫌いだ。
でも子供の頃から嫌いだったわけではない。

お気に入りの小さい頃の写真は、お寺の境内でベビーカーに乗った私が鳩に囲まれ、笑顔で片足をヒョイと上げている。
「ハトに囲まれて嬉しそうなむくみ」
と言う母の手書きコメントが写真の下に添えられている。
カメラの向こうの父と母、そして沢山の鳩に囲まれて幸せそうな私の笑顔。それを見て私は幸せな気分になる。
鳩は幸せの象徴と言われているが、まさ

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コニシ木の子さんへのラブレター

コニシ木の子さんへのラブレター

noteに投稿を始めて1ヶ月と少し。

昔から何か書きたいと思っていた。
そして、それとは別に私にはどうしても書かなければならないものがある。

書かなければならないものは壮大過ぎて、何から手をつけていいのかどう書けばいいのか、まだ分からない。
でも気付いたことがある。 
何でもいいから書く。
書かなければ始まらない。

最初に書いたのはマウスピース矯正のブログ。
同じように矯正をしている人、矯正

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アオキさんと陰謀説

アオキさんと陰謀説

このところ便秘気味で硬くてコロコロとしたのが少し出るだけだった。
だから少しでも出そうな気配があると便座に座り、頑張っていきんでいた。

仕事を半日で終え帰宅すると、大急ぎでおにぎりを頬張り、歯を磨きマウスピースをつける。
少し気配があったのでトイレへ駆け込み、力を込めて押し出す。
少し出た。良かった。時間も間に合う。

電車に乗って街へ出る。今日は久しぶりに美容院に行く。
美容院まではドアtoド

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アラフィフ、独身、子なし。

アラフィフ、独身、子なし。

拝啓めぐみティコさま

はじめまして。

日曜日の朝、布団の中で拝読しました。

私の中で何かががザワザワし、数日経ってもおさまりません。

これがめぐみティコさまに届くのかは分かりません。
でも、とにかく書いてみようと思いました。

(めぐみティコさまは私のことを全く知りません。)

はじめに

私はアラフィフ、独身、子なし。
パートナーのもっさりと週末を一緒に過ごしている。

子供が欲しいと思

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