後醍醐龍五郎

小説を書いて遊んでいます。タイトルに★→フィクション。それ以外→雑談

後醍醐龍五郎

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  • 国語教師

    都内の私立高校で国語教師をやっている人の物語。

  • 短編の森

    短編小説。

  • 長く記憶に残りそうな記事

  • アマチュア作家「後醍醐龍五郎」について

    後醍醐氏についてのあれこれを説明します。

  • かなり長期にわたり記憶に残りそうな記事

    いい記事だなあ、また読みたいと強く思った記事をここに登録します。

最近の記事

★極道学園(576)

甘江野幸三(アマエノ・コウゾウ)という二十歳の若者が工藤組に入りたいと青葉組長を訪ねてきた。青葉組長は就任して初めての採用案件なので俺に電話で相談してきた。聞けば全くのカタギで、新聞報道で栗駒キャンプのことを知り強い興味を持ったという。かなり体格が良くて人物も好印象だと彼女は述べた。俺は迷うことなく太田と二人で仙台に行き彼と会うことにした。 甘江野は岩手県出身で高校は盛岡だった。家が貧乏で大学には行けず盛岡で仕事を探すも良い会社がなく、たまたま高校の恩師の紹介で仙台の運送

    • ★国語教師(75)

      ちきりんさんの「自分の頭で考えよう」を教材にしてグループWorkを続けています。生徒たちにも評判が良い本なのでしばらくはこの本をベースに論理思考の授業をやっていこうかな、と考えています。 もう一冊、「マーケット感覚を身につけよう」(ちきりん著)はどうだろうか。これまた良書です。企業で企画部門に勤務している人には必携の書じゃないですか。高校生向けと言えるかどうかは微妙ですが書いてある内容は決して彼らの無駄な知識にはならないはず。でもまあ、当面は論理思考の授業を続けようかな、と

      • ★極道学園(575)

        海上ホテルのレストランでコイケが作ってくれた海鮮丼を食べながら新聞各紙を読んだ。 兵庫知事の件だがメディア各社の狼狽ぶりには思わず失笑せざるを得ない。まさか失職した斎藤知事が復活するとは思っていなかったのだろう。斎藤氏が知事だと都合が悪い役人たち、県内の首長たちが知事の悪い噂をでっちあげ、それを迂闊にもそのまま信じたメディア各社が知事を引きずり下ろした。ところが兵庫県民はちゃんと見ていたのである。ん?なんかヘンだぞ?と。悪いのはどっちだ?と。 俺が小学生の頃、佐藤首相が新

        • ★国語教師(74)

          父の息子の茶太郎は高校一年生になり都内の私立高に入りました。さっそくサッカー部に入部したのですが彼の学校は部員百人の強豪高校なんですよね。レギュラーは無理じゃないかと父が言ってましたよ。高校三年間で一度も試合に出場できない部員がたくさんいるのです。なんだか茶太郎が気の毒です。 うちの学校は野球部やサッカー部がありません。でもバスケットボール、バレー部はあります。大会があるとだいたい三回戦ぐらいで敗退してますね。決して弱くはないんですけど関東にはバスケット、バレーが強い高校が

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          ★極道学園(574)

          まさかアフリカと繋がりが出来るとは考えていなかった。毎晩チャンコ鍋を食べて栗駒のアフリカ人たちは体格がどんどん良くなってきた。しかし一軍の試合にはまだ出場できない。自衛隊に負けてしまう可能性があるからである。だから毎日二軍として各種トレーニングを行っている。太田もときおり栗駒に来てアフリカ人たちを指導する。 格闘技すべてそうだが、相手の「気」を読むことが重要だ。ちょっとした身体の動き、目の動きから次の動作を予測して裏をかくのである。 プロ野球で活躍した松坂大輔投手は子供の

          ★極道学園(574)

          ★国語教師(73)

          ちきりんさんの本を使ってグループWork中心の授業をしてますが、とても楽しいですよ。みな、生き生きと授業に参加しています。本の感想としては「もっと早くこの本を読めば良かった」という声がいくつもありました。 先日は「うちの学校の生徒数を増やす方法を考えてみよう」というテーマでグループWorkをやりました。現在はn人なのだが近い将来n+αにしようという仮の計画です。この計画を実現するためには何をやればよいのか。 1学年5Class、1Class40人。1Classのグループが

          ★国語教師(73)

          ★極道学園(573)

          工藤組は自衛隊との繋がりができたため、シノギがかなり安定してきた。三ヶ月に一回、国から一億円の補助金が出るため漁業の仕事を減らしたのだ。よって漁業の売上に増減があっても全体としては目立たなくなった。 青葉さんと組員たちの関係も良好で、俺は仙台常駐ではなく、週一で仙台に通うことにした。会議の時に俺と青葉さんが並んでいるとやはり組員たちは主に俺を見る。それを避けたい気持ちが強くなった。今後、工藤組は青葉さん中心に回って行くんだよ、と。 仙台行きの手段だが、本当は新幹線が楽だ。

          ★極道学園(573)

          ★我が理想の人生

          新幹線ホームのベンチにたまたま空きがあり、これ幸いと座って新聞を読んでいた。 いま人気の『はやぶさ』はあと10分ぐらいかな。子供たちにも大人気だ。はやぶさが来るのを今か今かと待っている。ホームから身を乗り出す小学二年生ぐらいの男の子がいた。母親の注意も聞かずカメラ片手にはやぶさを待っている。やがて遠くから、かすかな破裂音が聞こえてくる。きたきた、はやぶさだ! 危ないよ、気を付けなさいという母親の声と同時に、子供がホームから落ちた。僕は瞬間的に立ち上がり線路に飛び降りた。は

          ★我が理想の人生

          ★国語教師(72)

          息子たちは睦美の実家で楽しく暮らしており何らトラブルがありません。祖父は一橋大学、祖母は慶應義塾大学の卒業、つまり、たいへん学力の高い人々で息子たちの勉強指導も喜んでやってますね。長次郎以下、四人の息子は長太郎、祖父母の指導により学力がどんどん向上してきました。家には大量の書籍を保管している部屋もあり、子供たちはそれらの本を次々読んでいます。祖父母は読書が大好きなんです。 さて、新科目「知能開発」は全学年ではなく、三年生のみ、週一回にしました。いきなりすべての学年をやるのは

          ★国語教師(72)

          ★極道学園(572)

          工藤組百人が全く漁業をやらなくても生きていくためには何をやればいいのか。学歴なし。IT知識なし。資格は運転免許だけ。喧嘩は強いが機会がない。 じゃあ、機会を作ろう、武力で勝負だ、全員自衛隊に就職するか?と青葉さんに聞いたら真顔で、親分、それ、ありですよ、と言った。 よし、自衛隊だ。民間の自衛隊を作ればよい。俺はさっそく石破総理に電話して宮城に民間の防衛組織を作る許可を得た。位置付けとしては自衛隊の下部組織であり、指揮権は自衛隊が持っている。 さて、我が国の防衛事情である

          ★極道学園(572)

          ★国語教師(71)

          阿部校長、湯川先生に呼ばれたので校長室に行きました。話題は新しい教科のことで科目名は「知能開発」です。これを全学年を対象に実施したいと。そしてこの科目の主任教員になってもらいたいと阿部先生は言いました。僕が担当する国語の授業は大幅に減らし、新規に教員を採用する、だから極端な話、リュウ君は100%知能開発の授業をやっても良いと。 なんでまた急に?と聞いたら阿部校長は厳かな顔を作り「神のお告げだ」と述べました。その瞬間、湯川先生がお茶を吹き出しました。僕たち三人はしばらくの間、

          ★国語教師(71)

          ★極道学園(571)

          関東研修の次は地元・宮城での研修だ。宮城の沿岸を北から気仙沼、石巻、塩竈と下がってきて工藤組の水産加工工場、養殖場に案内した。そして組が使っているすべての漁船に乗船する。漁船の修理工場が石巻にあり、その工場にも案内した。 青葉さんは組員たちの名前を覚えようとして熱心に各自に語りかける。嫌な顔をする組員は一人もいない。ほとんど東北出身者だ、というのが理由なのだろうか、みな、おっとり、素朴な性質である。全体的に見て青葉さんは歓迎されていると感じた。気仙沼、石巻、塩竈で青葉さんと

          ★極道学園(571)

          ★国語教師(70)

          伊那小学校は教育界、地域などあらゆる方面から高い評価を得ているわけではありません。読み書き計算に重点を置いた教育をしていないせいなのか、平均的にみて他校より生徒の学力が低いのでは?中学で勉強に苦労するのでは?と親が危惧する例もあると聞きました。 実際、伊那小学校に子供を入れたくないという親もいるそうです。この事実を見るに、学校というのは親の価値観により180度違う評価をされることもあるんだな、と思いました。 中学で牛、ヤギを育てるスキルを問われることはありません。高校入試

          ★国語教師(70)

          ★極道学園(570)

          仙台で青葉さんと働く毎日がスタートした。 まずは関東研修だ。龍神組のシノギのすべてを見せる必要がある。 埼玉の愛農、上野の極道学園、安孫子キャンパスを見せたら一日目が終わってしまった。青葉さんはさかんにメモを取っていた。 夜は太田、赤坂、物井を呼んでシゲの店で青葉さんの歓迎会をやった。ポン社長、サンチョウさん、直子先生も途中から参加した。たいへん和やかな宴会で青葉さんは皆と楽しそうに会話していた。 俺の隣に座った直子先生が「とっても素敵な方ですね」と耳元で囁き、にっ

          ★極道学園(570)

          ★国語教師(69)

          伊那小学校とは? 藤原さとさんという女性は以下のように語ります。 【「ヤギを飼っているらしい」とか、通知表がない、チャイムがない、ということで、探究する学びを実践したい先生たちの中で、知るひとぞ知る長野県伊那市立伊那小学校。昭和31年から従来の通知表が廃止されました。 1998年の学習指導要領が「総合的な時間」を設定するよりもはるか前の1978年から40年以上子どもの意欲や発想に基盤を置く総合学習実践を行っており、毎年教師と子どもたちが探究するテーマを決め、3年間にわた

          ★国語教師(69)

          ★極道学園(569)

          二人目は地元の大学を卒業し、銀行員になった人だった。融資係からスタートして支店長などをやったあと本店の審査部に異動した。現在は審査部15名の行員を束ねる長である。 長命ヶ丘という仙台市郊外の住宅地に住み、休日は山登りや釣りなどを楽しんでいる。自信たっぷりに銀行での実績を語り続けた。なぜ銀行を辞めたいのかと聞いたら「今や銀行は斜陽産業です。役員に昇進できる見込みもありませんし」と、淡々と語っていた。 人柄については特に問題点を感じなかった。そしてこの人が工藤組のトップになり