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自らアートマンにのみ満足するとき智慧が確立する?「バカヴァッド・ギーター」

自らアートマンにのみ満足するとき智慧が確立する?「バカヴァッド・ギーター」

バカヴァッド・ギーター第2章54、55詩節に、以下の記述がある。

(私注:アルジュナ)智慧が確立し、三昧に住する人の特徴はいかなるものか。叡智が確立した人は、どのように語り、どのように坐し、どのように歩むのか。

 アルジュナよ、意(こころ)にあるすべての欲望を捨て、自ら自己(アートマン)においてのみ満足する時、その人は智慧が確立したと言われる。

智慧って、原文のサンスクリット語ではなんて言うの?

「プラジュニャー」、漢訳で「般若」のことだよ。般若心経の般若と同じで、智慧を意味する言葉なんだ。

三昧ってなに?

「サマーディー」の訳で、「非常に深い精神統一の状態」(上村勝彦「バカヴァッド・ギーターの世界」より)のことだよ。多くの場合、悟りや解脱の際の重要な段階とされているんだ。

叡智はなに?

「ディー」の訳だよ。知性(ブッディ)、智慧(プラジュニャー)、叡智(ディー)は、バカヴァッド・ギーターでは同じ意味で使われているんだ。

「自ら自己(アートマン)においてのみ満足する」

「自ら自己(アートマン)においてのみ満足する」というような表現は、インドの古い文献においてよく見られる繰り返し表現です。(中略)ここでは、真実の自己アートマンが輝き出て、完全に自己充足した状態を、「自ら自己においてのみ満足し」と表現したものと思われます。

上村勝彦「バカヴァッド・ギーターの世界」

「自ら自己(アートマン)においてのみ満足する」って非常に心をうつ、いい言葉だと思うんだよね。

要するに、自分の身体とか、自分の持ち物とかじゃない、「魂」みたいな存在=アートマンにおいてのみ満足する、ってことでしょ?

自分のアートマンにおいてのみ満足すれば、すごく気持ちが安定する。自分の身体や、自分の持ち物とかに関係する、すべての出来事に煩わされることもない。

要するに、外部の出来事に煩わされることがなくなるわけだよね?

かんたんに言ってしまえば、そうだね。外部の出来事に煩わされないわけ。

さすがは、「インドの古い文献においてのみ満足よく見られる繰り返し表現」だね!

さすがは、「インドの古い文献においてのみ満足よく見られる繰り返し表現」だね!

そうでしょ?

うん。

「自らアートマンにおいてのみ満足する」ってもう、こういう心境になったら、無敵とも思えるね。

悟りにも近い境地だよね?

悟りって、いってしまえば、アートマン=ブラフマンだけが実在だと悟ることだから、自らアートマンにおいてのみ満足することにもつながるわけ。

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