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加速主義

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2021年2月の記事一覧

反需要引き締め派宣言

反需要引き締め派宣言

一昨日の続き。低賃金カルテルとか需要引き締めの話だ。

介護を始めとする誰かがやらなくてはいけないが、誰でもできそうに見える仕事は低賃金である。そして、その仕事に大規模に国民を動員するには、低賃金でなくてはならないと書いた。賃金を低くして総需要を低く抑え込む必要があるのだ。総需要が旺盛になって経済が栄えると、エンタメとかイベントとかYoutuberとか楽しい仕事の労働需要が増えてしまうからだ。

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西迫大祐『感染症と法の社会史—病がつくる社会』読み始めました

西迫大祐『感染症と法の社会史—病がつくる社会』読み始めました

昨年のいつだったか誰かがおすすめしていたこの本をようやく読み始めたのである。

社会がどのように感染症を扱ってきたか、フーコー研究者でもある著者が古代ギリシャから中世ヨーロッパ、近代フランスを中心にたどっていくという内容のようだ。

とりあえず序文から読み始めたところ衝撃を受けてしまった。

感染症が社会的に問題になり、予防の必要性が叫ばれるとき、参照されるのは「これこれが感染症の原因であり、予防

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低賃金カルテルと一般意志らしきもの

低賃金カルテルと一般意志らしきもの

先日すこしばかりEvilなTweetをしたくなる記事を目撃したが自重したのである。

佐々木希をゲットできる男は元々がモテるのだし、佐々木希が妻というプレミアムがついてしまったら浮気しないでいるのは難しいなどということが言いたいのではない。また佐々木希でも飽きてしまうのか、と言いたいのでも勿論ない。

というわけで先日のこのエントリの続きです。

豊洲市場という物流の現場でのハードワークが禊とみな

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『アーミッシュの老いと終焉』読了

『アーミッシュの老いと終焉』読了

幸せに老いることとか、死生観を問われる世の中であることだなあと思っているときに、ちょうどよい本があったので購入したのである。

著者の堤純子氏は、英語講師、通訳翻訳者であり、アーミッシュに深い関心を持ちいくつかの著書を出しておられる。本書はアーミッシュの生活全般の紹介および高齢者の共同体におけるあり方を著したものである。

まずアーミッシュの歴史について。
ルターやツヴィングリに端を発するプロテス

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『「24の性格」診断であなたの人生を取り戻す 強みの育て方』読了だぜ

『「24の性格」診断であなたの人生を取り戻す 強みの育て方』読了だぜ

読み終わった。おもろかった。

本書はVIA研究所という性格診断、カウンセリング、コーチングといった心理学的なサポートを提供する心理学の非営利団体の実践を著したものである。

本書を翻訳されたのは『ここで差がつく!英文ライティングの技術』で有名な鈴木健士先生だ。

これを1ヶ月で訳すのかプロは。。。しかも英語講師としてもお忙しいだろうに。。。もちろんやっつけ仕事的な逐語訳じゃなくて、ちゃんと読みや

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『機動警察パトレイバー2 the Movie 4DX』みてきたよ

『機動警察パトレイバー2 the Movie 4DX』みてきたよ

『機動警察パトレイバー2 the Movie 4DX』を関西某所でみてきたよ。

4DXってどういうことなのかわからなかったが、席が揺れまくるということらしい。あと風が吹いてきたりした。

『機動警察パトレイバー2 the Movie』通称パト2は、私が今までに観た3000本近い映画の中でもオールタイムベストテンに入る1本であり、間違いなく最もたくさん観た映画である。たぶん100回くらいみてる。押

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老いの苦しみは機械化で緩和できるか

老いの苦しみは機械化で緩和できるか

この週末は老いの苦しみと死の苦しみについて考えていた。ゴータマ・ブッダの四門出遊とはあまり関係がない。

老いの苦しみへの対応としては、年金と安楽死がある。しかし死の苦しみは、現代の日本ではほぼ無限大と見積もられており、なんとしてでも避けるべきものとなっている。よって現実的には年金で老いの苦しみに対応するほかない。介護などの制度については後述する。

年金とは本来は長生きしてしまった保険であった。

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飲茶の『最強!のニーチェ』読んだぜ

先日、高山樗牛がニーチェに関心をもっていたということで私もニーチェについて学ぶ必要があると感じた。

日本に先んじてはいたものの、遅れてきた帝国主義国家であるドイツで、性急に近代化する時代に登場した偉大な思想家に関心をもつのは自然なことである。

いちおう私はニーチェの著作は何冊か読んでいるし、学部では文学部の教官と二人っきりで『悲劇の誕生』の原書を読むとかいうこともしていた。

それでもちゃんと

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『闇の自己啓発』読んだぜ

『闇の自己啓発』読んだぜ

衝動買いした『闇の自己啓発』さくっと読了。

本書は木澤佐登志氏が中心となって、江永泉氏のnoteで展開された読書会を、大量の注釈を付してまとめたものである。話題があっちにいったりこっちにったりする座談会では注釈は極めて重要である。

タイトルはもちろんニック・ランドの暗黒啓蒙からとったものである。というわけでトップバッターはニック・ランドの日本への紹介者である木澤佐登志氏の『ダークウェブ・アンダ

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