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Bon voyage

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旅の途中で出会ったかけがえのないものたち。 いつもの見慣れた場所に留まっているとしても、そこではないどこかを歩いているとしても、いつだって旅。終わることのない旅の途中。
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#宇宙

#7 落ち着かない心とともに

#7 落ち着かない心とともに

マシュー

今 僕は病気が見つかって
治療中なんだ

マシュー

ときどき 
堪らなく 胸に大きな重石が置かれて
ずっと僕の心を苦しませる

今はゆっくり治療に専念すればいい
何も考えずにのんびりしていればいい
ただ、ゆったり構えて
神さまがくれた休暇だと思って過ごせばいい

そう思うようにしたりするけど
重石は居座って動かなかったりする

これを乗り越えた先には
素晴らしい人生が待っている
絶対

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#6 大丈夫だと信じていくよ

#6 大丈夫だと信じていくよ

マシュー

たまらなく会いたいよ

僕は
何者かになりたかったんだ
僕はしっかりと
自分自身として生きて
何者かになって
大地を力強く踏みしめながら
この人生という旅を
楽しみたいと思っていたんだ

だけど
僕は
まだ何者にも成れていない

何者って何だ?って
きっとマシューに問い詰められそうだ

何だ?ってことさえ
なんにも見えないまま
なんにも成れてないんだ

マシューは以前
自分の魂を感じろ

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#4 イルカの空

#4 イルカの空

マシューは行ってしまう前
こんなことも言っていたよ。

「楽しんで生きろよ。楽しめ、感じたままに。」

何を楽しむの?
そんな陳腐な質問を返してしまったから笑われると思っていたけど
マシューは真剣な顔をして言った。

「人生のすべてをーだ。」

「俺は動物園が好きじゃなかった。あそこにいる動物たちって幸せなんだろうか?っていつも気になってしまったんだ。水族館のイルカやアシカは幸せなんだろうか? い

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#2 人生にタラレバは無いんだって

#2 人生にタラレバは無いんだって

そういえば、
マシューが行ってしまうしばらく前に言ってたことがある。

「人生にタラレバは無いんだぜ。」

あの時こうしていたら、今と違う人生だっただろうか〜
みたいなこと。
そんなことは無いんだって。

マシューは昔、ハワイで不思議な女性に魂を読んでもらったことがあるらしい。

「あなたとあなたの母親とはとても深い縁があるわ。何度も一緒に生きて、今回も一緒にいようって決めて、約束して来てるの。し

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#1 僕らはいつか自分のなかに何かを見つける

#1 僕らはいつか自分のなかに何かを見つける

「そうさ、もう、何かのためになんか働かないんだ。」

そう言って、マシューは仕事を辞めた。電話1本で。

あんなに将来を不安がっていたのに。いきなり。

「まだ何にも、本当に何にもやってないことに気づいたんだよ。でもさ、感動したいっていうのは、まだこの地球を楽しみたいってことになっちゃうのかな。地球というか、一応、目に見えるところの世界ってことだけど。」

感動したいって・・・

「ああ、そうだね

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2022さん こんにちは

2022さん こんにちは

嬉しくて泣くって
どういうことなのかな?って
ずっと思ってたよ

嬉しいから泣くってことが
分からなかったよ

だけど
今は嬉しくて泣ける

ありがたくて泣ける

幸せに泣ける

泣けるほど悲しいのに
悲しすぎると泣けなくて

だんだん
顔無しになっていったよ

だけどね

分かっちゃったんだ

ほんとうは
世界には愛と光が
いっぱいだったんだって

だから

今から
新しい人生が始まるような

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あなたの生きる歓びは何ですか?

あなたの生きる歓びは何ですか?

ある人が言った

今、安定した公務員してるけど、この仕事は好きじゃない

早く定年して、日向ぼっこして過ごしたい

ある人が言った

嫁いでから苦労ばっかりだった

自分の時間も居場所もなく

友達もなく、お金にも苦労した

今、病気になって寝たきりだけど

今が一番幸せ

だ〜れも文句言う人いない

時間も全部自分のために使える

好きな時に寝て好きな時にテレビも見られる

だから今が一番幸せ

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自分の人生の歩き方

自分の人生の歩き方

自由ってのが、きっと、いちばん欲しくていちばん難しいものなんだと思う。

何かに縛られていると自由になりたいと思う。

いざ自由になってみると、沢山の選択肢に戸惑ったりする。

今、見えている世界ではこういうことが起きている。

でも、本当は違うんですよ。

みんなが良いと思っているもの、それは本当は悪いものですよ。

誰々は悪い人です。

あの会社は裏でこんなことやってます。

一体全体、何が本

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全て愛しい小さなカケラたち

全て愛しい小さなカケラたち

去年の6月末で会社を辞めた。

精神的負荷の大きい業務だった。

マイナスの感情ばかりを受け取る仕事で、人間の嫌な部分ばかり見えていた。

出来るだけ「人間」とは関わらないよう生きていた。

会社を辞めてからは、読書と旅と彫刻制作をした。

失業保険受給が終わったらバックパッカーしようと計画していた。

短くて3か月、長くて1年くらい行きたいな。

ヨーロッパをメインにして・・・と楽しみにしていた

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旅立ち

旅立ち

新しい世界がみたい

次の世界が知りたい

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どこまでも行きたい

やり場もないまま

夜空を見つめる

地球を飛び出し

星の向こう

銀河を超えて

星雲を横目に見て

彗星を見送り

どこまでも進む

進む進む

どんどん進む

ずんずん進む

真っ直ぐなのか

曲がっているのかさえ

分からないまま

振り返らずに進む

どこまでもどこまでも進む

宇宙の果ては

まだ遠いの

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共振する木魚、感応した流れ星

共振する木魚、感応した流れ星

お寺の本堂で行われる盂蘭盆会の合同法要に初めて出てみた。
室町時代に創建された600年位歴史のあるお寺。

密にならないよう間隔をあけ、椅子と木魚が一対になって並んでいる。

教会も好きだけど、神社仏閣も好きだし、お香の香りも好きだし、こういう厳かな雰囲気が好きな私。

ご本尊の真正面に座った。

阿弥陀如来立像

左足の膝が少し曲がり、一歩踏み出そうとしているお姿だ。

「今すぐに救いに行きます

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祈り

祈り

サンジェルベ・エ・サンプロテ教会の扉を押すと、

いきなり大きなイビキが聞こえた。

祭壇の真正面。

椅子を5つならべて、

髭面に汚れた服の男が横になって寝ていた。
傍らには大きなリュックがひとつ。

くたびれた靴のまま。

宿代を浮かすためのバックパッカー?
ホームレス?

どちらでも、どちらでもなくても、寛大な神は許したもう。

サントゥスタッシュ教会に入る。

周歩廊を一周しているとき

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