【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】「もも」から生まれる食欲と健康!
千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。
立秋を過ぎ、暦の上では処暑となり、秋の到来です。
そろそろ、空が高く感じられ、入道雲から鰯雲・うろこ雲に空の景色も変化をしてきます。
果物の旬も夏から秋へと変化をしていく中、スーパーのフルーツ売り場や八百屋さんの店先には、スイカ、メロン、パイナップル、ドラゴンフルーツ、マンゴーなど、黄色・赤・オレンジの元気ビタミンカラーの果物の中に、やさしいピンク色の果物が並びますね。
そう!その正体は「もも」です。
「もも」は、夏から秋の初めにかけて旬を迎えるフルーツで、生の香りと甘味、みずみずしい味わいはこの時期ならではです。
今回は、そんな「もも」をテーマにとりあげ、そのヒミツや「もも」の東洋医学的な効能などをご紹介していきます。
では、どうぞ最後までお楽しみください!
1.「もも」の歴史
「もも」はバラ科に分類される落葉樹です。
ももはバラ科、バラの仲間だった!?、これにはあらためて驚きました。
原産地は中国の西北部で、紀元前の時代から栽培されている、歴史のある果物のです。
中国では、邪気を払う植物とみなされていました。
また後には、ももを食べた仙人が不老不死となったという説話から、不老長寿をもたらす縁起物と考えられ、「長生果」あるいは「仙桃」とも呼ばれて親しまれています。
中国には800種以上の品種があるといわれていますが、その中でも珍しいのは形が平べったい蟠桃(ばんとう)という品種で、かの楊貴妃が好んで食べたと言われています。西遊記の中で不老不死に憧れた孫悟空が食べたのも蟠桃です。
日本では、弥生時代の遺跡から「もも」の種が見つかっています。
また、『古事記』には、
『伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が、黄泉から脱出する際に追ってくる魔物に3つの桃を投げつけとところ、魔物は尻尾を巻いて逃げ帰った』
という話が残っています。
有名な昔話『ももたろう』は、「もも」が鬼を恐れさせるといわれたことから始まったという説があります。
このように古くからなじみのある「もも」ですが、昔の「もも」は小ぶりで固く、果汁も少なかったようです。
現在、一般的に流通している品種は、明治時代に輸入された甘味の強い品種で、日本の気候に合うように改良されたものです。
よく見かけるのは白桃で、果肉の白色と淡いピンク色のグラデーションが美しく、見た目でも楽しめますよね。
その他に、果肉が鮮やかなオレンジ色をした黄桃もあります。こちらは缶詰でおなじみですが、生食向きの『黄金桃』という品種もあります。
また、果皮に毛がなく、小粒で真っ赤に色づくネクタリン、すももも同じバラ科の仲間です。
そう言えば、「もも」にちなんだ有名な早口言葉がありますがわかりますか?
そうです!
『もももすももももものうち すもももももももものうち
(桃もスモモも桃の内 スモモも桃も桃の内)』
これ、スムーズに言えますか?
2.栄養学としての効能
「もも」の実はその大半が水分で、そのほかに果糖、食物繊維、カリウム、ビタミンEなどを含んでいます。
【果糖(フルクトース)】
果糖は、はちみつやくだものに多く含まれる糖分で、甘みはブドウ糖よりも強く、冷やすとより一層甘さが増加します。
果糖は短時間でエネルギーになるため、疲労回復には即効性のある有効な栄養源でもあります。
【食物繊維】
ペクチンという食物繊維を多く含んでいます。
ペクチンは水溶性食物繊維で、便を柔らかくしたり腸内環境を整える効果があります。また、水分を吸収して膨らむため満腹感が得られやすくなります。小腸での糖の吸収スピードを緩やかにする働きもあるため、食後の急激な血糖の上昇を防防ぐこともできます。
【カリウム】
ナトリウム(塩分)をからだの外に排出して、血圧を下げる働きがあります。
また、塩分といっしょに余分な水分を排出することでむくみの予防にもつながります。
長時間の運動による筋肉の痙攣などを防ぐ働きもあります。
【ビタミンE】
ビタミンEは、強い抗酸化作用によって細胞の老化を抑えるはたらきがあり、アンチエイジングや美肌効果で注目されています。
また、血管や赤血球の健康維持にも役立ちます。
ビタミンEが、不足すると血行不良になったり、肌を紫外線から守りにくくなったりします。
3.東洋医学的な効能
東洋医学的には、「もも」は以下のような属性と効能をもちます。
【性質と味】 甘・酸、温(酸、大熱)
【関連する臓腑経絡】 肺・脾・肝経
①生津解渇(せいしんかいかつ)
東洋医学では、体を潤す体内の水分のことをを津液(しんえき)と呼びます。
津液は生命を維持するために身体を潤したり冷やしたりして、身体の様々な機能が順調に働くように作用するもので、不足すると喉の渇きや、肌や唇、喉の乾燥が現れます。
「もも」は、津液を生み出して喉の渇きを解消します。
②消積 (しょうしゃく)
食べた物が消化されず慢性的に溜まっているために現れる食欲不振や胃もたれ、お腹の張り、便秘などの症状を改善します。
③活血化瘀(かっけつかお)
血流が悪くなり、滞っている状態を血瘀・瘀血といい、生理痛や無月経などの婦人科系トラブルの原因となることがあります。
このような症状に対して、血流をよくして状態を改善する作用があります。
夏のくだものの多くは寒性や涼性の性質を持っていますが、「もも」は温性の性質を持っています。
そのため、「もも」の実からたっぷりの水分を摂取しても胃腸を冷やさないという長所があります。
胃腸の弱い気血両虚タイプの方や子供・妊婦も美味しく食べることができます。
体に熱が溜まりやすい肝陽亢盛タイプの方は、温性の性質が熱を鎮めるのには不利になりやすいことから、寒涼性の性質を持つスイカの方がどちらかというとおすすめです。
スイカについては、【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】「スイカ」で夏を乗り切ろう!?でご紹介しましたので、そちらもぜひご覧ください。
4.「もも」と漢方薬
ここまでお話してきたように、「もも」には東洋医学的に様々な効能があります。
また、その種や花、葉はそれぞれ漢方薬としても利用されていますので、ご紹介をしていきます。
4-1.桃奴(とうど)
「もも」の実が冬になっても落ちずに、木の上で乾燥したものです。
お正月に採集されて漢方薬として利用されます。
微温性で苦味、小毒性があります。
妊婦出血、寝汗、遺精に用いられます。
4-2.桃核(桃仁とうにん)
「もも」の種を乾燥させたもので、漢方薬として有名です。
平性で甘苦の性質を持っています。
血行を回復させ、生理痛を解消します。
また、腸を潤し、便秘を解消します。
4ー3.桃花(とうか)
旧暦の3月3日に採集した花を、日陰で乾燥させたものです。
平性で苦味、無毒の性質を持っています。
顔色をよくしたり、利尿作用でむくみを解消します。便秘の改善にも効果があります。
4-4.桃葉(とうよう)
「もも」の葉は昔から民間療法でも利用されていて、その薬効はよく知られています。
葉の中でも若葉の方が効能が強いとされています。
平性で苦味、無毒の性質を持っています。
皮膚病や痔、口内炎に効果があります。
5.千葉と「もも」
「もも」の栽培には、水はけの良い土壌が必要であり、日当たりが良く、風通しのよいところ、という条件が必要であり、寒暖差のある気候が美味しい「もも」を作り出します。
これらに適切な土地として、日本国内では、山梨県、福島県、山形県などが有名な産地となっています。
さまざまなくだものの栽培が盛んな千葉県ですが、残念ながら「もも」はほとんど栽培されていませんでした。
ほんと残念!
ですが、千葉市内には「もも」を使ったおいしいスイーツがあります!!
千葉市美浜区の稲毛海岸駅近くにあるミズノヤ(MIZUNOYA)さんでは、厳選した極上のモモをまるごと1個使った贅沢なケーキ、その名も『まるごと桃』が販売されています。
お店の商品紹介によると
『桃の中にカスタードクリーム&生クリームを詰め、旬の桃を丸ごとケーキにしました‼』(MIZUNOYAホームページより)
とのこと。
筆者の鍼灸院『鍼灸 あやかざり』は千葉駅にありますので、JRに乗って稲毛海岸駅まで約15分ほど、ぜひお帰りの際は足を延ばしてみて下さいね。
なお、東洋医学的には、甘いものの食べ過ぎは胃腸に負担をかけるとともに体内で痰湿という病理産物をつくり出す原因にもなります。
どうぞ、食べすぎには気を付けて、ぜひ散歩や運動をして身体を動かすようにしてくださいね。
いかがでしたでしょうか?
『「「もも」から生まれる食欲と健康!』はお楽しみいただけましたでしょうか?
このように、身の回りにあるいろいろなものを東洋医学的にみていくと、鍼灸のほかにも、身近なところに自然治癒力を高めるヒントがたくさんあることに気づかされますね。
食養生、毎日の食事こそがわたしたちの身体をつくるもととなっています。それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!
鍼灸 あやかざり
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参考文献:『食材効能大事典』、『東方薬草新書』、『オールガイド食品成分表』ほか
参考資料:千葉県ホームページ