安野ゆり子

短歌(心の花)/1996年生まれ/群馬県出身/ふっくらさんの着物【ふくのん】

安野ゆり子

短歌(心の花)/1996年生まれ/群馬県出身/ふっくらさんの着物【ふくのん】

最近の記事

⑤穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』に倣って

図書館で借りてきた穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』。 これは、色んな人が出した題を穂村弘は短歌、堀本裕樹は俳句で詠み込んで、歌合勝負をしようという本だ。 読むだけではわりとあっさり読み終わってしまいそうで、そういえば長らく題詠もやってなかったなと思ったので、私もこの歌合に参戦することにした。 ラスト第5回、スタート! この部屋で毛布の次にやわらかい体を抱いてそれから伸ばす 題 やわらかい  生活困窮者用の一時滞在施設には必要最低限の物が設置されている。冷蔵庫、電

    • ④穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』に倣って

      図書館で借りてきた穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』。 これは、色んな人が出した題を穂村弘は短歌、堀本裕樹は俳句で詠み込んで、歌合勝負をしようという本だ。 読むだけではわりとあっさり読み終わってしまいそうで、そういえば長らく題詠もやってなかったなと思ったので、私もこの歌合に参戦することにした。 第4回、スタート! 部活動長の【部長】の語感にて聞きつつ作る茶割り五杯目 題 部長 正社員歴2週間、一番長い職種がセクキャバ嬢だから、一般的な会社のポストというものがいまだ

      • ③穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』に倣って

        図書館で借りてきた穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』。 これは、色んな人が出した題を穂村弘は短歌、堀本裕樹は俳句で詠み込んで、歌合勝負をしようという本だ。 読むだけではわりとあっさり読み終わってしまいそうで、そういえば長らく題詠もやってなかったなと思ったので、私もこの歌合に参戦することにした。 第3回、スタート! 憧れとして男らは聞いている一度だけした無精の話 題 無精 無精ってしたことない人わりと多いらしい。無精未経験男性陣に混じって私も興味津々に無精経験者の話

        • ②穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』に倣って

          図書館で借りてきた穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』。 これは、色んな人が出した題を穂村弘は短歌、堀本裕樹は俳句で詠み込んで、歌合勝負をしようという本だ。 読むだけではわりとあっさり読み終わってしまいそうで、そういえば長らく題詠もやってなかったなと思ったので、私もこの歌合に参戦することにした。 第2回、スタート! 本棚の組み立て中を放置してカルピス一緒に買いに出かけた 題 カルピス 結婚していた頃カルピスを買ったのはこの一度きり。IKEAの家具の組み立ては結構難し

        ⑤穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』に倣って

          ①穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』に倣って

          図書館で借りてきた穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』。 これは、色んな人が出した題を穂村弘は短歌、堀本裕樹は俳句で詠み込んで、歌合勝負をしようという本だ。 読むだけではわりとあっさり読み終わってしまいそうで、そういえば長らく題詠もやってなかったなと思ったので、私もこの歌合に参戦することにした。 返却日まであと8日ほどなので、1日に10首作成を目標とする。 記事でも1記事に10首ずつ載せていく。 ではスタート! 家のない暮らしもあってそののちは椅子とあなたをいらなく

          ①穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』に倣って

          短歌82(好きな男のことも夫のことも諦めたい歌)

          「心の花」2024年8月号掲載 建前を積み木のように積み重ね崩すところを見守っている 説明なく連絡手段断たれいて一人を愛せばいい日のシチュー どちらかといえば怒りでそのあとは胸スッキリと山椒の実噛む 夫でもあなたでもない人といた夜に崩れた芍薬の痕 ゴミとして触れれば花粉もろともに崩れて床を染める芍薬 《洗濯》はタオルを替えることまでを内包すれば布団でなじる 頑なに元気を拒むゴミ回収間に合うけれど間に合わせない 悲しみを諦めること悲しんで海を見に行く夫を置いて

          短歌82(好きな男のことも夫のことも諦めたい歌)

          短歌81(夫がいても一人きりな気分な歌)

          「心の花」2024年7月号掲載 建前を言うときにだけ揺れているロックグラスの小さい氷 カニクリームコロッケの火傷消えるまで思い出すこと許してほしい わたしから妻へコトンとシーソーが降りてオイルに大蒜はぜる 設置した巣箱はいつも空っぽでかつて恋した人が目覚める 「この犬の動画観て」って夫へと渡すブロックされてるスマホ 「甘すぎて嫌になっちゃった」とつぶす一つももらってないピノの箱 昆布だし水から引いて沸くまでの一人を一人きりと感じる 枯れたって構わぬ薔薇が踏ん張

          短歌81(夫がいても一人きりな気分な歌)

          短歌80(夏の記録な歌)

          「心の花」2024年6月号掲載 あじさいにワゴンの頭突っ込むを覚悟させいる鋭角がある 鮮魚売り場に「夏だね」「いいね」は今日の我が浴衣姿と受け取っておく 熱下がり眠れぬ昼に開けている桃缶少しシロップも飲む 結婚をする前につかれてた嘘思い出してるトマト切りつつ だいたいでだいたいでねを呪文としビーチサンダルごと足洗う お師匠と決めて真似する盆踊りの内側の輪は速く遠のく 全員が何言ってるかわからない餃子パーティーにまた湯気あがる 過去現在未来どこか

          短歌80(夏の記録な歌)

          短歌79(浮世離れしているけど子供みたいな男の歌)

          「心の花」2024年5月号掲載 聞いたことないけど脳は生み出せる君の鷲鼻抜けたハミング きみ真似てオレンジジュースを飲んでみる嫌いでなくなっていて嬉しい 詩の言葉わたしより多く知っている君がそれでも選ぶ「好き」の語 君の詩を読み返す また「いい」と思う 書かせるだけのひとがいた過去 私とは出会う前にて結末となる私小説二度は読まない キッチンに真っ赤なタオルかけてある人は『獄中記』繰り返し読む 難解な問いを抱えて生きているカレーとハンバーグを好む人

          短歌79(浮世離れしているけど子供みたいな男の歌)

          短歌78(出雲〜吉野の歌と人が神になって、神から人に還った話)

          2024年15日〜17日 出雲〜吉野へ 名を呼んで指をおりつつ宍道湖のしじみ味噌汁土産に求む 宅配で服を送ってリュックには君への土産がまだまだ入る 神の声キャッチする角失くしたる鹿が寄りくる春の市街地 争いも威嚇もいらぬ世に龍は角を落としてカナヘビとなる 本当に財布の中がゼロ円で吉野の神には瑪瑙をあげる 鬼ヶ島 仲良くなった鬼らから貰った宝背負って帰城 次に来るときはキャリーにグーテ・デ・ロワ詰めて出会った人に配ろう そういえば近くに越してきたんだし伯母宅に行

          短歌78(出雲〜吉野の歌と人が神になって、神から人に還った話)

          短歌77(隠岐島へ渡った歌と旅行記録)

          2024年4月13日〜15日 海士町へ 前に海うしろに山があるだけの眺めを眺む甲板に出て 人工物遥かになりて古(いにしえ)の人の目も見た海山(うみやま)がある 海と空、島と波とを群青の濃さにて描(えが)き分けた神様 海の水ときおり頬に当たるとき青春に似たさざめきがある 春なれば水の透きくることを言う今日の海しか知らぬわたしに 歩くとき私は風を生み出して日焼けた頬を優しく冷やす すれ違う人全員に挨拶をしても疲れぬ人口密度 朝食に出た漬物をAmazonでポチッて配

          短歌77(隠岐島へ渡った歌と旅行記録)

          俳句12(石屋の孫娘の句)

          令和5年10月〜11月 花蓼や祖父は墓建て暮らしけり 一叢の白粉花や川終わる 立ち話そのきっかけに烏瓜 立ち去れば鯉解散す秋土用 身に入むや荷造りはまず窓を開け 雪迎えここに残していくコンロ 挨拶のある別れなら柚子贈る 埃ごと本詰めてゆく蜜柑箱 病棟のサイクルに沿う日の短か 靴下を脱いで正座の小春かな 院内売店熊手の話聞こえざる 入園料払い枯野を見ていたる 重心を変えればブンと冬の蜂 意図的に枯葉を踏めば湿る音 大根を買う選択肢ある夫婦

          俳句12(石屋の孫娘の句)

          俳句11(用水路に落ちたことない人の句)

          令和5年9月〜10月 龍淵に潜む砂場の落とし穴 十六夜や隣家のチャイム連打され ネクタイのペイズリーには秋袷 店畳む報せのその後敬老日 萱を刈る愛を受け取れない日にも 薩摩芋分ける相手のいればこそ 可愛さをオクラに言っていれば無視 死ぬ時に見られるはずの秋の沼 鶺鴒や朝の川には朝の水 ボンテージ新調しても秋意かな 秋の家母は太極拳に行き マスカット甘さを全肯定されて 果樹園が一生のすべて秋の蝶 革靴やようよう寒き立ち飲み屋 秋澄みて落ちたことない

          俳句11(用水路に落ちたことない人の句)

          俳句10(転がって移動する人の句)

          令和5年6月〜8月 ゴーヤチャンプル躁鬱にして三徹目 花茣蓙やリモコンまでを転がって 蚊を打たぬ人の整えられた眉 寂しさを日常としてアジフライ 口論の度に蓮の葉揺れている 太鼓鳴り偉い人だけいる御祓 一人世帯一人に二尾の舌鮃 米掘ればまた鰻出る土用かな 秋澄むや前髪は掻き上げていて 弟へ貸出中の秋扇 梶の葉でぴとんぴとんと頬を打つ 楽しくもないが嫌でもない墓参 花火持つ君への信頼度ならゼロ 悪口は祈りの果てで夕砧 鹿火屋守カレーを惰性でなく作る

          俳句10(転がって移動する人の句)

          俳句9(扇風機の風を顔面に当てて寝る人の句)

          令和5年4月〜5月 待ってれば来る人を待つアイスティー 夏花摘みみたいに替えるティーバッグ 誰が人の古里ここは麦の秋 老いばかり残されている父に真風 晶子の忌鏡は毎日拭くけれど とばっちりっぽい理由にて藤嫌う 君よりも噴水に向く心あり 甘酒の瓶に並んで色仕掛け 扇風機だけはわたしのものだから 紫陽花の話題に占拠された街 ただいまと言って裸足であがる部屋 茄子漬やぽてりと人が落ちている 微笑みを磔にして衣紋竹 白玉が浮く時間差を佇みぬ 捨てないと割

          俳句9(扇風機の風を顔面に当てて寝る人の句)

          俳句8(八つ目鰻じゃない人の句)

          令和5年2月〜3月 いまのとこアイアムノット寒八つ目 甘露(アムリタ)が降るのは他所の国どてら 黒服の指示の通りにバレンタイン 佐保姫や出勤順に新衣装 朝寝むにゃゴミ出ししてくれるから好き 伊予柑をぶつけて振り向いてほしい 浴槽の縁に湯をかけ春寒し えり挿すやモラハラ夫にモラハラす 配信のカーニバルめくチャット欄 若いねと言われる場所へ春日和 春の鴨潜り全然出てこない 脚の踏ん張り一眼レフの先に花 セロトニン過剰分泌花疲れ 春暑し担いで帰る培養土

          俳句8(八つ目鰻じゃない人の句)