俳句9(扇風機の風を顔面に当てて寝る人の句)
令和5年4月〜5月
待ってれば来る人を待つアイスティー
夏花摘みみたいに替えるティーバッグ
誰が人の古里ここは麦の秋
老いばかり残されている父に真風
晶子の忌鏡は毎日拭くけれど
とばっちりっぽい理由にて藤嫌う
君よりも噴水に向く心あり
甘酒の瓶に並んで色仕掛け
扇風機だけはわたしのものだから
紫陽花の話題に占拠された街
ただいまと言って裸足であがる部屋
茄子漬やぽてりと人が落ちている
微笑みを磔にして衣紋竹
白玉が浮く時間差を佇みぬ
捨てないと割れないコップ業平忌
夏引の赤い糸にて断首せよ
ひょいと立つ鉄砲百合の無邪気さで
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