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③穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』に倣って

図書館で借りてきた穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』。
これは、色んな人が出した題を穂村弘は短歌、堀本裕樹は俳句で詠み込んで、歌合勝負をしようという本だ。
読むだけではわりとあっさり読み終わってしまいそうで、そういえば長らく題詠もやってなかったなと思ったので、私もこの歌合に参戦することにした。

第3回、スタート!

憧れとして男らは聞いている一度だけした無精の話
題 無精
無精ってしたことない人わりと多いらしい。無精未経験男性陣に混じって私も興味津々に無精経験者の話を聞いた。


神技の客引き師なるオーナーが今日もボーイに叱られている
題 客
20代ボーイ「キャッチの技術は尊敬してる。ああなりたい。それ以外のことは言いたいことがたくさんある」


爪を塗る趣味持たずしてそのあたりから躓いている生きること
題 塗る
服は大好きなのだけど、ネイルやヘアに興味がない。服もなんなら、「布が好き」なだけまである。正社員をしていたアパレルメーカーの新人研修で布の織り方の違いの講義があり、興奮した。


透明な文鳥さえもわたしにはいらない籠の骨組みを抱き
題 文鳥
私の美的感覚の基礎にゴスロリがあるからか、鳥籠というものに惹かれる。見た目には華奢で儚く、その実、中のものを閉じ込めておける強い牢。インテリアとして一つほしい。

罰も罪 炊飯器から湯気が立ちわたしはわたしの体を生かす
題 罪
「必要があればあなたを殺す」と常々言っている。だって歴史を見たら人間は人間を殺してきたし、今だって人を殺して刑務所にいる人もいる。「人間を殺すなんておかしい」と思っているより、「人間は人間を殺し得る」と思っていた方が現実的だと思う。

冷蔵庫にロールケーキを寝かせてるわたしを母がなじり泣いてる
題 ロール
話の流れで母に私の不倫話をした。母は「なんか小説の中の出来事みたい」と言って、少しの後に「泥棒猫!!」と叫んで泣いた。現実世界で「泥棒猫」なんて言う人いるんだ……それこそ小説の中のセリフだけだと思った……と衝撃を受けたし、面白かった。


「知ってる」とはにかんで言う五歳児と自己紹介からやり直したら
題 はにかむ
1週間くらい毎日顔を合わせてるのに一言も言葉を交わしたことのない五歳児と仲良くなるべく、自己紹介からやり直してみた。大人同士の事情で毎日顔を合わせてるだけで、この子にとっては迷惑な他人状態だし、そういえばちゃんと「はじめまして」を言ってなかったと気がついたからだ。この作戦は大成功を収め、その後一緒にゲームをする仲になった。


『源氏物語』なんちゃらの差を目に流し君の用事を待つ古本屋
題 古本屋
相手の気が済むまで隣で突っ立っているのが得意だ。洋服屋でも本屋でもどこへでもついていける。でも自分の用事のときには誰にもついてきてほしくない。洋服屋も本屋も映画も展覧会も、興味のあるものは一人で行く。


君のこと殴るわたしがアーケードゲーム機殴る君引き剥がす
題 ゲーム
私は夫や恋人など特定の人だけを殴る。好きな人は、怒りが湧いた瞬間に目の前にあったものなら何でも殴る。私は殴る相手を選んでいて卑怯だと思うし、好きな人は平等でいいなと思う。


死にたくて構わないけど誕生日だからケーキをわたしは食べる
題 誕生日
死にたい時はいっぱいあるけど、誕生日は高いケーキ食べていいチートデイだから生まれてきてよかったんじゃない?

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