短歌81(夫がいても一人きりな気分な歌)
「心の花」2024年7月号掲載
建前を言うときにだけ揺れているロックグラスの小さい氷
カニクリームコロッケの火傷消えるまで思い出すこと許してほしい
わたしから妻へコトンとシーソーが降りてオイルに大蒜はぜる
設置した巣箱はいつも空っぽでかつて恋した人が目覚める
「この犬の動画観て」って夫へと渡すブロックされてるスマホ
「甘すぎて嫌になっちゃった」とつぶす一つももらってないピノの箱
昆布だし水から引いて沸くまでの一人を一人きりと感じる
枯れたって構わぬ薔薇が踏ん張ってわたしは花屋に行けないでいる
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