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④穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』に倣って

図書館で借りてきた穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』。
これは、色んな人が出した題を穂村弘は短歌、堀本裕樹は俳句で詠み込んで、歌合勝負をしようという本だ。
読むだけではわりとあっさり読み終わってしまいそうで、そういえば長らく題詠もやってなかったなと思ったので、私もこの歌合に参戦することにした。

第4回、スタート!

部活動長の【部長】の語感にて聞きつつ作る茶割り五杯目
題 部長
正社員歴2週間、一番長い職種がセクキャバ嬢だから、一般的な会社のポストというものがいまだによくわからない。どうも「部長」というのはわりと上の方らしいが。


稲荷寿司好きって知れば作りたくなって作った日々だった恋
題 稲荷
サービス精神というか、押し売り精神というか、ともかくも相手の好きなものを提供するのが好きだ。今年の夏はクラフトコーラとシャーベットを何度も作った。

合鍵を郵便受けに落とすのが君から逃げるスタートの音
題 逃げる
私の足が遅すぎるうえに、住宅街の行き止まりに入り込んでしまって、すぐに捕まり家に連れ戻された。


無職にも適性がある睡眠を毎夜十二時間とれるとか
題 適性
無職の最大の敵は暇である。金のかからない一人遊びができるのも大切なのだが、手っ取り早いのは早寝遅起きをすることだ。


友達がイザナミになる椅子のないこの辺からを舞台と呼べば
題 舞台
劇団未來来の「お笑いミュージカル古事記」が好きでよく見に行く。本当は出演したいのだけど、身辺が落ち着かなくてなかなか参加できない。一人が欠けると成立しない演劇というものは、精神障害者にはハードルが高い。


パスタ盛れば皿より内にひとまわり小さな楕円として収まる
題 楕円
施設での食事は、自分で炊く米と配給弁当おかずだし、私の思想の観点からも小麦抜き生活を心がけているため最近はあまりパスタを食べていない。でも美味しいよね、好きよ。


何か着ていないと捕まるこの国でスーツケースのほとんど衣類
題 着る
暑い・寒いの調節で服を着る、あるいは可愛いから服を着るのはわかる。でも服を着てないと法律に引っかかるというのは解せない。裸なんて見慣れてしまえば興奮しないだろうに。それに記号としての衣服に興奮する人も多い。


自己嫌悪の腹いせとして抱き枕ゴマ太郎氏を父はいじめる
題 腹
「俺はダメだ」と言いながらゴマ太郎をぽこぽこ殴り、「ごめんねゴマ太郎」と謝りながら大袈裟に撫でるまでがワンセット。


描くものそれが夢だと知らぬ日も鉛筆からはフリルを生んだ
題 描く
幼稚園児から高校生までは暇さえあればイラストを描いていた。既存のキャラクターを描くことも多かったけど、洋服のデザイン画も多かった。


おしぼりを巻くママを背にスガシカオあいうえお順に歌い続ける
題 歌う
お客さんがいないときには、ママを観客にワンマンショーを開いている。選曲で頭を使うのが面倒なので、一人のアーティストをあいうえお順に上から入れていくことが多々ある。

写真撮影:安野ゆり子
写真の場所:中野のスナック ねぇムーミン

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