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記事一覧
「デザイン思考」論についての違和感
私は、デザイン思考について特別に好意的でもないですし、かといって嫌な印象も持っていません。ただ近頃の「デザイン思考」論にはどこかモヤモヤした違和感のようなものがあります。
つい先日も下記のような記事が話題になっていました。デザイン思考という理論・手法に対する考察は、とかくバズる気がします。「デザイン思考を導入した(つもりだ)が、結果が出ない」といった実感が多くの組織や人々に広がっているからかもし
失敗しないアンケート調査
ビジネスでのリサーチ活動においてしばしば使われる「アンケート」という手法。リサーチ業界でも歴史的にメジャーな手法として扱われてきました。
便利な手法であるがゆえに、都合よく使われることも多く、その長所や短所を理解しないまま誤用されるケースもよくあります。そこで今回は、アンケート調査を正しく活用するために、アンケートの得意/不得意についてまとめてみました。
順序が逆になりますがまずはできないこと
インタビューでホンネを引き出すには?
ユーザーインタビューなどの取材において「取材対象者のホンネを引き出すにはどうすればいいですか?」という質問を受けることがよくあります。取材対象者がタテマエばかり話してなかなかホンネを話してくれないという経験を多くの方がされているようです。実は本当のことを言っていないのではないか?という疑念の思いもあるのかもしれません。
ホンネが聞きたければホンネを話すこと私の回答は至ってシンプルです。取材対象者
インタビューメソッド#01<ヒストリーシート>
人物取材の手法としてヒストリーシートがあります。取材対象者に過去から現在に至るまでの経験とそこでの感情の起伏を書いてもらい、行動変容や感情変化とその因子となった出来事などを洗い出そうとするアプローチです。
慢性的な疾患の治療経験、仕事のキャリア、エイジングと美容、お金や資産に対する考え、といった中長期的に変化していくテーマを扱うときに適しています。これらのテーマは対象者にとって様々な出来事が繋が
ペルソナはもうやめよう。
顧客中心の戦略を組織に浸透させていくツールとして「ペルソナ」があります。企業が提供する製品・サービスの最も重要で象徴的なユーザーモデルのことだとされています。われわれ自身も長くペルソナデザインをサービスとして提供してきましたし、今でもクライアント企業からのニーズが多い案件でもあります。そしてペルソナの持つ高い価値は十分に認めていますし、そのことを実感もしています。だけどもうペルソナはやめた方がいい
もっとみる顧客志向が実現する働き方改革
今年は「働き方改革」という言葉を至るところで聞くようになりました。政府が進める重要な政策の一つとして働き方改革が取り上げられるようになり、多くの企業が取り組み始めています。実際、デロイトトーマツの調査によると2017年にはすでに73%の企業が働き方改革に関する何らかの取り組みを始めているようです。(https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloit
もっとみる発見への真摯な眼差し
リサーチャーやアナリストに求められる能力とはなんだろうか。メディアスキャニングのスキル?インタビュースキル?統計やデータ分析のスキル?などいろいろ挙げられるだろう。これらのさまざまな知識やテクニックはもちろん重要だが、新しい発見や今までになかった気付きを真摯に探求しようとする眼差しこそがリサーチャーにとって最も重要な資質だと思っている。
先日の「シニアの食生活」に関する案件でのこと。71歳の一人
デザインリサーチという言葉が好きである理由
デザインリサーチという言葉が気に入っている。その言葉自身に大事な役割があると思うからだ。
つくる行為(デザイン)には、知る行為(リサーチ)が伴う。何かをつくり、生み出すためには、その背景や前提を知ろうとする工程がある。意識的にしろ無意識的にしろ、つくる行為(デザイン)の過程で知る行為(リサーチ)が必ず行われている。もっと言うと「知る→つくる」という単純な工程ではなく、つくる行為と知る行為は同時並
デザイン思考・限界論について思うこと
「デザイン思考には限界がある・欠陥がある」みたいなデザイン思考への批判的な声をよく耳にするようになり、その批判の声に賛同する人たち、いやいやそうじゃないでしょという人たちの間で議論が起こっている。僕自身はデザイン思考に対して特別な感情があるわけではないけれど、やたらと批判の対象になってる現状にはやや違和感を感じている。ただし、今回はできるだけニュートラルなスタンスに立つことを意識しつつ、なぜこんな
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