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顧客志向が実現する働き方改革

今年は「働き方改革」という言葉を至るところで聞くようになりました。政府が進める重要な政策の一つとして働き方改革が取り上げられるようになり、多くの企業が取り組み始めています。実際、デロイトトーマツの調査によると2017年にはすでに73%の企業が働き方改革に関する何らかの取り組みを始めているようです。(https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20170905.html)

働き方改革は進むも、その効果や従業員満足は上がっていない。

ところがこのような取り組みが活発化する一方で、その効果や満足度については芳しくないというのが実態のようです。同じくデロイトトーマツの調査によると働き方改革を実施した企業のうち、効果を感じているのは約半数、従業員の満足が得られたのは約1/4ほどにとどまっています。

同様の観点で働き方改革の課題を指摘する論調も多く聞かれます。働き方改革が政府指針として示されたことで、CSRやコンプライアンスといった義務的な活動として取り組む企業も多く、こういったケースでは下記の記事のように働き方改革を進めること自体が目的化してしまっています。残業制限などのルールだけが表面的に導入され、結果として現場の従業員にしわ寄せが行っているようです。本来は事業課題の解決に取り組む過程で、自らの組織の働き方の改革に行き着くのが健全だと思いますが、そうではないケースもまだまだ多いのが実態です。

顧客が置き去りになっている。

働き方改革が手段ではなく目的化してしまっている、という前述のような課題は事実であると思いますが、それだけではなくもっと大切なことが見落とされているのではないかと感じています。それは「顧客」に関することです。

働き方改革やそれに伴う組織改革の取り組みを支援させていただく中で、対象企業の従業員の方々にインタビューをさせていただく機会がよくあります。多くの従業員の方々から出てくるのは、自らの組織の仕組みや文化、従業員同士のコミュニケーション、仕事のプロセスやルール、などに対する不平不満です。不平不満を言うこと自体が良くないわけではありません。問題なのは出てくる話がいずれも自分や自社に関する話ばかりであるということです。従業員の方々から「顧客」に関する話題はほとんど出てくることはないのです。

「働き方や組織についての問題を考えようとしているのだから、顧客は関係ない」と考えているのかもしれません。しかし実は「顧客志向」を中核の価値観に据え置くことで働き方改革の取り組みはずいぶんシンプルで分かりやすくなります。顧客に真っすぐに向き合うことで、組織内部でも自然とゴールが共有できるようになり、社内の議論や意思決定が散漫になることを防いでくれます。顧客視点でやるべきこととそうでないことが明確になり、結果的に仕事もシンプルで効率的になります。また従業員一人一人が顧客を満足させようと意識することで、自分の仕事の意義や目的についても考えるようになり、やりがいを生むことにもつながります。

顧客の満足度を高めたり、顧客との良好な関係性を構築したりすることは、組織にとって空気を吸うようにごく自然な活動であるべきで、常にそれが中心にあるのが理想なのだと思います。働き方改革を含めた組織に関する取り組みは、さまざまな問題が絡み合う複雑なアジェンダではありますが、「顧客」を中心に考えることでシンプルに効果的に取り組むことができるのではないでしょうか。

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