アイデアノート19 インディゴ組織と越境+個人別採算方式
インディゴ組織で見られる越境という概念
インディゴ組織では、それ以前のパラダイムの者の参加を容易にするための工夫がなされている。そこで重要になるのが越境という概念だ。
越境は、他の著書でも多く言及されている。普遍化欲求もそう名をつけられていないだけでよく知られているものだ。
回遊型人間と呼ばれるように、分野や領域を問わず越境を果たす。
これと同じように、パラダイムについても越境を果たすのだ。ティール組織であれば、組織のイニシアチブ(知の先駆者)は最低でもティール型である必要があった。このため、社長交代によりティール組織でなるなるケースも多々存在していた。
しかし、インディゴ組織では、組織の存在目的が命題となることで、最悪命題さえ無事ならば、たとえメンバーが全員オレンジ型パラダイムになろうと組織の構造を保つ力を手に入れる。
そのために必要なのが高い発達段階の陳腐化(カスタマイゼーション)である。
ノーベル賞であれば、受賞者を一人に決めることが承認欲求に対する回答となっている。世界に名を残したいという自己実現欲求と承認欲求の境目であれば参加可能になる。
名誉や報酬を付けるときにも、もはやそれはインセンティブではなく、承認欲求に対するイニシアチブとして利用する。そして受賞する頃には名誉や報酬を受けたところで、上下関係などないと思うようにしておく。
これは、発達段階のことを理解し、エゴを取り払えているからこそできる芸当だと言える。つまり組織の存在目的が命題となることで、より低い発達段階にも使え、発達段階によらず誰でも参加できる発達段階の高い組織となるのだ。
ティール組織では自己実現欲求が中心で、まだ承認欲求と近すぎる。このため、インセンティブを付けると自らがグリーン型などに退行しかねない。しかし、インディゴ組織であれば、もはや三つ前の段階であるためこれに応じることはない。基本的に三つ前の慣習は完全に消え去ると見ていいだろう。
グリーン型からはレッド型の力による関係は完全に消え、ティール型からはアンバー型の上下通達が消えている。ターコイズ型からはオレンジ型の利益至上主義が消えている。
このようにして、インディゴ型からはグリーン型にあった連帯責任感が消えることになる。全員がイニシアチブであるから、もはや一部の者が失敗しても、単にそのやり方が間違っていたことを示しただけに過ぎないのだ。
名目上の組織としては当然責任を負うだろうが、誰々が悪いという間違い探しはもはや無くなる。その失敗した当人の責任で済む。それどころか、失敗を糧にできる。このおかげで、命題に対し全うなことであれば、いくらでも越境して挑戦できるようになるのだ。こうしてジャンルや分野を超えて知の探索ができるようになる。では、新たにインディゴ型を採用するとき、どのように足掛かりを付ければよいのだろうか?
引き上げを行う
インディゴ組織は、組織自体に強力な足掛かりを設ける。
ティール組織では事務などの職種の壁を取り払ったが、インディゴ組織では職種どころか仕事の壁もインセンティブさえも必要なくなる。
究明したい存在目的とその達成による、世界への貢献という報酬があれば充分であり、賃金や労働時間はもはやそのために自身に都合が良いものにすれば良い。特に個人別採算方式との相性が良い。
教育であれば支援型が最も子供の発達を促すとの研究があるが、同じようにカネも労働時間も世界を支援する材料であると理解する。すると、オレンジ型の頃のようにべらぼうに稼ぐ必要さえないので、経営は安定する。生きがいに貢献しないほど高い賃金を払う必要はない。覇権を狙うためにあまりにも高いリスクを負い拡大する必要もなくなる。
全ての人において幸福度がそれ以上上昇しなくなる一定の賃金(カネの量)が存在する。このため、これを超えた賃金を企業は払う必要がなくなり、社員もそれを求めるくらいならば世界に貢献した方が幸せになること知るのだ。
時代を超えた価値提供に意識が向くようになり、ダイナミックケイパビリティ(変わる力)を手に入れ、破壊的イノベーションにびくびくすることもなくなる。
それだけでなく、それまでのパラダイムをインディゴに引き上げる力をより強く発揮するのだ。個人別採算方式は中でもその一例だろう。
個人別採算方式
アンバー型→全員が社長の状態となり赤字にならないため、誰かに首を切られる心配がなるなる。こうして組織からのけ者にされる恐れを克服する。
オレンジ型→自分が稼いだ分が見える化されるので、あくなき利益追求を含んでいる。
グリーン型→自分は自分、他人は他人と分別がつくようになる。他人不干渉を手にする。
ティール型→他者による支配から逃れ、自分で自分の投資や給与などを決定できるようになり、セルフマネジメントを手にする。
ターコイズ型→全員がリーダーシップを発揮することで、一人の人間による意思決定から離脱する。こうして、ティール型まで重荷になっていた一人の頭脳への依存を克服する。
インディゴ型→世界中心的に考えた際のアイデアを実行しやすくなる。
そもそも、完全な個人別採算方式であれば会社は決して赤字になることがなく、首を切る必要もなければ、退職されるリスクも下がる。生活費分だけ貰ってあとは全て投資するといった意思決定もできる。このため常にカネを健全に回すことができ、税金も大幅に削減できる。銀行に貯めるくらいならば、投資をした方が社会に貢献できると考える習慣づけにつながる。
このように考えると、人事評価が不要になり、細かい意思決定が不要になり、細かな経理が不要になり、離職率が下がり、リストラが不要になり、赤字になる可能性が一気に下がり、自ら投資できるのでイノベーションは活発になる。
いずれ世界は個人別採算方式の時代を迎える。その始まりが、DAOやDeFiである。これにより、カネは銀行ではなく企業に預けるものと価値観が変化していくだろう。
これが今後説明する企業生きがい主義の一部だ。
↓前回
↓次回