【詩】 さくらんぼ
ブランコが春の季語だなんて
誰が決めたの
異色の響きも堂々と
歳時記に鎮座するその四文字は
桜の樹の下で
キミの誘惑を待っている
囁くように蕾を開き
薄桃色を惜しみなく解き放つ
感情と創作の狭間で
眠気を誘う揺れる想い
春だから
ただそこに居て
肌色のフラットな靴をそろそろ
バスケットの用意も忘れずに
だけど
もう少し裸足のままで
つま先で地面をトンと蹴る
半円がもう少し大きくなれば
あの丘の向こうが見える
朝日なのか夕日なのか
名付けるのは
そう私
びゅるりと耳を
しゅーんと押し抜ける風
眼を閉じて
吊り紐をしっかりと握り
空を仰げば
恍惚とする浮遊感
重力の原点を探そうとしたり
遠心力の終わりをうっとりと願ったり
揺れているのは私
なのかもしれない
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