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シロクマ文芸部参加

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シロクマ文芸部参加のショートストーリーです。
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#note

テレパシー  :  「# 詩と暮らす」

テレパシー : 「# 詩と暮らす」

詩と暮らすって

どんな感じだろう?

私は今、
言葉を手放そうと思う。

でも、

詩と暮らす
…と言う事は?

言葉と暮らす
…と言う事ではないか?

ただ、

詩とは言葉ではなくて、
胸に湧き上がるなにか…。
腹にすっと落ちていくなにか…。

なのだと思う。

それでも、

その何かを
誰かに伝えるために
「詩」は
いつしか言葉になって行く

私が
テレパシーで
伝える事が出来たなら

あな

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醒めない夢 : 「#逃げる夢」

醒めない夢 : 「#逃げる夢」

逃げる夢を見たのはいつだろう?
随分前で、思い出せない。

逃げながら、 
「これは夢だから、なんて事ない。」
と、
必ず夢の途中で
夢である事に気付いていた。

これも夢だったら。

雑居ビルの谷間を抜けて、
とうとう船着場まで走り抜けた。
爆弾低気圧で
全てをひっくり返しそうな風が
体を前後左右にぐらつかせる。
雲が恐ろしく早く過ぎて、
三日月が消えたり現れたりしている。
枯れ葉が空高く舞い上

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誕生日  :  「#誕生日」

誕生日 : 「#誕生日」

「誕生日、おめでとうございます。」

と、
カウンターの向こうにいる女性が、
満面の笑みで私に言った。

驚いて、書類から顔を上げると、

「今日、誕生日ですよ。
 忘れてましたか?」
と、言う。

忘れていた訳ではなかった。

ただ、誰かに
「誕生日おめでとう」
と、言われた事がなかったから、
驚いただけだった。
しかも、満面の笑みで。

誕生日は、おめでたいはずだ。
きっと、おめでたいものなの

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ミッシングピース  :  「#紅葉鳥」

ミッシングピース : 「#紅葉鳥」

「紅葉鳥?
 そんな派手な鳥ではなくて、
 雀みたいな鳥が好き。」

「紅葉みたいに綺麗じゃないか。」

「うーん。」

「綺麗な羽だし、
 鳴き声だって可愛いよ。」

「うん。
 可愛い声だけど…。」

「この鳥が嫌なの?」

「そう言う訳じゃない。」

「じゃあ何?」

弘毅から目を逸らして、店内に視線を這わせた。
鳥を鳥籠に入れて飼うこと自体が嫌なのだ。
マンションよりは広い戸建ての新居に移

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浄化  :  「#珈琲と」

浄化 : 「#珈琲と」

珈琲と飛行機雲。

テーブルに頬杖をついて、
はぁ〜と、ため息をついた。

人って、みんな違う。
そんなの当たり前だけど、
それが許されないことって沢山ある。

「同じ事をしても、それの目線の先が誰かの幸せか、お金かで、考え方は全然違うじゃない?
私さぁー、どうしてもお金を目線の先に置けないんだよね。」

と、栞に愚痴ると、

「知ってる。紗織は優しいもん。」

と、栞が言った。
ん? そこに優し

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りんご箱を探して  :  「#りんご箱」

りんご箱を探して : 「#りんご箱」

「りんご箱。
昔はりんご箱を机にしてたのよ。」

そう母さんが言う。

母さんは昭和初期のものが好き。
引き出しにくい桐の箪笥とか、
木の木目が浮き出た椅子やテーブル。
今回は、木箱のりんご箱が欲しいと言う。

「でもね、昔はりんご箱が簡単に手に入ったかもしれないけど、今はかえって割高でしょ。」

「そうねぇ。
りんご箱が売られてるのなんか見た事ないわ。」

「じゃあ無理じゃない。」

「だけどさ

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生き方の正解  :  「#走らない」

生き方の正解 : 「#走らない」

走らない。
…よね〜。

「急いで。」
と、私が言うと余計にゆったりと景色を眺めだした。

「日光は何回も来たことある。」
と言って、連れてこられた感が強くて興味なさそうだから、山葡萄の蔓籠バックを作っている人がいるから、そちらに行こうと言うと、興味を示したものの、だからと言って、動きは緩慢だ。

時間が遅くなると、見学出来なくなると言っても、のんびりと参道を歩く。
そんな母を、母の友達の知子さん

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5月のカレンダー  :  「# 月めくり」

5月のカレンダー : 「# 月めくり」

月めくりのカレンダーが5月のままだ。

はぁ〜とため息をつき、
「もう今年も残り2週間なのに、カレンダー5月って。カレンダーの意味ないでしょう。」
と、面倒くさがりの娘に言った。
どうせカレンダーをめくるのさえ面倒だったのだろう。全く呆れる。

「もう、朝からうるさいなぁ。」
頭爆発して口角にはヨダレの跡がある。
どこかの戦場にでも行ってたみたいだ。

「もうお昼だよ。こんなに天気もいいのに。」

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人間以外の生物 : 「#読む時間」

人間以外の生物 : 「#読む時間」

読む時間だ。

じっと、目を凝らし、見つめ続ける。

お互いが、お互いを読み続ける。

ふと、思う。

私はともかく、あなたは、私をどのように読んでいるのだろう?
離れた丸い目で見続けている。



…と、思うのだろうか?

巨大な獲物

…と、思うのだろうか?

私の憶測は単純で、同種でなければ「敵」か「餌」と言う、貧困な発想しか浮かばない。

果たして、彼らは人間をどんな風に見ているのか?

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ロッタとの物語  :  「#愛は犬」

ロッタとの物語 : 「#愛は犬」

愛は犬って、本当だろうか?

犬と言えば、飼い主の足音を聞き分けた途端、玄関に猛ダッシュして、尻尾が振り切れるくらい振りまくる。

ロッタもご多聞に漏れず、玄関を開けると木登りする様に私に駆け登り、首に両腕を絡めて、キスの嵐をお見舞いして来ていた。気を付けないとディープキスになるから、口を真一文字に絞めておかないと大変な事になる。
それは、ロッタがなくなるまで、毎日続いた。

それだけで私はロッタ

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迷子のおっさん  :  「#ヒマワリへ」

迷子のおっさん : 「#ヒマワリへ」

「ヒマワリへ向かって右です。」

風は涼しくなったが、昼間の日差しはとても強くて、その人は麦わら帽子を目深に被り、汗をタオルで拭いながら答えた。

田舎道だから、特に目印も無くて、一つだけ咲くヒマワリが目印とは。

こんな目印さえない田舎道は非日常で、溜まったモヤモヤを解放してくれる。
日常が続く事こそ平和なのだろうが、変わり映えのない日常が続く事が何故か疲れさせる。
全てを捨てて、「わーーー」っ

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絵を描く : #「文芸部」

絵を描く : #「文芸部」

「文芸部でした。」

やっぱりそうかと思った。

ヒョロリと細くて、色白で、カメラを重そうにぶら下げるその姿から、そんな感じがした。

「私もですよ。
でも、本当は落語研究会だったんですけど、部員が少なくて部活に入れてもらえなくて、落研部員はみんな文芸部に席を置いていただけなんです。
ほら、詩とか書くなんて小っ恥ずかしいから、席があっても、な〜んにもしてなかったんですけどね。」

「絵をお描きなら

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息子のケンカ  :  #「平和とは」

息子のケンカ : #「平和とは」

平和とは? …なにぃ?

私はタケルとヨシの間に入った。

「取っ組み合いは良いけど、物を壊すのはやめて頂戴。」

「だってヨシったら、ミサイル打たれたら打ち返せばいいとか、言うんだぜバカだよねぇ。」

「確かにバカだけど、冷静に話し合うとかならないの?」

「ならないからこうなってんじゃん。」
と、ヨシは語気が荒い。

「はぁ。そうみたいね。
じゃあ、おばあちゃんの家の話しをしましょうか。」

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真夏の夢  :  「書く時間」

真夏の夢 : 「書く時間」

書く時間は、人々が寝静まってから。

静寂の中、スマホの灯りだけが部屋を照らし出す。
キーボードを叩く音も、ファンが回る音もしない。
手の平に乗るスマホ一個で物語は生まれていく。宇宙誕生から、これまでの全てが物語になっていく。

「今日はどんな物語にしようかなぁ。」

小さく呟いた声が、まるで誰かが呟いたように響く。

DNAに組み込まれたバイオフォトンに、植物のバイオフォトンを移植してテレパシー

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