自然体で生きるための心構え「千里同風」とは？　固執しない生き方を手に入れる工夫

「あの人はいつも肩の力が抜けていて自然体だなぁ…」

たまに仕事やプライベートで出会う人で「楽に生きているように見える」人がいます。

実際はたくさん努力して苦労もされていると思いますが、それを感じさせずに自然体な雰囲気を纏っていたりします。

そんな人に自分もなりたいと思いますが、そのためには何が必要なのでしょうか。力まずに自然体で生きるための工夫を考えます。

選択したことに悩まない

日々生きているといろんな葛藤があります。人生は小さな選択の連続で、その選択ごとに一喜一憂していると疲れてしまいます。

先日、良い判断と悪い判断について考えをまとめました。この記事でたどり着いたのは「判断に良し悪しはない」という事です。下した判断は全て正解。大切なのはその先の行動です。その行動次第でその判断が良くも悪くもなるということです。

そう考えると、どの道を選ぼうが安心して進んでいけば良いという事だと思います。人と自分を比べる事なく、過去の自分と比べる事なく、考えても仕方がない未来に不安になる必要もありません。

執着や世の常識から自分を解放する事で、極力悩まずに暮らしていけるのではないでしょうか。

禅語の「千里同風」

禅の言葉に「千里同風（せんりどうふう）」という言葉があります。この言葉の意味は「遠く隔たった地方にも、同じ風が吹く」という意味。つまりは世の中がよく治まっていることを表現する言葉です。

「千里」は遥か遠いイメージ、そして「あらゆる場所」の意味、「風」は世の中の状況、情勢を意味し、「遠く離れた地も同じ情勢である」という意味が転じ、そう使われるようになったそうです。風が吹き抜けて千里を渡っていく壮大なイメージもある言葉ですね。

この言葉のように、どこでどんな事に向き合っていたとしても、その場所で力を尽くしさえすれば良いと思うと、とても気が軽くなります。

無理にどこかの地を目指す必要もなく、無理に自分以外の誰かになる必要もありません。あるがままの自分で、あるがままに生きる。そんな人生はどの瞬間を切り取っても「今が楽しい」と思える人生なのではないでしょうか。

キャリアドリフトという考え方

以前、組織論やチームビルディングを学んでいた頃、「キャリアドリフト」という言葉を知りました。この言葉の意味は、自分のキャリアについて大きな方向づけさえできていれば、人生の節目ごとに次のステップをイメージするだけで良く、それ以外は流れに身を任せるという考え方の言葉です。偶然の出会いや予期せぬ出来事にも逆らわず、柔軟に受け入れる。あえて“流されるまま”でいることも大切だという考え方です。

ドリフト（drift）とは「漂流する」という意味。レーシングカーのドリフトはタイヤのグリップを緩めて流されながらカーブを切り抜けるテクニックですね。正に流されながら駆け抜けるイメージです。

このキャリアドリフトという言葉に出会った当時、私は自分の人生は自分で全部デザインしなきゃダメだと思い込んでいました。「あえて流される」という考え方を知ってとても衝撃的でした。

そしてこの言葉を知ってからの人生は良い方向に転んでいるように思います。私が20代後半で転職したのも友人から掛けられた一言を真に受けて行動したことがきっかけです。その会話の2ヶ月後には新しい仕事に就いていました。この頃から出会いや、ご縁、巡り合わせに身を委ねる感覚を大切にするようになりました。

人生で「これじゃなきゃダメ」という事はそんなに多くはないと思います。であれば、マスト以外の要素は偶然や出会いに委ねた方が人生は面白い。そんな気がします。

私がnoteを始めたのはコロナがきっかけでした。noteを毎日更新するようになり、自分の考え方や価値観は少なからず良い方向に成長しているように思います。これもコロナという流れの中で自分が変わったという事だと思います。何かに出会った時にその流れ中で何かを掴む感覚が大切なのだと思います。

「流される」というと受け身の印象がありますが、「流れに身を任せる」は主体的に意思を持ってそうするという能動的な行動です。時には時代に身を任せる事も人生には大切なのかもしれません。

まとめ

日々を力まずに生きるためには「固執しない」ことが大切です。それは他人の目、過去の自分、未来の自分に固執しないということも含みます。

どんな選択をしたとしてもそれは全て正解です。そのあとの行動次第で良くも悪くもなる。そう思えば、決める事はさっさと決めて目の前の事にただ集中する、それだけで良いのだと思います。

人生には色んな偶然や巡り合わせがあります。たとえ思っていた通りに行かなかったとしても、時にはその状況に身を委ねる事も大切です。

水は流れやすい方向に流れます。そこを無理に抵抗すれば負荷がかかるばかりです。偶然やご縁を大切に、想定外の人生を楽しむくらいの余裕を持ちたいものですね。

日々の生活の中でドリフトする感覚を持つ事ができれば、よりしなやかに、柔軟にストレスなく毎日をおくれるのかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。