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アルバムレビュー

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漫然とアルバムを聴いていると印象を忘れてしまうので、アルバムを聴きながら1曲づつ感想を書き留めてみることにしました。特にジャンルレス。その日選んだアルバムを聴いてレビューしていき…
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Dream Theater / Parasomnia (と最高のライブ盤)

Dream Theater / Parasomnia (と最高のライブ盤)

USプログメタルシーンを代表するバンド、Dream Theaterの16作目。創設メンバーで脱退まではリーダー的存在でもあったドラマーのマイク・ポートノイが2010年の脱退後、2024年に復帰してから初のアルバム。

ポートノイの復帰は驚きました。というのも、前作A View From the Top of the World(2021)は近作の中では最も出来の良い作品だと感じたし、2022年のグ

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C Duncan / It’s Only Love Song(2025)

C Duncan / It’s Only Love Song(2025)

UK グラスゴーのシンガーソングライター、C Duncanの2025年作。アルバムとしては5作目。Allmusicの新譜レビューで星4.5がついていたので発見。POP/ROCK系の新譜で星4.5ってなかなかつかないんですよ。

聞いてみたら「エバーグリーンなポップスとはこういうものだ」という音像。橋本徹(SUBURBIA)さんが選んでいたフリーソウルコンピが好きだった人なら直撃すると思います。しか

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1990年代の私的邦楽ベストアルバム振り返り① LINDBERG / LINDBERG III

1990年代の私的邦楽ベストアルバム振り返り① LINDBERG / LINDBERG III

1990年

LINDBERG / LINDBERG III (1990年4月21日)日本におけるハードポップ、女性ボーカルのロックバンドの一つの完成系。80年代、レベッカが去った後、それを埋めるように出てきたリンドバーグ。リンドバーグは元アイドルがボーカリストだったこともありプロジェクトバンド感があるが、実のところボーカル以外のメンバー全員が作曲する本格的なバンドだった。このアルバムでは外部ライ

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USハードロックの王道、tremonti / The End Will Show Us How

USハードロックの王道、tremonti / The End Will Show Us How

マーク・トレモンティのソロプロジェクト、tremontiの新譜が出ました。tremontiのバイオはこちら。

CreedはUSで大人気だったバンドで、彼らのセカンドアルバム「Human Cry(1999)」はUSだけで1100万枚を売り上げる大ヒット。ポストグランジ世代のロックバンドを代表する存在です。作曲はトレモンティが主体ですが、トレモンティはCreedではギタリスト。ボーカリストはスコット

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折坂悠太 / 呪文

折坂悠太 / 呪文

日本のシンガーソングライター、折坂悠太の4作目。前作で知ったアーティストです。

前作は日本人離れした感覚、グローバルポップの感覚を感じて耳が惹かれたのですが本作はどうか。

1.2曲目は前作に比べると大分日本的、純邦楽というよりJ-POPの語法に近づいた感覚。悪い意味ではなく、聴きやすく、口ずさみやすくなっています。かなりメロディが推敲されている。耳障り良いけれど陳腐さがない。

三曲目はやや民

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ACE COOL / Light And Darkness(明暗)

ACE COOL / Light And Darkness(明暗)

日本のラッパー、ACE COOL。あまりヒップホップには詳しくないのでバイオを聞いてみました。

いろんな人の年間ベストを観ている中でヒップホップ系のものを見つけ、ざっと聴いた中で耳に残って聴いた作品。バックグラウンドや本人のストーリーは知らず、音だけで惹かれた出会いです。

大和田俊之さんと長谷川町蔵さんによる「文化系のためのヒップホップ入門」という本がありまして。

この中でなるほどと思ったの

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Wintersun/Time II

Wintersun/Time II

フィンランドのメロディックデスメタルバンド、Wintersun(ウィンターサン)の新譜。7年ぶり4作目のアルバムです。2004年デビューと20年選手でありながらかなり寡作なバンド。

もともと本作はデビュー作の後、セカンドアルバムとして制作されたTimeというアルバムが元。06年に制作を開始し2枚の連作になる予定がリリースが遅れ、第一弾のTime1がリリースされたのはデビューアルバムから8年経った

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Judas Priest / Invincible Shield(2024)

Judas Priest / Invincible Shield(2024)

UKメタルの祖とも言えるジューダスプリースト(鋼鉄神)、プリーストの結成は1969年とブラックサバスとそれほど変わらないが、デビューは1974年、そして本格的な商業的成功を収めるのは1980年のブリティッシュスティールからとやや遅咲きのバンド。ただ、それ故か「British Heavy Metal」に拘り「ヘヴィメタルとは何か」という音像を追及してきたバンド。以前書いたようにヘヴィメタルの誕生は1

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Bruce Dickinson / The Mandrake Project (2024)

Bruce Dickinson / The Mandrake Project (2024)

★★★ 感動した/ウルッと来た
★★ ワクワクした/耳を惹かれた
★ 平常

全体評価:★★★19年ぶり、アイアンメイデンのボーカリスト、ブルース・ディッキンソンのソロ作。前作同様ロイ・Zとタッグを組み、コンセプトアルバムとしての作品。

まず、メタル色は薄い。というか、最近改めて思うが00年代以降「メタル」というとグロウルボイス(いわゆるデス声)の印象が強くなっている気がする。そもそもブルースは

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Creeper / Sanguivore

Creeper / Sanguivore

2014年デビューのUKのバンド、Creeperの3枚目のフルアルバム。気が付けば毎回アルバムを出すたびに取り上げています。

1st。

2nd。

「凄く好きなバンド」というほどでもないと思っていたんですが、毎回記事を書いているし過去2作はLPも持っているからかなり好きなのかもしれない。正直、前作はあまり出来が良くないなぁと思っているんですがLPを買っていました。何かコレクター心をくすぐるとこ

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人間椅子 / 色即是空

人間椅子 / 色即是空

日本の誇るストーナー/ドゥームメタルバンド、人間椅子の2年ぶり、23枚目のアルバム。1989年のデビュー以来、ほぼ1年か2年おきにアルバムをリリースし続けるという偉業を成し遂げています。継続は力なり。ドラムがナカジマノブ氏に変わった2004年以降、現体制としては12枚目のアルバム。現体制でのアルバムが全カタログの過半数を超えました。不遇の90年代後半~00年代を経てOzzfest Japanへの参

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Avenged Sevenfold / Life Is But a Dream…

Avenged Sevenfold / Life Is But a Dream…

USメタルの巨人、A7X(Avenged Sevenfold)の新譜がリリースされました。8枚目のアルバムで、前作「The Stage(2016)」から7年ぶりのリリース。2018年からアルバムの制作はスタートし、2020年末にはほとんど完成していたそうですがコロナ禍によりツアーが延期され、アルバムのリリースも今のタイミングにずれこんだ、とのこと。

A7Xは1999年結成、2001年デビュー。最

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Metallica / 72 Seasons アルバムレビュー(第一印象)

Metallica / 72 Seasons アルバムレビュー(第一印象)

いよいよMetallicaの新譜が公開されました。あまり前情報を入れず、初聴した感覚を書き残しておこうと思います。

1."72 Seasons" 7:39 ★★★★☆先行発表されていたタイトル曲、リフがなだれ込んでくる。これはすべてダウンピッキングだろうか。今の基準だとそこまで高速というわけでもないが体感として早く感じるリフワーク。そのまま疾走感のあるドラムが入ってくる。アップテンポなナンバー。

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Babymetal 4thアルバム『The Other One』レビュー

Babymetal 4thアルバム『The Other One』レビュー

2010年代を代表するメタルアクト、Babymetalの5年ぶりのニューアルバム「The Other One」がリリースされました。アルバムレビューを書きつつ、このアルバムを現代メタルシーンの中に位置づけていきたいと思います。

Babymetalのメタル史における位置づけについて考察したことがあります(→関連記事)。結論としては「2010年代を代表するメタルアクト」でした。2010年代に出てきた

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