Metallica / 72 Seasons アルバムレビュー(第一印象)
いよいよMetallicaの新譜が公開されました。あまり前情報を入れず、初聴した感覚を書き残しておこうと思います。
1."72 Seasons" 7:39 ★★★★☆
先行発表されていたタイトル曲、リフがなだれ込んでくる。これはすべてダウンピッキングだろうか。今の基準だとそこまで高速というわけでもないが体感として早く感じるリフワーク。そのまま疾走感のあるドラムが入ってくる。アップテンポなナンバー。しばらくするとテンポチェンジが入る。YoutubeでMVを先行視聴したときも感じたが今回はギターの音が明るめ。中音域がしっかりしている。いわゆる「アメリカンロック」の音作り、よりコンテンポラリーな音作りに接近。ただ、「Load」「Reload」の時とはことなり、曲構成そのものは確立されたMetallicaスタイル。エッジが効いたギターリフがあり、ボーカルが絡みつき、リズム隊が疾走する。カークハメットのワウギターも冴えている。Master Of Puppetsなど、80年代の疾走感を取り戻そうという意気込みか。当然に年を重ねているので当時のような暴走感はないけれど、落ち着いた疾走感がある。たとえるなら高級セダンで高速を飛ばすような。洗練されていて快適なのだけれど加速感がある。
やはりギターサウンドは一級品。今回は音が良い。ライブ感というか「演奏している感じ」がしっかりありつつ、音には細心の注意が払われている感じがする。心地よさと迫力のバランスが良い。メタルバンドでこういう音を手に入れているバンドは他にあまり思い当たらない。今のメインストリームのコンテンポラリーなバンドサウンドで、しっかりメタルの骨組みの曲を演奏している印象。
曲構成は何度も変化していく。アップテンポ、ミドルテンポが切り替わる。今作はどの曲も長尺だが、どのパートにも複数のアイデアが詰め込まれ、曲も複数のパートが組み合わされている印象。巨大な構築物。7分半の曲を勢いで聞かせきる。
2."Shadows Follow" 6:12 ★★★★
少しテンポが落ちるが、前曲と同様に刻みリフからスタートする。やや音から感じる風景としては似ている。ただ、リフのパターンが違うので「違う曲」に変わった感じはする。前の曲のバリエーション、変奏のようにも感じる。もうちょっとギターリフに存在感があるかもしれない。メロディアスというか少しコミカルな感じ。これはカークのリフだろうか。ギターサウンドが生々しいがそこまで尖っていない、どこか温かみがある音なのでそう感じるのかもしれない。Iron Maidenのウーマントーンとはまた違う、うーん、ブルージーな音と言えばいいのだろうか。ロバートトゥルージロのベースもうまく空間を埋めていて、ギターとドラムが分離する、ドラムが浮き上がって聞こえることを避けている。ボーカルラインにちょっとしたコーラスが入る、短いコーラスパートで印象に残すのセンスはやや欧州的なものを感じる。初期Acceptも近いが、たぶんMerciful FateとかDiamond Head由来なのだろう。要素がまじりあっていて面白い。72 Seasons、つまり最初の18年間(4回の季節×18年=72の季節)というタイトルで、若年時の思い出、人格を形成するまでの18年間を振り返るようなタイトルなのだけれど、確かにそうした「若々しさ」を感じさせる。彼らの少年時代というとラーズとジェイムスは1963年生まれなので1963-1981か。
3."Screaming Suicide" 5:30 ★★★★★
ここでまた風景が変わる、この曲は明確に「変わった」感がある。ちょっとテンションが上がった感じ。これも前に先行配信されていた曲だから「リフが耳に残っていた」せいもあるだろう。ところどころバスドラにブラストビートが入る。リフと絡み合うリズムパターンも凝っている。この曲も疾走感というか焦燥感がある。ある程度コンテンポラリーな音作りの中でメタルのスリルや醍醐味を伝える面白い曲。今回のアルバムはベテランの重厚感、重苦しさよりもどこか軽やかな印象を受ける。まっ黄色のジャケットからしてどこか明るい。そこに黒い影が落とされるわけだが、そこにあまり陰惨さ、悲壮さがない。曲どうこうより全体として音にエネルギーと明るさがある。曲はどんどん展開していくが、やはり80年代メタル的なエネルギーが強い。スラッシュ前夜というか。NWOBHMのエネルギーにハードコアシーンやカントリーのメロディを組み合わせたような。メンバーそれぞれの経験とMetallicaの音楽遍歴がまじりあったような曲。
4."Sleepwalk My Life Away" 6:56 ★★★★
ベースとドラムのリフからスタート。ベースがかなりゴリゴリしている。ベースの音の切れが良い。それでギターとの絡みも心地よく、エネルギッシュに聞こえるのだろう。ここまでの印象として曲構成そのもので言えばどの曲も長尺だしかなり複雑に組み合わされているのだが、聴きやすいパートは多いからか置いていかれる感じがしない。耳に残るフックのあるフレーズが随所に出てくる。ギターとボーカルが入ってくるとやや重め、グルーヴメタル的な感じ。これは90年代メタルなのか。いや、聴き方によっては60年代のサイケのようにも聞こえる。ボーカルメロディはけっこうメロディアス、初期ドゥームメタル、サバスとかなのかな。オジー時代のBlack Sabbathは実はメジャー調の明るいメロディも多かった。ぐるぐると回るようなメロディ。先ほど書いたが、ジェイムスとラーズの72 seasonsは1963-1981。ほかのメンバーもそこまで年は変わらないので(ロバートは1つ下、カークは一つ上)、ほぼ1960年代半ばから1980年代初頭がここで明示された時期となる。最後はNWOBHMが出てくるころだが、それ以前の方が長い。60年代、70年代の音楽的影響と考えると確かにそう感じる。63年はThe Beatlesがデビューし、ブリティッシュインベンションが起きた年。そしてJimi Hendrixが現れ、Led ZeppelinやCreamによるハードロックブームが起きる。プログレ、パンクを経てニューウェーブ、ポストパンク、メタルへ。NWOBHMはポストパンクの一つでもあったと思う。こうした「ロックが生まれ、拡大し、複雑化しすぎて解体され、そして拡散していく」流れの渦中にいた年代。そうしたエッセンスが確かに今までの曲の中に詰まっている。
5."You Must Burn!" 7:03 ★★★★
ややミドルテンポの曲、初期ドゥームメタル、サバス的な引っ張る感じがある。これはトニーアイオミか。ただ、音像はどこか軽さがある。歌い方もちょっと呪術的。だけれどカラッとしているのでDoomというよりStorner感が強い。ストーナーは基本的にブルースやカントリーの感覚を持っていて、本質的にはヘヴィブルースの一形態だと思う。この曲はアメリカンな側面が強く出た曲。ジェイムスのアイデアが骨子だろうか。昔のMetallicaだと「退屈な曲」とされていたような気がする曲だが、バンドの表現力が上がっていて酩酊感がある。単に僕がストーナーやヘヴィブルースを聞くようになったからかもしれないけれど。途中でさらにサイケデリックなコーラスに。フランジャーをかけたコーラスが回る。呪術的。お、ギターリフとギターソロの絡みがカッコいい。そうか、こういう曲だとカークのギターソロが映えるな。
カークハメットというギタリストはメタル界にいるから「テクニックが」とか「早弾きが」とか言われるが、そもそもジョーサトリアーニの弟子であり決して下手ではない。デビューアルバム「Kill 'Em All」を聞き直したとき、ピッキングの音の粒がそろっていることを再発見した。丁寧でうまいギタリストなんですよ。テクニカルなフレーズをあまり弾きまくらないだけで。メタルジャスティスとかにはネオクラシカルみたいなソロも入っているけれど、本質的にはジョンフルシアンテとかにも近い、「フィーリングと音色を追及する人」なんじゃなかろうか。この間レッチリを観てふとそんなことを思った。カークのギターソロが映える曲。
6."Lux Æterna" 3:22 ★★★★☆
先行で最初にリリースされた曲。シングルの時点だと勢いがある曲だな、と思ったが、意外とアルバムの中に入れてみると落ち着いて聞こえる、というか、軽く聞こえる。Black Sabbathの「Paranoid」のアルバム内における「Paranoid」の立ち位置というか。短くて勢いがある小曲で、あっという間に終わってしまう。だけれどカッコいい、みたいな曲。この曲だけかなりシンプルで情報量が少ないからだろうか。ああ、書いていて気が付いたがこの曲は「Paranoid」を意識したのかもしれない。ただ、ブレイクダウンを挟んでまだ曲が展開していくのは今のMetallicaらしさ。このアルバムにしては短い曲だが3分半あるからその分展開は多い。
ジェイムスが声を張り上げる曲。ジェイムスってあまりスクリームをしない人で、過去はセイントアンガーぐらいか。本作は「18歳まで」というコンセプトも影響しているのか、けっこう音域が広い。高いところは叫び声を出している。リズムパターン、使われている音階、音色などは従来のMetallicaより幅広い。
7."Crown of Barbed Wire" 5:49 ★★★★
始まりのリフからして複雑。複数のリフが組み合わされて展開していく。トニーアイオミ的というか、これもBlack Sabbath的か。ドラムがいつものラーズ。ボーカルがコーラスが入りちょっと開けた風景を見せる。これもストーナー曲。メタリカのストーナー曲が好きになるかどうかで最近のアルバムの評価は分かれる気もする。僕は好き。お、途中からさらに音が足された。ギターサウンドが途中から少し大きくなる。細かいサウンドレイヤーの積み重ねで音の酩酊感を増す工夫がされている。途中、人間椅子みたいなリフが出てくる。太いギターサウンド。ベースもぶんぶんと唸る。バンドの演奏シーンが目に浮かぶ。以前、ドキュメンタリー映画”真実の瞬間”でラーズの父親だったか、「メタリカはロックに肉体性を取り戻した」みたいなことを話していた。その評価が客観的に正当かどうかはさておき、メタリカというバンドが「バンドの肉体性」に拘り続けているのは事実だと思う。それがつまり「ヘヴィメタル」というサブジャンル、いや、今は原点的な意味での「ロック」を引き継ぐものの本質だと位置づけているのだろう。
8."Chasing Light" 6:45 ★★★★☆
掛け声からスタート、「Hit The Light」を思い出す。ただ、リフはミドルテンポ。やや中盤の中だるみ感があるか。お、リフのテンポが変わった。軽快さが出てくる。2曲続けてストーナー曲はないようだ。この曲はちょっと70年代ハードロック的、少しLed Zeppelinの移民の歌のリフも混じってくる。ああいうリズムってあの曲で強く印象付けられたからね。お、コーラスで印象が変わる。かなり強めのスクリーム。こういうコーラスは珍しい。これはテンションが上がる。いろいろな要素を混ぜ合わせて60年代~70年代ロックを旅しながらコーラスで爆発する曲。コーラスはNWOBHM的と言えるかもしれない。この曲はかなりカッコいいな。クラシックロックからスラッシュメタルに至る進化を内包するような曲。この曲もカークのソロが光っている。さらにリフが展開してどんどん後半に向かってテンションが上がる。出だしがややテンション低めだったのが盛り返していく。ミドルテンポで体が揺れるようなリフ。ScorpionsやAcceptなど、ジャーマンメタルが得意なリズム感。クラウトロック、欧州プログレの感覚も内包しているのかな。
9."If Darkness Had a Son" 6:36 ★★★★☆
ドラムからスタート。マーチングのようなタムの連打。そこにギターリフが入ってくる。行進的。その上をギターメロディが揺蕩う。ああ、これも先行配信された曲だな。ギターリフがトライトーン(減5度、ブラックサバスで使われた”悪魔の音階”)を奏でる。Enter SandmanもMoth Into Flameもそうだよね。あれに繋がるリフ。そしてそこに「Temptation」のコーラスが乗る。そしてサイケデリックなボーカルが乗ってくる。またリフが出てくる。これは面白い、さまざまな時代の要素をひとまとめにしている。子供の夢のような。ハードロックのギターリフ、サイケなコーラス、プログレの曲展開。一つのメロディが終わると次のメロディが出てくる。メロディ同士のつながりは多少不自然というか力業感もあるのだけれど、それこそがMetallica印でもあるのだろう。複数の要素が常に絡み合い続ける。中間部で迷宮に迷い込み、テンションを維持したままコーラスへ。この曲はコーラスの展開も複雑。複数のメロディが絡み合い、リフとボーカルラインも異なる。ライブだと酩酊する。
先日久しぶりにクラブに行って、酒を飲んで大音量で音楽を聴いたらかなり酔っぱらった。そういうシチュエーションで聴いたら飛びそうな曲。リズムやグルーヴが細かく変わっていく、複雑に絡み合った曲は酩酊感が強いんですよ。やはりグルーヴが大事なんだと思う。
10."Too Far Gone?" 4:34 ★★★★☆
少しわかりやすいリフに。オーソドックスなパワーコード。これは70年代後半、80年代初頭のメタルっぽい。ボーカルは言葉数が多めでパンク的。お、コーラスがコード進行も含めてメロディアス。パンク的なメロディをかなりかっちりと演奏している。ヴァースがちょっとBudgieの「Breadfun」にも近いな。人間椅子の「針の山」ね。そこからメロディアスなコーラスへ。お、わかりやすいツインリード、ギターハーモニーが出てくる。これはNWOBHM感がある。突然コーラスでポップになる、とか80年代っぽい。ギターソロ、ギターメロディコーナーで曲の風景が変わって、そこからメロディアスなコーラスに。この組み合わせは面白い。
というか、コーラスはメロディックハードコアだな。ポップパンクではなくメロコア。Bad Religionとか。ただ、1963-1981と考えるとBudgie(ヴァース)→Misfits(コーラス)→IRON MAIDEN(ギターソロ)か。
今回は意図的にか、あまりテンションが上がりすぎないようになっている気もする。代わりにテンションが極端に下がる場所も少ない。一定のテンションが維持されているように思う。これだけ長尺のアルバムなのにそれをコントロールしているのだとしたらすごいな。
11."Room of Mirrors" 5:34 ★★★★☆
アップテンポながらどこか落ち着いた曲、ギターリフが地味なのとボーカルも低めにスタートするからか。だんだんと展開していくのだろう。少しづつ上昇していく、テンションが高まっていくタイプの曲。ギアが上がっていく。実際にギターリフの音階も上がった。この曲は70年代ハードロックの感覚があるな。なんだろう、ふとThin Lizzyを想起したり。どこに感じたのかなぁ。けっこう10,11はこのアルバムの中ではポップな曲と言えるかもしれない。曲調が明るくて開けた感じがする。さすがにアルバムが長尺なので疲れも出てくるが、ここで印象的というか親しみやすいメロディが大量投入されるのは気分が変わって良い。この曲もかなりメロディアスで構築されたギターメロディが出てくる。カークが大活躍。ああ、印象的なギターメロディ、というところでThin Lizzyを思ったのかな。なんだか、ボーカルのちょっとした哀愁の感覚もフィルライノットに近いものを感じた。歌い方はいつものジェームスなんだけれど。
後半になるにつれてテンションが上がっていく。最後、なんだかんだ盛り上がって終わるのは流石。アルバムも終盤に向かっていく。
12."Inamorata" 11:10 ★★★★☆
かなり長尺の曲、最初のリフはヘヴィでドゥーミー、重く引き摺るようなリフ。やや不協和音感がある。そういえばこのアルバム全体を通してあまり不協和音的な音、ジャズ的なコードと言ってもいいかもしれないが、それは使われていなかった。そもそもMetallicaはあまりそうしたものを使わないが、この曲のイントロでは使われている。メロディアスなギターフレーズと音程移動が少ないボーカルメロディのヴァース。70年代ハードロック、いや、Jimi Hendrix的とさえいえるか。67年のハードロック。不協和音のコードの響きを執拗に繰り返す。Sleepなどのストーナーロックにも近い。Metallicaは曲が長いが、今までの曲はけっこう繰り返しは少なかった。さまざまなパートが繰り返し出てくるが、要素は変わっていく。この曲は今までの曲に比べると展開がもっとゆっくりというか、一つ一つのパートやリフを執拗に繰り返すシーンがある。あえていえばLuluに近い感覚の曲だろうか。何かを物語る感覚。あのアルバムに入っている曲よりは構築されているというか、ルーリード色はなくMetallicaの曲なのだけれど。目まぐるしい曲展開というよりはじっくりと腰を据えて、ひとつひとつの風景を描写していく。ギターソロもじっくりとした展開。
途中、ドラムとベースだけになる。おお、このあたりの音色はすごくブラックサバスっぽい。これでオジーが歌いだしたらBlack Sabbathだ。(当たり前だが)ジェームスが歌いだして空気が変わるが、ジェームスの歌い方も違うな。サバスのプラネットキャラバンとかに近い、奇妙な感覚の曲。そしてテンションが上がっていきボーカルがスクリーム、ツインリードのギターへ。ああ、このツインリードの感じはThin Lizzyかも。彼らのルーツ的にはMerciful Fateというべきか。僕が個人的にThin Lizzyの方をよく聞いていたからそちらを想起するだけ。だんだんと各楽器の音の存在感が増していく。雷鳴のようなドラムとギター、稲光のようなギターフレーズ。魔術的な曲。
Dizzy Mizz LizzyのAlter EchoでMetallicaが引用元にあげられていた、という話を以前書き、そこからMetallicaの全アルバムレビューを始めたわけだが、この曲はAlter Echoとの連動性があるかも。ああいう感覚、というか。反復の中に生まれるドラマ。11分あるが「11分という長さ」も含めて体験する曲、退屈さも含めて緩急がある。
最後は何かしらの会話で終わる。「終わった終わった」という感じがする。何を話しているのだろう。
総合評価 ★★★★★
初回の印象としては「めちゃくちゃテンションがあがる瞬間、曲はないけれど、めちゃくちゃテンションが下がる曲もなかった」という印象。77分と長尺なので正直中だるみするところもあったが、すぐにその後盛り返す。昔の映画でもそうだが「常に緊張し続ける」のではなく「適度に退屈」ということがあり、物語が進んでいく。退屈なシーンがある故のクライマックスの爆発。オーケストラで言えば静と動のダイナミクスのような。最近の大作物語はクライマックスの連続でそんなことがなくなっている気もするけれど、むしろYoutuberなどの感覚は「退屈な中の面白さ」を追及しているような気もする。そんな「時間を使った娯楽」をかなり高度にコントロールしているアルバム。Metallicaは前作も2枚組だったし、Iron Maidenも2作続けて2枚組のアルバムを出しているが、こうした「長尺のアルバムでしか描けないもの」を手掛けるというのがメタルシーンの次のチャレンジ、方向性なのかもしれない。もちろんこうした潮流はもっと早くから出てきたわけだけれど(たとえばDizzy Mizz Lizzyの「Alter Echo」であり、日本のMONOであったり)、かなり高い娯楽性を持ちながらメインストリームのど真ん中にぶつけてきたのが今作だと思う。
初聴の曲より事前にYoutubeで公開されていて2回目、3回目に聞く曲の方がリフなどになじみがあって魅力的に聞こえる傾向があった。これは単純に曲の良さもあるのだろうけれど、本作はとにかく情報量が多いので聞いているうちにある程度展開が体に入っていくことでより没入感、高揚感が上がる気がする。
あと、文中にも書いたがメンバーの「72 Season」は1963-1981(プラスマイナス1)程度。なので、ビートルズ誕生からNWOBHM誕生、USのメタルブーム前夜までの時代となる。まさに60年代、70年代のロック、ハードロック、サイケデリック、初期パンク、ポストパンク、初期メタルを内包したようなアルバム、というか、1曲の中にそれら複数の要素を内包したような曲が多かった。膨大な情報量が込められた作品で、これを読み解くのは面白い作業だと思う。
各種媒体の批評・レビューなども観て、Metallica史の中での位置づけなどまた改めて書きたいと思う。
それでは良いミュージックライフを。