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1990年代の私的邦楽ベストアルバム振り返り① LINDBERG / LINDBERG III

ヴァジュラ𝔦𝔡

1990年

LINDBERG / LINDBERG III (1990年4月21日)

日本におけるハードポップ、女性ボーカルのロックバンドの一つの完成系。80年代、レベッカが去った後、それを埋めるように出てきたリンドバーグ。リンドバーグは元アイドルがボーカリストだったこともありプロジェクトバンド感があるが、実のところボーカル以外のメンバー全員が作曲する本格的なバンドだった。このアルバムでは外部ライターの曲はなく、ドラム、ベース、ギター全員が作曲に関わるという理想的なバンド創作態勢。全員作曲に関わるだけあり、どの楽器パートもアイデアもモチベーションも豊富。バンドサウンドがイキイキしています。途中で活動休止を挟むものの今でも現役で、メンバーチェンジも一度もないんですよね。ボーカルとギターが結婚し、結婚生活も続けているし。サザンみたいなバンド(サザンもギターが抜けた以外はメンバーチェンジなし)。このアルバムは90年代の始まりに相応しい希望に満ち溢れている。過剰すぎないキャッチーでストレートなポップロック。渡瀬マキの声も素直かつ少しパンキッシュ。なんとなくリンドバーグはアイドルバンド的な印象がある方は聞き直してみてください。しっかりしたバンド。

少し個人史を。中学時代に学校と交渉して軽音学部を作りました。新設校だからまだ軽音がなかった。僕は一期目の部員だったが部員は思うように集まらずたまたま一緒になった5人でバンドに。ドラムとギター(僕)が男性でベース、キーボード、ボーカルが女性。今思えば青春って感じですが、当時僕はメタルがやりたかったんですよ。アイアンメイデンとかやりたかった。こんな世界線が夢。

でも僕しかメタラーいないし、冗談抜きで音楽性が相違しすぎ。揉めに揉めて学園祭で広瀬香美とユニコーンをやらされた記憶があります。ユニコーンはまだ妥協してくれたのかなぁ。僕的に最大の妥協だったボンジョビすら却下されてやる気ゼロ、学園祭終わったらすぐ喧嘩別れ的に解散した記憶がありますが、考えてみたらリンドバーグやればよかったなぁ。演奏技術的にも。みんなほぼ楽器始めたてだったし、メイデンもボンジョビも多分無理。中学時代に真面目にリンドバーグをコピーしてたらもっと音楽を楽しめた気もする。技術的にしっかりしているのだけれど、決して超絶技巧ではないというか、きちんと練習すればできるんですよね。グルーヴ感とかバンドとしてまとまるかどうかは別にして、コピーはできる。そのシンプルさが良い。7.Modern Girlとか、中高生バンドの女性ボーカルで学園祭で今やったらカッコいいと思う。

3.今すぐKiss Meが大ヒットしましたが、他の曲もフラットに聴くとそれほどクオリティが変わらない。バンドの状態が良かったんだなぁと感じます。ドラマーの小柳さんも作曲に参加したのはこのアルバムから。3枚目のアルバムではあるけれど、全員が作曲に参加した初のアルバムであり、そういう意味では全員で作り上げたファーストアルバムとも言えるかも。シングル曲ばかり集めてどこか似通っているベストアルバムよりバラエティに富んでいる気もします。11.Ready Goなんかなかなか面白い、天井桟敷(少女革命ウテナのサントラとか)みたいな曲。

ちなみにライブだともっとテンポが早く、演奏技術が高い笑　スタジオ盤だと演奏を控えめにしていたんですね。

90年代の音楽を考える上でカラオケとTVタイアップの影響が大きいと思うので、少しカラオケ文化について触れておきます。

90年代はカラオケブームの最高潮、1994年がピークでカラオケ人口5,890万人、カラオケルームが96年には16万680ルームに達しています。ただ、通信カラオケが1992年からスタートなのでこの頃(1990年)はレーザーディスクだったのかな。僕がカラオケに行き始めたのは1993か1994年ごろだったと思う。当時鹿児島で寮生活をしていたこともあって珍しかった。その頃は通信カラオケが主流になりつつあったけれどまだレーザーディスクもあった、という時代ですね。多分1990年はレーザーディスクが主流。曲数が今よりは遥かに少なかった。ヒットしたシングル曲以外はまだあまりカラオケに入っていなかったんじゃないかなぁ。1990年時点だと間違いなくそうだと思います。なので、まだカラオケの影響がそこまでアルバム曲にはないかも。タイアップして、カラオケで歌われるような曲を、という流れは生まれてはいたけれどまだそこまで強くなかった時代だと思う。

1990年ごろのカラオケ風景、らしい
白黒にすると余計にレトロですね
でもこんな感じだったかも
分厚い歌本がありました、歌本は2000年代まであったと思う
出典: https://jisin.jp/entertainment/entertainment-news/2119654/image/1/

これ、数枚ずつ一記事にしようかと思ったけどけっこう一枚あたり書くことがありますね。ちなみにアルバムを聞き直しながら書いています。50分もあれば一記事分ぐらいになるか。ちょくちょくこのシリーズ更新していこうと思います。

それでは良いミュージックライフを。

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