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Wintersun/Time II

フィンランドのメロディックデスメタルバンド、Wintersun(ウィンターサン)の新譜。7年ぶり4作目のアルバムです。2004年デビューと20年選手でありながらかなり寡作なバンド。

もともと本作はデビュー作の後、セカンドアルバムとして制作されたTimeというアルバムが元。06年に制作を開始し2枚の連作になる予定がリリースが遅れ、第一弾のTime1がリリースされたのはデビューアルバムから8年経った2012年、そしてその続編である本作まではなんと更に12年掛かりました(途中、2017年にサードアルバムのリリースを含む)。18年越しのプロジェクトが遂に完成。

本作の特徴はかなりアジア的なテイストが取り入れられているところ。ジャケットも桜(か梅?)っぽいですし、一曲目もアジア、中国や日本的なイメージが強いインストです。このバンドの特徴として、かなり一曲一曲が長く、じっくりとしたドラマを聴かせるところ。

最新ビジュアルもアジアテイスト

中心人物のヤリ・マーエンパー(ボーカル、キーボード、ギター)以外のメンバーは掛け持ちで、ベースとドラムはNIGHTWISHのメンバー。だから本格的にシンフォニックです。ただ、リズム隊は最近のNIGHTWISHよりかなりハード。疾走、激情パートでは猛烈なブラストビートを聴かせます。

そしてギターはキコ・ルーレイロの代わりにメガデスに加入したテーム・マントゥサーリ。いつの間にかスーパーバンドと化しました。フィンランドのバンドって掛け持ちが多いんですよね。互いにプロジェクト単位で有機的に動く、と言うか。
このプロジェクトはヤリの作り出す楽曲をフィンランドメタル界トップクラスのアーティスト達が具現化するプロジェクトとも言えるでしょう。

本作を聴いて90年代メロデス、アモルフィスやダークトランキュリティ、インフレイムスの初期作を聴いた時のことを思い出しました。適度に暗黒感、陰鬱な地下音楽な感じがあります。それは楽曲に時間的余裕があるからかもしれない。長尺の曲が多く、イントロだけで数分かけたり、とにかく自分たちの作家性を重視しているように感じるんですよね。まだ「ある程度商業性が見込める音楽」として確立しておらず、ミュージシャンたちが模索しながら自己表現していたころのメロデス、地下音楽としてのルーツを感じます。

同時に、現在商業的にも成功している一流ミュージシャンの集まりでもあるので聞きやすさ、キャッチーさもある。クラシカルなフレーズの分かりやすい構築美や、ところどころ出てくるクリーントーンでのメロディアスかつ勇壮なボーカルラインは2020年代の欧州パワーメタル、シンフォニックメタルとの同時代性を感じます。初期メロデスの濃密さ、濃さを保ちつつ、現代的なフックも持った素晴らしい作品。一曲一曲は長いもののアルバム全体としては48分とコンパクトで聴きやすいのも好印象。メロデスというサブジャンルの魅力を余すところなく伝える良作だと感じました。オススメ。

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