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#エッセイ集

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趣味や興味のあることと、自分との間に発生する大切なもの。それを言葉にしたエッセイ集。
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#日本酒

noteで伝えたいこと。

noteで伝えたいこと。

「noteをはじめて6ヶ月記念日」のバッジを頂きました。これまでの拙い文章の数々を読んでくださった方々への感謝と同時に、noteを続けている理由をこのタイミングで改めて整理しておこうと思い、「そもそも自分がnoteのテキストで伝えたいことって何だっけ?」という根本的なところを考えてみました。

noteで書いている題材は主に日本酒や子育てや筋トレなど、普段の日常生活そのものやライフスタイルになるん

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丁寧な梱包を解いて、日本酒の繊細な時間と繋がり直す。

丁寧な梱包を解いて、日本酒の繊細な時間と繋がり直す。

新型コロナが世界を席巻して以降、ぼくの自粛は日本酒のオンライン購入から始まりました。

それまでは、日本酒愛に溢れる居酒屋さんや酒屋さんの話を聞きながら楽しむのがぼくにとっての日本酒だったんですね。

人生で初めて日本酒をオンライン購入した際には、ちゃんとした状態で届くかなーって不安もゼロでは無かったんですが、その不安を大きく裏切るような丁寧な梱包で大事にやって来て、

その姿を見たときに、お気に

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日本酒のラベルにしてやられた!と思ったら、大切なことを教えられた。

日本酒のラベルにしてやられた!と思ったら、大切なことを教えられた。

眩しい。。こんな眩しいラベル見たことない。

スマートでオシャレな日本酒ラベルが増えてきた近年、このデザインから放たれる独特のオーラには只者ならぬ存在感がある。

冒頭写真の日本酒『此れはしたり』。日本酒の頒布会8月分の一本だ。

頒布会とは、定額の支払いに対して酒屋さんが見繕ってくれた日本酒を定期的に送ってくれるサービスのこと。現代風に言えば、日本酒のサブスクみたいなもの。

どこの蔵元さんのど

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多様性への接続回路~日本酒 燗酒の世界

多様性への接続回路~日本酒 燗酒の世界

日本酒の味わいは繊細なもので、同じ日本酒でも酒器の素材や形状、酒器に注いだ後の空気に触れる時間、合わせる食事の内容などで変化する。特に燗付け(日本酒を温めること)による味わいの変化は顕著で、お酒の味が物理的に変化するというよりは、むしろ飲む人の感じ方が大きく変わる。

鍋にお湯を沸かし、ちろりに注いだ日本酒を湯煎で温める。日本酒から立ち上る香りの変化に神経を集中させる。温度を上げながら段階的に行う

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時間の経過を楽しむ。

時間の経過を楽しむ。

自分に起こった出来事が、自分の中に染み込んで、じんわりとゆっくり発酵することで形を変えていく。そのようなプロセス無しには受け止められないこと、意味の分からないことがある。

「気付く」「分かる」というのはきっとそのような時間の経過を必要としていて、それは「生きる」ことと丁度同じことだと思う。

人生で発生する様々な出来事の価値、自分にとっての意味というものは後から振り返ることでしか分からない。

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インターネットに文章を置いたら「つながり」が生まれた。

インターネットに文章を置いたら「つながり」が生まれた。

これまで長年、SNSやブログとは無縁の人生を送ってきました。理由はシンプルで、単に必要性を感じなかったから。誰かに用事のあるときは電話やメール、携帯メッセージで直接連絡を取ることで十分だったし、

不特定多数に向けて、自分の嗜好や日常を伝える(というより、むしろ前面でアピールする)という感覚がイマイチよく分からなかったんですね。生来の人見知りな性格が、そんなところにも無意識に出ていたのかも知れませ

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日本酒の燗酒を好んで飲む理由。

日本酒の燗酒を好んで飲む理由。

日本酒の味わいは繊細なもので、酒器や温度を変えたり、酒器に注いだ後の空気に触れる時間や、保管中の瓶の中での時間経過、合わせる食事の内容によって大きく変化します。

お酒の味が物理的に変化するというよりは(そういう側面もありますが)、むしろ飲む人の感じ方が大きく変わります。

最近は、燗付け(日本酒を温めること)にハマッていて、最初に冷やした状態でワイングラスで飲んだ後、次は燗付けにしてその味わいの

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繊細さの先にある世界。

繊細さの先にある世界。

先日、自分の特性である繊細さをテーマに記事を書きました。

小さな頃から周りの音に敏感で、人混みが苦手だったり、匂いや香りにも敏感だったこと。

普段の人との会話でも、繊細さのおかげでぼくの頭の中は常に情報量が多く、今より若かった頃は息苦しさを覚えながら過ごしてきたこと。

自分は人としてどこか欠落した部分があるんじゃないかって、もっと気軽に自分を表現して、もっと気楽に日常を楽しめたらいいのにって

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日本酒コミュニティの距離感と多様性。

日本酒コミュニティの距離感と多様性。

「さけのわ」という日本酒レビューのSNSがあり、ぼくも昨年12月頃からやっています。

飲んだ日本酒の味わいを記録して文章(メモ)と写真を投稿する、というのが基本的な使い方なんですが、

純粋に個人的な記録用として詳細数値(日本酒度や酸度等)だけをメモする人、解説文無しで写真だけをひらすら投稿する人、その日本酒の味わいから想起される過去の記憶を辿って散文調にまとめる人、など実に多様な人がいます。

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繊細さを抱えた人にしか出来ないことがある。

繊細さを抱えた人にしか出来ないことがある。

赤ちゃんの頃から周りの音に敏感だった、と母親が教えてくれた。ぐっすり寝ているはずが、少しの物音でビクッと目を覚ましていたって。

赤ちゃんの時のこと、さすがに覚えてないけど、「自分が繊細で敏感だ」ということはなんだかとてもよく分かります。

香りや匂いにも敏感で、初めて行く国や場所では、降り立った空港や駅の様子をまずは匂いで感知している気がします。

今でも洗濯物の香りを確かめたり、慣れない食材は

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日本酒好きにとっての記念日。

日本酒好きにとっての記念日。

先日、日本酒好きのぼくにとって、記念すべき出来事がありました。

タイトル写真にある日本酒本を先月かな、購入したんですね。

千葉麻里絵さんという、日本酒業界の方はもちろん、日本酒愛好家ならおそらく皆んなが知っているであろう、日本酒界のカリスマのような方が書かれた本。(東京・恵比寿で「GEM by moto」という飲食店をされてます)。

結論から言ってしまうと、この本で千葉さんが紹介されていた燗

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お酒の嗜好にも「家庭の味」がある。

お酒の嗜好にも「家庭の味」がある。

ぼくはお酒が好きで、ぼくの中では、「豊かな人生を送ること」と「お酒を楽しむこと」の間には大きな相関関係があります。

利き酒師という日本酒関係の資格を持っていますが、何も日本酒だけが好きなわけではなく、ビールもワインもウイスキーも好きだし、焼酎も好き。

仕事でヨーロッパに駐在していた頃は、仕事終わりに近所のスーパーに寄って品揃え多彩なワインやビールを選ぶ行為そのものが楽しかったし、こだわりの酒屋

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「日本酒選び」と書いて、キセキと読む。

「日本酒選び」と書いて、キセキと読む。

いえ、これはどう読んでも「にほんしゅえらび」ですね。少し無理がありました。

でもね、日本酒ってやっぱり奇跡(キセキ)だと思うんです。

新型コロナが世界を席巻して以降、日本酒愛に溢れる居酒屋さんや酒屋さんへの外出を自粛していた関係で、

最近はもっぱらオンライン販売で日本酒を購入してます。最初は、ちゃんとした状態で届くかなーって不安もゼロでは無かったんですが、

初めてオンラインで買った日本

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日本酒の利き酒で味わっているもの。

日本酒の利き酒で味わっているもの。

ぼくは日本酒が好きで、その味わいに興味があり、最近は味覚について勉強しています。

栄養化学者である伏木亨さんの著書『人間は脳で食べている』(ちくま新書/2005年)という本を読んでいて考えさせられるところがあり、

「普段の日本酒の利き酒において、自分は具体的に何を味わっているのか?」という点について、思うところを書いていきます。

1. 日本酒の味わいとは普段日本酒を飲んでいて感じる味

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