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おとぎばなしの手紙

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おとぎばなしの世界でみつけた、たのしいおはなしや、めずらしいおはなしを手紙にかいて、つむじかぜゆうびんで送ります。つむじかぜゆうびんはいいかげんなので、いつ届くかわかりません。渡…
おとぎばなしの世界でみつけた、たのしいおはなしや、めずらしいおはなしを手紙にかいて、つむじかぜゆう…
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記事一覧

おとぎばなしの手紙〈十四通目〉ガラスの雪

ガラスの雪  ガラスに雪が音もなくぶつかったあと、あんなつるつるの面に掴まることができる…

山田星彦
14時間前
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おとぎばなしの手紙〈十三通目〉坂道の林檎

坂道の林檎  もしあなたが坂をのぼっているとき、坂のうえのほうから林檎がころがってきたな…

山田星彦
2週間前
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おとぎばなしの手紙〈十二通目〉切手

切手  切手というのは、それはどう見たって舐めたって、ただの小さな紙なのに、なぜこれを貼…

山田星彦
1か月前
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おとぎばなしの手紙〈十一通目〉花と星座(全文無料で公開しています)

花と星座  月がとおり道にある星を隠したからといって、そのせいで月を恨むひとなどありませ…

山田星彦
1年前
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『おとぎばなしの手紙』を十通、書き終えました

 昨日の記事をもちまして、不定期に公開しておりました、『おとぎばなしの手紙』が十通となり…

山田星彦
1年前
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おとぎばなしの手紙〈十通目〉世界と旅人

世界と旅人  夏にあなたが島の夢をみたのは、ねているあなたの枕もとに、潮の辛いかおりと、…

山田星彦
1年前
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おとぎばなしの手紙〈九通目〉嘘と空想

嘘と空想  「えのぐを水に溶かすと、いろがぼんやりとにじむように、雨がふっているときは、たてものやひとなど、目にうつるすべての境があいまいになります。だから、雨がふっているときは、いつもは混じりあわない者どうしが混じりあって、いつもはわかりあえない者どうしが、わかりあうのです」  こんな詩をむかしわたしが書いて師匠にみせたところ、その師匠は「ふざけるな!」といってわたしを殴り、わたしは岬から海へ落ちて死にかけました。

おとぎばなしの手紙〈八通目〉えんぴつ屋

えんぴつ屋  きょうわたしは珍しく朝に目がさめたので、はやいうちに外へでました。とおりは…

山田星彦
1年前
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おとぎばなしの手紙〈七通目〉双子と鏡

双子と鏡  双子がお母さんのお腹からでてくるとおもうのは大きなまちがいで、双子はひとりが…

山田星彦
1年前
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おとぎばなしの手紙〈六通目〉本

本  本は表紙の色によって、なかになにが書いてあるかきまっていて、あおい本は地図、あかい…

山田星彦
1年前
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おとぎばなしの手紙〈五通目〉こうもり

こうもり  こうもりが生まれるのは月のない晩で、魔女が呪文をとなえながら錆びたはさみをじ…

山田星彦
1年前
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おとぎばなしの手紙〈四通目〉空の糸

空の糸  蝶は蜜蜂や烏のように、まっすぐ速く飛べませんが、それはなぜかというと、蝶があや…

山田星彦
1年前
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おとぎばなしの手紙〈三通目〉詩人の角

詩人の角  詩人はみな一様に、あたまに三角のぼうしをかぶっていますが、これはあたまに生え…

山田星彦
1年前
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おとぎばなしの手紙〈二通目〉星空のひみつ

星空のひみつ  空が海とおなじように、そこにいっぱいの水を湛えているということを発見した偉いモリブデン博士は、狂人として捕らえられ、ついには獄門の憂き目にあったということは教科書で習いましたが、そのモリブデン博士が水虫であったということは、あまりしられていません。  もちろん、そのあとの時代になって、モリブデン先生のいうことが正解だったと確められたわけですが、それでも、モリブデン博士が水虫であったということは、あまりしられていません。