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ガラスの雪 ガラスに雪が音もなくぶつかったあと、あんなつるつるの面に掴まることができる…
坂道の林檎 もしあなたが坂をのぼっているとき、坂のうえのほうから林檎がころがってきたな…
切手 切手というのは、それはどう見たって舐めたって、ただの小さな紙なのに、なぜこれを貼…
花と星座 月がとおり道にある星を隠したからといって、そのせいで月を恨むひとなどありませ…
昨日の記事をもちまして、不定期に公開しておりました、『おとぎばなしの手紙』が十通となり…
世界と旅人 夏にあなたが島の夢をみたのは、ねているあなたの枕もとに、潮の辛いかおりと、…
嘘と空想 「えのぐを水に溶かすと、いろがぼんやりとにじむように、雨がふっているときは、たてものやひとなど、目にうつるすべての境があいまいになります。だから、雨がふっているときは、いつもは混じりあわない者どうしが混じりあって、いつもはわかりあえない者どうしが、わかりあうのです」 こんな詩をむかしわたしが書いて師匠にみせたところ、その師匠は「ふざけるな!」といってわたしを殴り、わたしは岬から海へ落ちて死にかけました。
えんぴつ屋 きょうわたしは珍しく朝に目がさめたので、はやいうちに外へでました。とおりは…
双子と鏡 双子がお母さんのお腹からでてくるとおもうのは大きなまちがいで、双子はひとりが…
本 本は表紙の色によって、なかになにが書いてあるかきまっていて、あおい本は地図、あかい…
こうもり こうもりが生まれるのは月のない晩で、魔女が呪文をとなえながら錆びたはさみをじ…
空の糸 蝶は蜜蜂や烏のように、まっすぐ速く飛べませんが、それはなぜかというと、蝶があや…
詩人の角 詩人はみな一様に、あたまに三角のぼうしをかぶっていますが、これはあたまに生え…
星空のひみつ 空が海とおなじように、そこにいっぱいの水を湛えているということを発見した偉いモリブデン博士は、狂人として捕らえられ、ついには獄門の憂き目にあったということは教科書で習いましたが、そのモリブデン博士が水虫であったということは、あまりしられていません。 もちろん、そのあとの時代になって、モリブデン先生のいうことが正解だったと確められたわけですが、それでも、モリブデン博士が水虫であったということは、あまりしられていません。