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おとぎばなしの手紙〈九通目〉嘘と空想

嘘と空想

 「えのぐを水に溶かすと、いろがぼんやりとにじむように、雨がふっているときは、たてものやひとなど、目にうつるすべての境があいまいになります。だから、雨がふっているときは、いつもは混じりあわない者どうしが混じりあって、いつもはわかりあえない者どうしが、わかりあうのです」

 こんな詩をむかしわたしが書いて師匠にみせたところ、その師匠は「ふざけるな!」といってわたしを殴り、わたしは岬から海へ落ちて死にかけました。

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604字
おとぎばなしの世界でみつけた、たのしいおはなしや、めずらしいおはなしを手紙にかいて、つむじかぜゆうびんで送ります。つむじかぜゆうびんはいいかげんなので、いつ届くかわかりません。渡り鳥の切手の代金をいただきます。

おとぎばなしの世界でみつけた、たのしいおはなしや、めずらしいおはなしを手紙にかいて、つむじかぜゆうびんで送ります。つむじかぜゆうびんはいい…

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