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深層意味論で読む『神話論理』×『秘密曼荼羅十住心論』

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クロード・レヴィ=ストロース著『神話論理』 弘法大師空海著『秘密曼荼羅十住心論』 この二冊を並べて読む試みです。 導きの系は「構造」と「曼荼羅」と、深層意味論(意味分節理論)
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2024年9月の記事一覧

マンダラを観想すること、神話を聞くことは、心の底を同じ構造へと励起する -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(71_『神話論理3 食卓作法の起源』-22)

マンダラを観想すること、神話を聞くことは、心の底を同じ構造へと励起する -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(71_『神話論理3 食卓作法の起源』-22)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を”創造的”に濫読する試みの第71回目です。『神話論理3 食卓作法の起源』の第四部「お手本のような少女たち」から「ヤマアラシの教え」にかけてを読みます。

今回は、マンダラを観想することと、神話の語りを聞くことは、心の底の底において同じようなゆらぎ・振動を生むのではないか、という話です。

これまでの記事は下記からまとめて読むことができます。

これまで

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W・パウリ「元型的観念がケプラーの科学理論に与えた影響」における四数性と、思考の根源を思考すること ーーユングとパウリの共著 『自然現象と心の構造』より

W・パウリ「元型的観念がケプラーの科学理論に与えた影響」における四数性と、思考の根源を思考すること ーーユングとパウリの共著 『自然現象と心の構造』より

深層心理学で知られるカール・グスタフ・ユングと、「パウリの排他律」で知られる物理学者ヴォルフガング・パウリとの共著『自然現象と心の構造』という本がある。

この本の終盤、「付録III」、236ページに次のような図が掲載されている(図3 スコトゥス・エリウゲナの『自然の分類について』において考えられた四元性)。

ここでは、

1: 造る(能動)/造られる(受動)
2: する/しない

この二つの二

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関係が項よりも先に -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(70_『神話論理3 食卓作法の起源』-21)

関係が項よりも先に -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(70_『神話論理3 食卓作法の起源』-21)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を”創造的”に濫読する試みの第70回目です。『神話論理3 食卓作法の起源』の第四部「お手本のような少女たち」を引き続き読みます。

これまでの記事は下記からまとめて読むことができます。これまでの記事を読まなくても、今回だけでもお楽しみ(?)いただけます。

分別を「離れる」ことを新たな分別にしないわれわれ人類は、生きている限り、どうしてもあれこれものごと

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 『カミと神 アニミズム宇宙の旅』を中心に、岩田慶治氏の本をいろいろ読む -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(番外編)

『カミと神 アニミズム宇宙の旅』を中心に、岩田慶治氏の本をいろいろ読む -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(番外編)

レヴィ=ストロース氏の神話論理を「マンダラ」状の八項関係を分けつつつなぐ動きとしてモデル化してみよう、ということをここ数年考えている。



文化人類学とマンダラと言えば、岩田慶治氏である。
例えば『アジアのコスモス+マンダラ』(1982)と『アジアの宇宙観』(1989)がある。

『アジアの宇宙観』の冒頭に、岩田氏は次のように書かれている。

そして在所に迷った人類のなかのある人々は「世界像」

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