コーネリアス

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最近の記事

差別はたいてい悪意のない人がする

お久しぶりの投稿。およそ2ヶ月ぶり。 この2ヶ月、本はほとんど読まず、やらねばいけないことにただただ追われていた感じだったんだろうな。ようやく目処がついたこともあって、ちょっとゆっくり本を読むことができた。やっぱり自分にとって読書はエネルギー回復の役割が確実にあるな。 ずっと気になっていた本を図書館で見かけて、すぐ手に取った。 いつもだったら何冊も借りるんだけれど、この一冊だけを借りて、久しぶりの読書を楽しんだ。 まず、タイトルが惹かれる。 差別ってどこか「意図して分断を

    • 子どもにもらった愉快な時間

      以前に読んだ、「エピソードで語る教師力の極意」シリーズの岩瀬先生の本に、この本が紹介されていた。あなたも名探偵シリーズは大好きだし、この本は一体どんな本なのかなと思って読んでみたけれど、素直に読んで出会えてよかったなと思う。子どもたちのエピソードに浸りながら、その世界を存分に味わうことのできる書き振り。それでいて、丁寧にその現場で何が起こっているか考察されている、保育の現場がありありと伝わるってこういうことなんだろう。 例えば、こんなことが書かれている。 このほんの少しの

      • たしかな教材研究で読み手を育てる「お手紙」の授業

        文芸研の出す「やまなし」や「ごんぎつね」の作品への解釈は痺れる。一冊丸ごと使いながら、一つの作品についての教材解釈や授業実践について考えられることがありがたい。 こうした本を使わずに、自分自身の手で教材研究をするべきだという意見もあるのかもしれない。私はこういう本だって上手に使いながら、とにかく自分自身の手に入る情報をうまく編集すること、くわえて目の前の児童の実態をもとに自分自身で授業構成をしていくことが大事だと感じている。もっと突っ込んで言えば、その道のプロが研究しているも

        • 読書会の教室 本がつなげる新たな出会い 参加・開催・運営の方法

          読書会が個人的に好き。それは、本が好きということももちろんあるのだけれど、自分が読めていない部分に気付くことができたり、同じテキストを読んでいてもそんなふうに感じたり考えたりしていたんだなと知ることができるからだと思う。自分自身で、読書会を開こうかなと思うことも何度かあるんだけれど、その度に「でも読む本を人から強制されて決められるって、あまりいいことじゃないのかな」とか感じてしまって、尻込みしてしまう。 東京赤坂にある双子のライオン堂書店の店主武田さんとライターの田中さん二

          雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

          本屋をぷらぷらとしながら見つけた東畑さんの新刊。 「居るのは辛いよ」でグッと心を掴まれ、そこから東畑さんの本が出るたびに買ってしまう。本屋で全面に押されている本に、穿った見方と構えてしまう自分がいるから、今回はそこまで押されていないときに買うことができてよかった。 臨床心理士である東畑さんが専門用語を使いすぎず、分かりやすい例を用いながらカウンセリングやケア、セラピーということについて語ってくれているこの本。 雨の日の心理学について東畑さんは と述べている。 さらに東畑さ

          雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

          さみしい夜にはペンを持て

          本屋に行くたびに、気になっていたものの「いや、まだ今じゃないかな」とか思いながら、横目にしていた本。発売されてから、色々なところで「いい本だ!」という情報が届いてはいたので気になっていた。 結局、遅かれ早かれこういった本は読むことになるんだよね。 大きなテーマとしては「日記を書く」ということ。 でも、日記って分かっちゃいるけど続かない。そもそも日記に書き方なんてあるんだろうか、一体何をどうやって書いたらいいんだろうか。 最初の3日、1週間は頑張れるのだけれど、、結局、、ねえ

          さみしい夜にはペンを持て

          夢中がつくる学び

          研究授業を参観した。 講師の先生がおっしゃっていた「学習課題が子供達にとって、いかに考えたいと思えるか、知りたいと心から思えるか、という切実感をもっと大切にしていく必要がある」と柔らかに指導されていた。ポジ出しの文化の中で、講師という立場から、きちんと言うべきことは言うスタンスも大切にされているのだなと思えた。(それが全体の場で言うべきことかは、さておき) 「子どもたちに必要感や切実感のある課題」という言葉は、よく耳にする。学習指導要領や教科書で、ある程度学ぶべきことが決まっ

          夢中がつくる学び

          エピソードで語る教師力の極意 岩瀬直樹

          岩瀬先生とちょんせいこさんの「振り返りジャーナル」の本が増強改訂版となって出版されることが流れている。改訂前のものを持っていることが貴重だったんだなと思いながらも、やっぱり増強改訂版もちょっと欲しくなってしまう。 そんな岩瀬先生のエピソードを久しぶりに読んでみたくなって手に取る。このシリーズ、たくさんの先生のものがあって、どれもその先生らしさのエピソードが記録されていて、個人的にすごく好きなシリーズだし、もっとたくさんの先生のものを読んでみたいなと思っている。 岩瀬先生のす

          エピソードで語る教師力の極意 岩瀬直樹

          「子どもの論理」で創る国語科授業スキル

          香月先生と白坂先生の「リフレクション型国語授業」が気になっている。とりあえず購入はしたが、まだ読んでいない。オンラインで読書会的なことがあるのも情報は見えていたんだけれど、自分のペースで読みたいなと思い、身を引いた。 その本を読む前に、今回は「子どもの論理」で創る国語科授業スキルをを読み直そうと思ったので手に取った。 「子どもの論理」で創るとはどういうことなのか。冒頭このように書かれている。 教えることの否定ではないと書いている通り、子どもたちの問いを大切にしながらも、き

          「子どもの論理」で創る国語科授業スキル

          自立的で相互依存的な学習者を育てるコレクティブ・エフィカシー

          出版されたときから気にはなっていたものの、訳本であることや教育科学よりのアプローチが今の自分にどれくらい響くのか不安に感じていたため、買ってはいたけれど、読めずにいた本。 タイトルを見たときは「相互依存的」という言葉に少し違和感を覚えた。意味するところが「互いの助け合い」とか「ヘルプスキルを上手に活用する」みたいなところなのかなと解釈したものの、それが「相互依存的」かと言われると、それともまた違うような、そんな何とも言葉にはし難いモヤモヤを抱えながらページをめくっていった。

          自立的で相互依存的な学習者を育てるコレクティブ・エフィカシー

          思考の庭のつくりかた はじめての人文学ガイド

          勉強することが好き。考えることも好き。 でも一つ一つをしていく中で、抜け出せないのは「これでいいんかな」「本当にこれで学べていると言えるのかな」という感覚。 読むときも、書くときも、話すときも、いつもそのモヤモヤ感を抱きながらいる。今一度、自分自身の学び方を見直そうと思い読んでみた。 読書、批評、言葉、近代、歴史、芸術の全六章からなっている、この本。 全ての章に「ああ、そうかそうか」と感じる部分があるのだけれど、ひとまず第一章「読書」だけに絞っていく。この章で主に書かれてい

          思考の庭のつくりかた はじめての人文学ガイド

          集団に流されず個人として生きるには

          今日も朝から本棚を眺める。もうこれは日課なんだろう。 工藤さんと苫野さんの本を読んだからか、学級や学校の在り方、集団の在り方みたいな本が目に止まる。本棚全体にザーッと視線を流しながら「最近、新書は読んでいなかったな」と思い始め、この本を読むことにした。 題名だけをざっと見ていると、なかなか本の内容まで思い出すことが難しい。それは自分自身まだまだ読めていないということなのか、内容は覚えていなくても読み返すと思い出すことがあるのか。そもそも「読める」ってどういうことなんだろうか

          集団に流されず個人として生きるには

          子どもが育つ学級をつくる「仕掛け」の技術

          いろいろな学級を見せていただく機会がある。それぞれの授業や学級経営の中に、担任の先生方の工夫が見られる。主体的・対話的で深い学びと言われてから、教師の意識にどれくらいの変化があったかは定かではないけれど、それでもまだまだ教室は教師が一斉でコントロールしていくという形を握っていることが多いような実感がある。 「教師のいらない授業のつくり方」が一躍大ヒットした若松先生だけれど、その1年後、そこからさらに具体に寄せていったのがこの本なのだと思う。 この「仕掛け」という言葉につい

          子どもが育つ学級をつくる「仕掛け」の技術

          授業研究入門

          本棚を眺めているときに、佐伯胖著「『わかる』ということの意味」が目に入った。岩波書店の「子どもと教育」シリーズはいくつか持っているが、最近読んでいなかったなと思い、今回はこの本を手に取った。 久しぶりに読んだ感想として、めっっっっちゃくちゃ名著でした。 え、これ、がAmazonで500円しないで買えるって正気?って感じです。昔、読んでいたはずなのに、この本で学び得たこと、きっとそのときの私なりに一生懸命噛み砕いていたんだろうけれど、今、こうして現場に入っていく中で読むことが

          なってみる学び 演劇的手法で変わる授業と学校

          数日前に「学びを変えるドラマの手法」を読んだ。ドラマの手法や進め方について理解しながら、やっぱり「なってみる学び」をもう一度読まないことには、演劇的手法のなんたるか、現場でどう進めていくのかを話すことはできないだろうということで読み直した。 八幡市立美濃山小学校の研究主任である藤原由香里先生と、東京学芸大学教職大学院准教授である渡辺貴裕先生が外部講師として継続的に研究に関わりながら進められた記録である。 内容として実践の紹介、著者2人による対談、外部参加者の方の考え方や感

          なってみる学び 演劇的手法で変わる授業と学校

          子どもたちに民主主義を教えよう

          「ラーニング・ダイバーシティの夜明け」を読んだときに、誰もが学びやすい社会の実現という部分から、学級も誰もが過ごしやすい場所であってほしいし、そうした教室を学級のメンバーで作っていきたいなと考えていた。また課題は山積しているけれど、学校もそうした場所であったらいいなと感じていた。 そのときに、以前読んだけれど、そういえば読み直してみたいなと感じたのが本書である。 発売したときは、本当周りにいた誰しもが読んでいたような気がしている。ただそうした本って、読書会を行ってみたり、引

          子どもたちに民主主義を教えよう