自立的で相互依存的な学習者を育てるコレクティブ・エフィカシー
出版されたときから気にはなっていたものの、訳本であることや教育科学よりのアプローチが今の自分にどれくらい響くのか不安に感じていたため、買ってはいたけれど、読めずにいた本。
タイトルを見たときは「相互依存的」という言葉に少し違和感を覚えた。意味するところが「互いの助け合い」とか「ヘルプスキルを上手に活用する」みたいなところなのかなと解釈したものの、それが「相互依存的」かと言われると、それともまた違うような、そんな何とも言葉にはし難いモヤモヤを抱えながらページをめくっていった。
コレクティブ・エフィカシーという横文字は、はじめましてだったのだが、日本語に訳すと「集合的効力感」となるようだ。
その後、コレクティブ・エフィカシーとは何かについて、以下のように説明されていた。少し長いのが、そのまま引用しておく。
理解力の低い私もここまで書かれて、ひとまずそういうことかと思えた。
学級の誰かと一緒に行動すると、一人で学習するよりも多くを学ぶことができるんだなと、子ども自身が信念としてもっておくこと、これがコレクティブ・エフィカシーなのである、なるほど。
ジグソー学習やシンク・ペア・シェアなど、協働というよりも、どちらかというと個人の責任を明確にしている協同学習が土台にあるようにも感じられた。
Chapter1で紹介されていた、代表的な授業の説明としても
とあった。
学習としてのねらい、それに加えて、児童がチームを作って、それぞれが役割をもつ。もちろんこのチームは、ペアだったりグループだったりする。教師が学習の目標や評価、活動方法、振り返りの視点などを明確に提示しながら、子どもは互いの役割を達成するように学習に取り組む。
こうした一連の流れを学級の中で起こし続けていく具体やその必要性について、ずっしりと書かれていた本だった。
教師が一方的に伝えるだけの講義形式の授業、教師が子どもの思考を捉えずに強制的に引っ張っていく授業、そうした授業から脱却して、日常の授業改善にどれだけ真剣に取り組めるか、またその授業の中に「コレクティブ・エフィカシー」の視点を入れるか、入れないか、入っているなと感じるか、意図的に組み込むか、そうしたことを考えるきっかけの本になった。