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エピソードで語る教師力の極意 岩瀬直樹

岩瀬先生とちょんせいこさんの「振り返りジャーナル」の本が増強改訂版となって出版されることが流れている。改訂前のものを持っていることが貴重だったんだなと思いながらも、やっぱり増強改訂版もちょっと欲しくなってしまう。
そんな岩瀬先生のエピソードを久しぶりに読んでみたくなって手に取る。このシリーズ、たくさんの先生のものがあって、どれもその先生らしさのエピソードが記録されていて、個人的にすごく好きなシリーズだし、もっとたくさんの先生のものを読んでみたいなと思っている。

岩瀬先生のすごいところは、圧倒的なエピソードの記述力だと思っている。自分の小学校時代のことから、セミナーや研修で受けてきたこと、そして子どもたち一人ひとりと共にしてきた出来事や、その場で生まれてきた言葉、さらに何よりその時の岩瀬先生の気持ちや感情、願い。
こうしたことの一つ一つが丁寧に記録されているから、数十年前の話であったとしても、共感しながら読むことができるし、岩瀬先生を型作ってきた物語を一緒に歩んでいる感覚になれる。
岩瀬先生が、例えば今の風越学園での教室の様子を1時間、1日じっくりと観察したり、公立小学校における一斉授業を見ていたりしたら、どんな記録を書かれるんだろうか。誰のどんな学びに注目して、その時どんな感情を抱くんだろうか。

教師力の極意というタイトル。
岩瀬先生の極意を自分なりに解釈すると、自分の手で学びを更新し続けることなんだと思う。知らない世界、先の見えない世界でも興味関心があれば、ひとまず飛び込んでみる。飛び込んでみた先で起こっていることを全身で味わう。全身で味わったことについて、丁寧に振り返る。これを今でもきっと、ずーーっと繰り返している。それこそが極意なのではないだろうか。
「学びのコントローラーを子どもたちに」と言っている岩瀬先生自身の学びのコントローラーをきちんと自分で握っているからこそ、自己の信念と教室像が一致して、教室が出来上がっているんじゃないかな。

それからもう一つ。岩瀬先生は、共に学ぶ仲間をつくるのがすごく上手なんだろうなと感じる。本書の中に、岩瀬先生が勉強会で先輩から言われた言葉の中に

「岩瀬さん、いい職場を作れない人は、いいクラスも作れないよ」

P31

というものがある。
たくさんの人と繋がって、学びの場をつくって、自分自身も熱心に学び続ける。その中で起こる偶然あった出会いを大切にしていく。人を大事にするから、きっと自身も大事にされる。そういう経験があるのではないかなと妄想する。

軽井沢風越学園に見学に行ったことはないのだけれど、どんな職場で、どんな子どもたちがいるんだろう。そこに岩瀬先生はどのように関わっているんだろう、いい職場をつくっているのかな。いやきっと、いい職場をつくっているんだろうな。

自分自身も、まずは学級で起こったエピソード、子どもたちのやり取りを毎日丁寧に記録していきたい。

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