さみしい夜にはペンを持て
本屋に行くたびに、気になっていたものの「いや、まだ今じゃないかな」とか思いながら、横目にしていた本。発売されてから、色々なところで「いい本だ!」という情報が届いてはいたので気になっていた。
結局、遅かれ早かれこういった本は読むことになるんだよね。
大きなテーマとしては「日記を書く」ということ。
でも、日記って分かっちゃいるけど続かない。そもそも日記に書き方なんてあるんだろうか、一体何をどうやって書いたらいいんだろうか。
最初の3日、1週間は頑張れるのだけれど、、結局、、ねえ、、という壁にぶつかりがち。
そうした壁の乗り越え方というか、そもそも書くことの楽しさや喜びについて、物語を通して書かれていく。
この本に出てくる主人公がタコのタコジロー。このタコジローがまた、なかなかに重たい悩みを抱えている。おそらく筆者は、多かれ少なかれ何某かの悩みを抱えている人たちに向けて、その気持ちの整理の方法としても、この本を書かれたんだろうと感じられる。
自分自身は、日記を書くことや毎日の振り返りを書くことは苦手意識もなくて、どちらかというと仕事をしているときは書くことが常態化していた。
ただそれはどこか「したこと日記」になっていた部分もあって、土日で休みの日には書くことが全くなかったし、今思えば、書いていたものは単純な業務日誌だったのかもしれない。
主人公のタコジローに、日記を書くことの面白さを教えてくれるのが、ヤドカリのおじさん。このおじさんの言葉に「なるほどな」とか「そうだよな」と感じられることが、結構たくさん出てきた。例えば(タ→タコジロー、ヤ→ヤドカリのおじさん)
こんな感じ。
タコジローに向けられた言葉は、読者である自分にそのまま刺さる。「一つの書き物にそんなに時間もかけてられないもんな。でも自分自身も、答えを決めるのが早すぎる瞬間がきっとこれまでにたくさんあったな。今書いているこの文章自体がそうだとも言えるな」みたいに内省が起こる。
これを読んで、今すぐ日記を始めようとは正直ならなかったんだけれど、それでも書くことの大切さ、面白さ、言葉で相手に何かを伝えるという言葉の可能性などなど、多くのことを学べる一冊でした。