なってみる学び 演劇的手法で変わる授業と学校
数日前に「学びを変えるドラマの手法」を読んだ。ドラマの手法や進め方について理解しながら、やっぱり「なってみる学び」をもう一度読まないことには、演劇的手法のなんたるか、現場でどう進めていくのかを話すことはできないだろうということで読み直した。
八幡市立美濃山小学校の研究主任である藤原由香里先生と、東京学芸大学教職大学院准教授である渡辺貴裕先生が外部講師として継続的に研究に関わりながら進められた記録である。
内容として実践の紹介、著者2人による対談、外部参加者の方の考え方や感想、などなど、大変充実している。演劇的手法のなんたるかについて学び実践していくための必読書であると感じる。
そもそも演劇的手法について渡辺先生は
と説明している。
演劇的手法と聞くと、道徳における「役割演技(ロールプレイ)」のような教師が指定した場所で指定した内容について演技をすることで理解を深めるといった印象があったが、それは演劇的手法のほんの一部あり、よりたくさんの手法がある。
また校内や学年内で相談していく中で、より新たな手法を考え実践することも可能であることが分かった。
このように「なってみる学び」は、演劇的手法についての理解を深めるために読むことのできる本であるのだが、この本にはもう一つ大きな強みがある。
それは「校内研究」や「公開研究」がどのように進められてきたのかについて、大変具体的に示されている点である。
藤原先生が研究主任として勤務する八幡市立美濃山小学校において、校内研究のテーマとして「演劇的手法」を取り上げている。
研究主任以外の先生方が、それに対してどのような感情を抱いていたのか、藤原先生が研究主任として校内研究を進めていくうえでどのような苦労と葛藤があったのかについて、本当に真っ直ぐに描かれている。
また「公開研究」においても、ただお達しでやらされる公開研究とは異なり、自分たちでどうしたら自分たちの研究が自治体の他の学校に伝わるか、少しでも価値高い時間にするために、どのように進めたらいいのか、学校全体として研究を大切にしながら向き合っていることが伝わる。
校内研究については、今とてもいろいろな意見があるけれど、学校で一つのテーマについて研究をするということの面白さ、前向きに「やってみる」ことの良さについて触れることができる素敵な本だった。