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とにかくひたすら映画について語る vol.3

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映画関連noteが200に到達したので、新たにマガジンを作りました。
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#レビュー

【cinema】ザ・ライフルマン

【cinema】ザ・ライフルマン

世間が「鬼◯◯◯」に夢中になっている中、私はひっそりと1週間だけ上映されているラトビア映画を観てまいりました…

第一次大戦下のラトビア。ロシアに攻め入るドイツ軍と戦うため、ラトビアではライフル部隊が編成される。主人公は17歳にあと2ヶ月の少年のアルトゥルス・ワナクス。彼は冒頭で母をドイツ軍に銃殺され、志願し、兵役を一度は終えた老父と共に兵士となります。ロシア皇帝の名の下、前線で戦い続ける彼らです

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【cinema】許された子どもたち

【cinema】許された子どもたち

こんなにも逆説的なタイトルはあるだろうか。

全く許されてもいない子どもたちのことを描いているのに。

本作はどこにでもいそうな4人組(うち1人は自分がイジメの標的になりかけているのをギリギリのところでくい止めるため、仲間にならされている)が、割り箸で作ったボーガンで、いじめの標的となっている子を殺すところが起点となる。

殺すつもりはなかった。

でも殺してしまった。

だけど殺していないと翻し

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【cinema】レ・ミゼラブル

【cinema】レ・ミゼラブル

元々超メジャー映画を見ない私ですが、普段映画を見ない方や、メジャー中心に見る方にも、とにかく、しのごの言わずに見てくれ…!と思う映画に出合うことがあります。滅多にそんな機会はなく、でも今回この映画を見て、心底そう思いました。ヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」ではありません。あの話の現代版でもございません。

舞台はパリ郊外のモンフェルメイユ。ここはどこだと思うばかりの団地群の連なる移民だらけの

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【cinema】新聞記者

【cinema】新聞記者

久しぶりに映画の感想を書きます。明日が選挙投票日だからです。 (明日じゃなくて、もう当日だね)

「新聞記者」という映画を本日観ました。
この映画が全く宣伝されていないのは、現政権を痛烈に批判しているからです。実際に起こった政権とズブズブの事件(加計学園問題、森友問題、伊藤詩織さん事件等)を基に、新聞記者と内閣府の官僚がそれに対峙していくストーリーです。韓国人女優シム・ウンギョンと松坂桃李がそれぞ

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【cinema】金子文子と朴烈

【cinema】金子文子と朴烈

関西で見逃して、GW中、帰省している広島で、行ったことのない映画館(横川シネマという)のスケジュールを何気なく覗いてみたら、上映している!ということで観てきた。

私はなぜか大正デモクラシーとかアナーキズムとかあの頃の主義思想にここ最近になり、関心が湧き始めた。中高生の頃に歴史で勉強しても何にも思わなかったのに、何ででしょうね。

そういえば、去年「菊とギロチン」を見てからかもしれない。アレはアレ

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映画の記録、記憶、ふりかえり。

映画の記録、記憶、ふりかえり。

いつもなら映画を見て2〜3日以内にここnoteにてレビューを挙げていたのだが、どうにもこうにも書けない。書きたいのだが、うまく書けない日々が続く。

というわけで、一度整理のため、2019年元旦から4月13日現在までに見たものを列挙してみる。以下、見た順に記載。

1.輝ける人生
2.おかえり、ブルゴーニュへ
3.パッドマン 5億人の女性を救った男
4.家へ帰ろう
5.ババールの涙
6.

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愛のパワーバランスを見せつけられる映画。

愛のパワーバランスを見せつけられる映画。

「女王陛下のお気に入り」

正直に言う。私はアン女王役のオリビア・コールマンがアカデミー賞主演女優賞を獲ったことが、あまり受け入れられない。

彼女の演技力には一切文句なく、すごいと思う。もう美しさとかかなぐり捨てて、エグさとどぎつさと哀愁漂う感じを併せ持った、孤独な女帝を演じていて、彼女だったからこそとも思う。

でも、私は知っている。「思秋期」で演じたハンナ役の彼女を。私がオリビア・コールマン

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すべてを失う前に。

すべてを失う前に。

映画を見て、苦しくて、悔しくて、恐怖に打ち震えて、涙したことはありますか?

私は今回が初めての経験でした。

この93分間を冷静に、動揺することなく、見れる人がいたら教えてほしい。

タイムリーすぎて、狙ったのってくらい、日本でもニュースでとりあげられているドメスティックバイオレンスがテーマのフランス映画「ジュリアン」のことです。

何年か前のmyfrenchfilmfestivalとフランス映

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【cinema】アイ・ビロング

【cinema】アイ・ビロング

今まで数々の映画を見てきて、ハッとさせられるもの、心に響くもの、気がつけば余韻を残していくもの、あらゆる映画に出逢ってきました。

この映画はそのどれにも当てはまり、未だに私の心の中にスッポリと収まっているような感じ。派手さは一切なく、むしろ地味そのもの。だけど、何でこんなに私の心を掴んでいるんだろうか。

***

あらすじはこうです。

リセ、グレテ、クリスティーナ。3人の、年齢も立場も境遇も

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トーキョーノーザンライツフェスティバルのこと。

トーキョーノーザンライツフェスティバルのこと。

あまりにも映画レビューを書かなさすぎて、自分でもどうしてしまったんだろうと思うのだけど、映画を観るペースは例年と変わらず、わりと順調だと思う今日この頃。ツイッターには、見た感想をすぐ書くようにしていて、備忘録として利用してます。

さて、こないだの三連休に観に行ったトーキョーノーザンライツフェスティバルで見た作品について、書きたく。

これは渋谷のユーロスペースにて毎年催されている北欧映画のイベン

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今までに見たことがないアフロアメリカンムービーだった。

今までに見たことがないアフロアメリカンムービーだった。

「ビール・ストリートの恋人たち」

ロングライドの試写会が当たり、定時ダッシュして観に行ったもの。

試写会じゃなくても観に行ったけど、公開前に見て、私が感じたことを書き連ねたく思います。

舞台は、70年代アメリカ、ハーレム。若い黒人カップル、ファニーとティッシュの恋物語。愛し合う二人の世界が、とてつもなく優しく、愛で満ち溢れて描かれる。なのに非情にもファニーは突如レイプ犯として逮捕され、彼が拘

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【cinema】家へ帰ろう

【cinema】家へ帰ろう

2019年4本目に見たのが、アルゼンチン映画の「家へ帰ろう」です。

その前に3本見てますが、まずはこちらのレビューを書き留めたく、2019年最初のレビューとします。

ホロコーストを生き抜いたユダヤ人の老人が、70年の時を経て、友人との約束を果たすためにアルゼンチンから故郷ポーランドへ旅する姿を描いたロードムービー。ブエノスアイレスに暮らす88歳の仕立て屋アブラハムは、自分を高齢者用の施設に

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2018年映画マイベスト10を考える

2018年映画マイベスト10を考える

気がついたら大晦日になっておりました…。
Twitterでは既に挙げたのですが、やっとマイベスト10を決めることができたので、2018年の締めくくりをしたく思います。

①心と体と
②RAW 少女のめざめ
③ゆれる人魚
④シシリアン・ゴースト・ストーリー
⑤ロープ 戦場の生命線
⑥ウインド・リバー
⑦リベンジ
⑧菊とギロチン
⑨母という名の女
⑩タクシー運転手

今年は劇場で123本、Netfli

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東京国際映画祭レポートvol.1

東京国際映画祭レポートvol.1

映画フリークの私が、一年越しで楽しみにしてる映画イベントがコチラ、東京国際映画祭です。

(また書きますが)レッドカーペット系には興味はないので、(日本の)俳優さんが来ようが来まいが「私の」映画祭には何の差し障りもないんですが、そんな中でも楽しみなのは、映画後のティーチインの時間だったりします。

その国の人たちなら当たり前のように知っている、わかっている背景やコモンセンスがわからずに、終始頭の中

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