トーキョーノーザンライツフェスティバルのこと。
あまりにも映画レビューを書かなさすぎて、自分でもどうしてしまったんだろうと思うのだけど、映画を観るペースは例年と変わらず、わりと順調だと思う今日この頃。ツイッターには、見た感想をすぐ書くようにしていて、備忘録として利用してます。
さて、こないだの三連休に観に行ったトーキョーノーザンライツフェスティバルで見た作品について、書きたく。
これは渋谷のユーロスペースにて毎年催されている北欧映画のイベントです。関西では開催の予定もなく、北欧好きの私としては見に行かない訳にはいかない。今回初参戦。事前に前売り券をネット予約し、計6本見ました。
🇸🇪スウェーデン映画
「イート・スリープ・ダイ」
「マイ・アーント・イン・サラエボ」
🇫🇮フィンランド映画
「マン&ベイビー」
🇩🇰デンマーク映画
「ウィンター・ブラザーズ」
「氷の季節」
🇳🇴ノルウェー映画
「アイ・ビロング」
2本(+1本の短編映画)のスウェーデン映画は、いずれも北欧諸国におけるバルカン紛争時の移民が主人公の物語。バルカン紛争が起こったのはもう25年以上前のことだけど、未だに燻っていて、その上、欧州各国では中東やアフリカ諸国からの難民が押し寄せている今だからこそ、私たちは考えるべき事があるんだなと思い知らされる。
終わりなんてないし、終わらせたらダメなのだと。個別にレビューは書きたく思いますが、北欧諸国だけではなく、欧州全体が直面している問題をそれぞれ違った角度から見せる映画でした。
フィンランド映画の「マン&ベイビー」は、出産直後、逃げてしまった妻に代わり、新生児の子育てに奮闘するパパを面白おかしく描いたものです。今でこそイクメンだの父親も育休をと言い始めた日本より、ずっと進んでいると思ったフィンランドも実はそうでもなかったり、子育てに臨む親たちの葛藤が笑いを交えて描かれていて、ああ、この問題って、万国共通なのねと。色彩が鮮やかで、それだけで見ていて楽しいです。
デンマーク映画「ウィンター・ブラザーズ」は、時代背景はよくわからないけど、閉ざされた石灰工場で働く身寄りのない兄弟がメインキャラの物語。弟のエミールは変わっていて、周りから忌み嫌われている。彼が方々から追い詰められていく様が、鉱山と雪景色と石灰の山とでもって絶望的な閉塞感で描かれる。見ていて苦しかった。
もう一つのデンマーク映画「氷の季節」は19世紀半ばのデンマークにおける没落した大地主イェンスが、残された僅かな尊厳と娘を守るためにスウェーデン人に土地を売り、娘を嫁がせ、良かれと思ってやった事が思わぬ悲劇を招き…という話。イェンス役のイェスパー・クリステンセンが最高に巧い。
そして、最後にノルウェー映画「アイ・ビロング」。これは単純には説明できないのだけど、3人の女性たちの日常に起こった少し不穏な出来事が、彼女たちの気持ちに寄り添いながら描かれているオムニバス形式の映画。音楽がとても効果的に使われていて、且つものすごく「解る」。変な喩えだけど、私の好きな新潮社クレストブックスに紡がれるようなトーンの話。目の細かい編み物を編み上げていくような様を感じることのできる、とても素敵な作品だと思う。極めて女性的な目線なのに、監督は男性なんだというのも興味深い。
個人的にはどれも一般公開したらいいのに、と思う。商業的に大成功するかというと難しいかもしれないけれど、これらを見て、自分が知り得なかった世界に目を向けることが出来たし、確実にその視野は広がった。
はっきり言って、元気になれる映画というよりは、一部を除き、全体的薄暗い、ダークな部分を垣間見るようなものが多かったと思うけど、それでも私にとっては、見て、感じて、考えて、それら全てがまた新たな映画を見る活力となるのです。
普通に生きていたら、知る由もない国や世界、人生、歴史を感じる一端となる映画特集であったと思います。
やっぱり映画のために、東京に住みたい…。
このイメージビジュアルは、田中千智さんという画家の描き下ろし作品だそうです。すごく素敵で、この映画イベントにピッタリです。
また来年も行けるといいなぁ。
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