たまねぎかりんとう

ちょっと人の心、相手のことを考えがちなアラフォー、日々のエッセィをぼちぼちと。

たまねぎかりんとう

ちょっと人の心、相手のことを考えがちなアラフォー、日々のエッセィをぼちぼちと。

最近の記事

学生と面談して意思確認するのは誰の仕事なのか?【いつか季節が廻ったら #17】

 年下彼に心の内を話してみた日、時を同じくして、年下彼、学科長、学科の先生1名、事務局担当者そして、私の5名で面談をした。年下彼に退学の意思を確認するためだった。 一同が介した会議室。開口一番、学科長は事務局担当者に言った。   「これは私の仕事なのですか?私の仕事ならば、どこかにマニュアルなどがあって記載されていたりするのですか?」   私の、仕事。   こういう状況になった学生に対して面談するのは、自分の仕事なのか、と聞いたのだ。   二つ季節をさかのぼったころ、私

    • 我が子を思う親の気持ちって、どんなふうなんだろうと考えた。【いつか季節が廻ったら #16】

      季節が二つ過ぎた。 年下彼は言語化したくても本人が自分の感情を理解できなかったのかもしれない。もしくは、心に蓋をして、感情を表現するということをずっとしていないのかもしれない。そう思うようになった。 だから、年下彼が発した言葉と言動は、彼が今表現できる心の内の精一杯であったのかもしれない。 自分の感情を理解する、というのはなかなか難しい。 今回、年下彼と接して私自身、なぜこんなに感情が動いたのか自分でも驚き、「なぜ?」と自問自答した。 年下彼からみれば、笑ったり、泣いた

      • あなたのことは嫌いです。【いつか季節が廻ったら #15】

        まだまだ半袖。それでも少し暑さがマシになったころ、私達は面談した。 事務局にも入ってもらった。 日程をどうするか悩んだ。近い日程にすると、私の考えがまとまらず、怒りや悲しみが襲ってきて、言わなくていいことを言ってしまう可能性がある。 悩みに悩んで、「データのこともあるし、忙しい期間に入ったので、本当に申し訳ないけれど」と言葉を添えて、約10日後に設定した。 何をどうやって伝えるか、 これまでのことから、伝わっているのかよくわからないと思うことが多々あった。少し深い話をする

        • 自分軸ではなかった-ご機嫌を伺うことの意味 【いつか季節が廻ったら #14】

          退学届けが出された時、関係者で話し合い、 何の説明もないまま退学届けが処理されるのはよくないだろう、との結論に達した。 事務局は深く考えずに退学届けを受理したようだが、よくよく話を聞いてみると、私の所属する小規模大学では、やはり、退学や休学を申し出る学生が居たときには、保護者の方と面談することが多いようだ。 二十歳を過ぎているとはいえ、子女を大学に通わせる “スポンサー”でもある。 私が保護者だったら、 我が子が、あと少しのところで大学院を退学しなければならないのか、聞

          もしかするとアダルトチルドレンの傾向があったのかも。 【いつか季節が廻ったら #13】 

          「先生の機嫌を取るために研究している、人の機嫌はもう取りたくない。」 あと少しでできるよとアドバイスしても一度決めたらもう覆らない。 「できません。しません。」 「今は絶対むり!!」 「・・・ほんなら、いつならできるん?」 聞いてはみた。答えてくれなかったけれど。 そんな主張を繰り返す、年下彼と対峙して二つの季節が過ぎようとしていた。 退学届けが提出されたころ、私は、一方で年下彼がアダルトチルドレンの傾向を持っているのではないか、という結論にたどりつきつつあった。

          もしかするとアダルトチルドレンの傾向があったのかも。 【いつか季節が廻ったら #13】 

          退学ではなく休学はどうかな。 【いつか季節が廻ったら #12】

          修士修了の要件は、所定の年限在籍し単位を取得すること、そして修士論文審査を受けてパスすること。   修士課程に入ると学生はいくつかの座学の授業を履修することになる。 私が修士の学生だった大学では開講科目が隔年だった。そのために、学部生がやりがちな、「早めに全部座学の単位を履修してしまおう」作戦を取ることができなかった。   一方、ここの大学では、毎年授業が開講されるので、1年次に詰め込んで「修士論文」以外の単位を取得することができる。   そのため、修士1年のうちに授業を取っ

          退学ではなく休学はどうかな。 【いつか季節が廻ったら #12】

          大学事務局と学科の先生、そして私にとっての退学届けの意味。 【いつか季節が廻ったら #11】

             「先生、聞いてますか。」 「何をですか。」   「あれ、知らない?退学届けがでたのですよ」廊下で、まるでゴシップ記事を面白おかしく言うように学科長に言われた。   出張から帰って出勤した日のことだった。 「私、今初めて聞きましたけれど。いきさつはどういうことなのですか?」 「あ、私はよく知りません。」 「誰に聞けばいいのですか?事務局の誰?」   「・・・先生、私、今怒ってるんですよ。わかってます?なぜ1週間も放置なんですか?私、彼のゼミの先生なんですよ?わかってます?

          大学事務局と学科の先生、そして私にとっての退学届けの意味。 【いつか季節が廻ったら #11】

          自分軸で考えても、大学院修了は「どうでもいい」ことなの?【いつか季節が廻ったら #10】

          セミが泣き叫ぶ季節になった。 15回の授業と試験を終え、前期はそろそろ終了。 試験の採点をして、点数をつけ、単位認定をする。そんな日々になった。お盆が明ければ大学も長期休暇の様相になる。   教員は研究者でもあるので、研究を進める大切な期間となる。 年下彼にとって、今年度修了するためには、春前から進んでいない研究を進めることが必要だ。それも1月に修論発表会がある、というタイムリミットを考えるとそろそろ限界であった。修論発表会の前には 40ページを超えるの修士論文を大学に提出

          自分軸で考えても、大学院修了は「どうでもいい」ことなの?【いつか季節が廻ったら #10】

          学生に向き合いたい私と、学生に無関心な学科の先生 【いつか季節が廻ったら #9】

          何がしたいのかが分からない。そんな日が続いた。 そして、関係がぎくしゃくしても年下彼は時折私の部屋には来た。 ただ、そのころには目を合わせて話すこともなければ、話しかけても常にふてくされていた。   「一体何なのか。」 困惑するばかりだった。   あるとき、研究室のゼミの日にやってきた。 私のゼミは「手書きで紙にメモを取ること」。全ゼミ生に強く求めてきたことだ。配属時にノートまで支給している。 昨今、ゼミの資料はメールなどで共有され、必要なら自分で印刷して持って来なさい、が

          学生に向き合いたい私と、学生に無関心な学科の先生 【いつか季節が廻ったら #9】

          「やってみるけれど最後までやらずに途中で放棄して逃げる」それが問題。 【いつか季節が廻ったら #8】

          半年以上先の国際学会。 アメリカである学会に行こうと思うと、円安も拍車をかけて、約1週間の会期で 50 万円近くかかる。 大きくは渡航費、参加費、滞在費である。   さすがに研究費では用立てできない。 旅費を得るために、申請書と書類を揃えて、競争的資金に応募した。採択されれば、自前の研究費や自己負担なしで学会に参加できる。 申請書は夜中が締め切りだった。 調査に使うこともあるので、ストックしておいたお湯で戻せばご飯として食べられるアルファ米のご飯を二人で食べて晩御飯にし

          「やってみるけれど最後までやらずに途中で放棄して逃げる」それが問題。 【いつか季節が廻ったら #8】

          あと少しで出来るのに「無理です。できません。」―チャンスを反故にしてしまう頑なさはどこから? 【いつか季節が廻ったら #7】 

          来年冬にある国際学会には行きたくありません。 信頼回復それはすなわち、相手のことを考えること。 相手のこと、相手の気持ち、考えたことある? 返事はなかった。 「私は、どんなに忙しくてもしんどくても、できる限りはそれを表に出さないようにしてる。 なにかゼミ生に言われたときは、快く対応するか、忙しいときは、「ちょっと待って」と言い、別の日程を言うとかしてきたと思う。今のあなたみたいに、自分のことばかり主張したこともないと思う。」 「それに先日、信頼回復することが条件と言った

          あと少しで出来るのに「無理です。できません。」―チャンスを反故にしてしまう頑なさはどこから? 【いつか季節が廻ったら #7】 

          僕を見捨てないで、心がそう言っているように見えた日 【いつか季節が廻ったら #6】

          結局、 「あなたの機嫌をとるために研究をしていた」 という言葉の真意はわからないままだった。 私が大泣きした日、 「じゃあ、どうしたいの?」 という私の質問に対しての答えはもらえなかった。 「分かり合えない」 と言われただけだったからだ。言語化してほしいとお願いしたけれど、言語化されることはなかった。 言語化できなかったのか? 言語化できたけれど、言えなかったのか? 自分の意見を言ったら相手に嫌われると思い込んでいたのか。 それでも、何度聞いても 「先生の機嫌を取るため

          僕を見捨てないで、心がそう言っているように見えた日 【いつか季節が廻ったら #6】

          なぜだかわからない、でも大切な人を傷つける、そんなことがあるんだと知った。【いつか季節が廻ったら #5】

          あっという間に就職が決まった後、年下彼はふたたび平然と部屋にやってきた。 「こんなのどうでもいい」 押し問答の末、未提出になっていた研究計画書の相談に来たという。 「平然と」ではなかったかもしれない。 意を決して部屋の戸を叩いたのかもしれない。 でも、やってきたのは事実だった。 「あなたがどうでもいいと言って以降、私は計画についてこれっぽっちも考えてない。だから、私の考えはあの日以降、進展してない。」 そう言った。 事実その通りだったのだ。 私は、当時、別の論文の執筆

          なぜだかわからない、でも大切な人を傷つける、そんなことがあるんだと知った。【いつか季節が廻ったら #5】

          「研究計画書、こんなのどうでもいい」 - もしかすると白黒思考だったのかもしれない。【いつか季節が廻ったら #4】

          学校が課していることは、やらなければ修了に不利になることもある。修士論文執筆も当然単位であり、一定のレベルに達していなければ単位認定はできない。 当然だ。 新学期、大学が研究計画書を出せと言ってきた。今年から始まった制度だ。 学生が数行書き、指導教員がコメントを付けて提出。 外部評価委員から大学に指摘があって始まったものだ。形式的と言えば形式的。それでも学校が課している課題は、修了のためには必須だ。 そのころ、就職活動を猛烈に焦っていた年下彼。 「こんなん、なんで今書か

          「研究計画書、こんなのどうでもいい」 - もしかすると白黒思考だったのかもしれない。【いつか季節が廻ったら #4】

          就職活動、企業の事情もあるのだから返事は待つしかない。【いつか季節が廻ったら #3】

          桜が咲く、少し前。 22時ごろ、建物をでるとキンとした寒さがほほをなでた。 調査の帰り、あまりにもふてくされていたので、話をしたのだった。 「あなたの機嫌を取るために研究していた」と言われた日。涙が止まらなくなった。大泣きする私を見て年下彼はどう思ったであろうか。 ほとんどなにも言わなかった。ただ横を向いて私の方を見ることはなかった。 このころ、年下彼は就職活動をしていた。 今は売り手市場、経団連の解禁日なんて無視しして、ほとんどの企業が早々と就活生を取り込んでいる。

          就職活動、企業の事情もあるのだから返事は待つしかない。【いつか季節が廻ったら #3】

          強い言葉を投げつけてしまったとき、その心境は・・・ 【いつか季節が廻ったら #2】

          「あなたの機嫌を取るために研究していた」 そんな言葉を年下彼から投げつけられて、私が大泣きするちょっと前、航空券がセールになっていた。 地方住まいの私たちは、航空会社のセール期間に航空券を購入できたら、新幹線で行くよりも安く東京往復できる。 セールは今日の夜中まで。 ちょうど学会の会期の時期の航空券が売り出し中だった。 学会は数か月先。少し前に発表の申し込みをしたところだ。 彼の修士論文とは大きくは関係しない。それでも大事な研究室のテーマのひとつ。 「そのころ余力があり

          強い言葉を投げつけてしまったとき、その心境は・・・ 【いつか季節が廻ったら #2】