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1日の歩数とうつ病リスクの関連


📖 文献情報 と 抄録和訳

成人の1日の歩数とうつ病:系統的レビューとメタアナリシス

📕Bizzozero-Peroni, Bruno, et al. "Daily Step Count and Depression in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis." JAMA Network Open 7.12 (2024): e2451208-e2451208. https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2024.51208
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[背景・目的] 最近のエビデンスの統合により、心血管疾患および全死因死亡のリスクを減少させる上で、1日の歩数の保護的役割が裏付けられた。しかし、歩数に基づく推奨事項は、さらに多くの健康アウトカムをカバーすべきである。目的 一般成人集団における客観的に測定された1日の歩数とうつ病との関連性を統合する。

[方法] データ源 この系統的レビューとメタアナリシスでは、身体活動、1日の歩数測定、うつ病などに関連する検索用語を用いて観察研究を特定するために、PubMed、PsycINFO、Scopus、SPORTDiscus、Web of Scienceのデータベースについて、開始から2024年5月18日までの系統的な検索を実施した。 追加の検索方法も適用した。研究の選択 特定されたすべての研究はオンラインのレビューシステムにアップロードされ、出版日や言語による制限なく検討された。対象となった研究は、客観的に測定された1日の歩数とうつ病のデータを有していた。データの抽出と統合 この系統的レビューとメタアナリシスは、系統的レビューとメタアナリシスに関する推奨事項(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-analyses)および疫学における観察研究のメタアナリシスに関する報告ガイドライン(Meta-analysis of Observational Studies in Epidemiology)に従って実施された。2名の独立したレビュアーが公表データを抽出した。主な結果および評価基準 95%信頼区間(CI)を用いたプール効果量(相関係数、標準化平均差[SMD]、リスク比[RR])は、Sidik-Jonkmanのランダム効果法を用いて推定された。

[結果] 18歳以上の成人96,173人(平均年齢[SD]の範囲:18.6[0.6]~91.2[1.6]歳)を対象とした33件の研究(横断研究27件、縦断研究6件[パネル研究3件、前向きコホート研究3件])が対象となった。

■ 横断研究の統合
・横断研究およびパネル研究のいずれにおいても、1日の歩数はうつ症状と負の相関を示した。
・1日5000歩未満と比較すると、横断的研究のプールされたSMDから、
 1日1万歩以上(SMD、−0.26;95%CI、−0.38~−0.14)、
 1日7500~9999歩(SMD、−0.27;95%CI、−0.43~−0.11)、
 5000~7499歩/日(SMD、−0.17;95%CI、−0.30~−0.04)
は、うつ症状の減少と有意に関連していた。

■ 前向き研究の統合
・前向きコホート研究の統合推定値は、1日あたり7000歩以上の歩行を行った参加者は、7000歩未満の歩行を行った参加者と比較してうつ病リスクが減少したことを示した(RR、0.69;95%CI、0.62-0.77)
1日あたり1000歩の増加は、うつ病リスクの9%低下と関連していた(RR、0.91;95%CI、0.87-0.94)

[結論] この系統的レビューとメタアナリシスでは、96,173人の成人を対象とした33件の観察研究を調査した。その結果、一般成人集団における横断的研究および縦断的研究において、1日の歩数が多いほど、抑うつ症状が少ないことが分かった。成人期における抑うつリスクの軽減における1日の歩数の潜在的な保護的役割を明らかにするには、さらなる前向きコホート研究が必要である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

以前、文献抄読したメタ解析では、うつ病リスク低減に効果的な運動内容を明らかにしていた(関連note参照)。
それによれば、ウォーキング、ジョギング、ヨガ、筋力トレーニングは特に効果が大きかった。
今回の抄読研究は、その中の『ウォーキング』のみにフォーカスを当てて、歩数とうつ病リスクの低減効果を明らかにした。

その結果としては、歩数とうつ病リスク低減には容量依存的な効果があることが明らかとなった。
さらに、1日1000歩の増加が9%のうつ病リスク低下につながるという感覚的に分かりやすいデータも示してくれた。
メンタル不調の予防を目的に運動をしたい、運動を処方したいという場合に有益なデータとなるだろう。
また、以前に、運動による抗うつ、抗不安効果の仕組みについて文献抄読を行っているので仕組みが気になる方はこちらを参照いただきたい(関連note参照)。

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