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記事一覧
遊牧民のわたしと、 農耕民族の彼女│La forêt des murmures
Oct.2022
豊島で過ごした日から 7ヶ月。去年の旅と同じように、また 5月に、彼女と再会できた。
伊勢神宮へと向かう 列車のなかで、やっぱり彼女は
自分は「農耕民族」なのだと言い、わたしを「遊牧民」と呼んだ。
死を想い、今日という日の花を摘む │ Les Archives du Cœur
Oct.2022
ボルタンスキーに はじめて出会ったのは、2019年。
国立新美術館で 開催された、展覧会でのことだった。
響き渡る咳の苦しそうな声、遺骨入れを思わせるブリキ缶、ホロコーストを彷彿とさせる、積み上げられた衣類の山… その会場には、" 死の気配 " が充満していた。
人間の不在。かつては " そこにいた " という 気配。
そんな 異様な雰囲気でありながらも、ひとつひと
Day1. はじまりの記憶をめぐる旅│大塚国際美術館 Ⅱ
Feb.2023
イタリアのことを書くだけで、楽しくていくらでも書けてしまう。ルネサンスだけでなく、バロックのこともゴシックのことも、その先のほかの国の芸術のことも書きたいけれど、思い出を綴ろうとすると終わりがない。
現地で観た絵画だけでなく、日本にやってきた世界中の絵画と、ここで再会することができたのも嬉しかった。「あの展覧会で観た」とか「あの子と一緒にみて、二人とも好きな絵だった」とか。そ
Day2. 奥村土牛の "翡翠" の海を見る│鳴門・渦潮
Feb.2023
絵画って、自由だ。
草木を "緑色" で 描かなくてもいいし、たとえば海だって、"青色" で 描かなくてもいいのかもしれない。
日本画の展覧会に足を運ぶようになったのは、大学生の頃に、東山魁夷の絵に出会ったことがきっかけだった。
寺院、そして日本庭園。大人になると味覚が変わるというけれど、その良さがわかるようになるまで時間を要するものがあるかもしれない。日本画の展覧会に足を