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教育問題に関する私見と雑観

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私が書いた記事のうち、教育全般に関する個人的な意見などのものをまとめています。
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2023年9月の記事一覧

大半の人の人生は「とるにたらない」という事実

大半の人の人生は「とるにたらない」という事実


「自己肯定感」を重視する風潮「自己肯定感」を重要視する風潮が流れて久しくなります。

その風潮自体を否定するつもりは毛頭ありませんし、「自己肯定感」の重要性に関しては私自身も感じています。

しかし、一方で「自己肯定感」が世間であまりにも声高に叫ばれるがゆえに「万能感」と混同した人たちを見かけることがあります。

前回の記事で不登校問題に関して触れたことにもつながりますが、不登校を肯定するがゆえ

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学校に行かないことで偉業を成し遂げた人たちは一部の例外であることを強調すべき

学校に行かないことで偉業を成し遂げた人たちは一部の例外であることを強調すべき


学校に行かないという選択近年不登校生徒の数が増大しています。

これ自体は時代の流れで仕方ない部分があるでしょう。

いまだに根強い画一的な教育観の学校に対して、比較的リベラルな価値観の家庭の間において不適応を起こすことは必然かもしれません。

当然ながら私の価値観としても、学校に行かないという選択を批判する意図は全くありません。

ところがこうした行かない選択が許容されるようになると、行かない

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校則に関わる理想と現実

校則に関わる理想と現実


学校の校則に関する批判近年、厳し過ぎる学校の校則に批判が集まっています。

そうした時流の中で注目すべきニュースが目に留まりました。

アメリカの経済誌「フォーブス」の日本版で、先月、「世界を変える30歳未満」として、全国の高校の校則を調べてインターネット上で公開している高崎市の県立高校3年生、神谷航平さん(18)も選ばれたということです。

文科省は生徒指導提要改定を行ったその流れに乗るように

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「体育座り」見直しの動き、その流れは歓迎だが本質は別にある

「体育座り」見直しの動き、その流れは歓迎だが本質は別にある


「体育座り」見直しの動き学校現場では長年習慣化していた「体育座り」に見直しの動きが出ています。

記事内では携帯パイプ椅子を活用することで集中して話を聞けた、といった内容が書かれています。

また理学療法士の方のインタビューも掲載しています。

こうした時代錯誤な習慣は時代に合わせて変えていくことは大歓迎です。

今回の場合も、地べたに座る習慣の無い生徒が増えたことからの変更のようです。

「体

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先輩が後輩を「指導」する文化に関する雑感

先輩が後輩を「指導」する文化に関する雑感


子供の運動会先日、子供の運動会を参観しました。

小学校らしい、と言えばよいのか先生方がしっかりとベースラインを計画し、その中で児童の活動が生き生きとした良い運動会でした。

一方で、いわゆる「伝統」的な風習を見かけて懐かしい気持ちになったのも半面、時代錯誤を感じた瞬間があったのも事実です。

その中の一つが応援団や応援合戦、それに解団式のパフォーマンスなどです。

生徒自治という考え方私が子供

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スクールカウンセラーの「やりがい搾取」は学校組織の構造的問題

スクールカウンセラーの「やりがい搾取」は学校組織の構造的問題


スクールカウンセラーは「やりがい搾取」スクールカウンセラーの職務が「やりがい搾取」になっているという記事を見かけました。

記事によると様々な「やりがい搾取」体質が恒常的に存在し、それがカウンセラーたちのストレス要因になっているという実態が明らかになりました。

最多は無償労働アンケートの中で、最もストレス要因になるという意見がでたのは無償労働です。

この結果を聞いて多くの教員は「まさか」とい

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国民の3人に1人が「大半の教員が仕事に熱心に取り組んでいる」と答える国家の教育の末路

国民の3人に1人が「大半の教員が仕事に熱心に取り組んでいる」と答える国家の教育の末路


教育に関する世論調査世界最大規模の世論調査会社イプソスの「教育に関する意識調査2023」で、教員になるよう勧めたい日本人は19%という結果が報道されていました。

こうした調査は定期的になされていますが、教員不足問題が社会問題化した状況で行われたこの調査は、これまでとは大きく意味が異なるものでしょう。

教員の給与が低いという認識はあるらしいこの調査では教員の給与に関しての質問があるようです。

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「教師の魅力アピール」で教員にならない若者たち

「教師の魅力アピール」で教員にならない若者たち


教育人材総合支援ポータルでの教員の魅力発信全国的な教員不足の解消の一手として、文科省は同省が運営する教育人材総合支援ポータルで全国の教育委員会が作成した教職の魅力を発信しているコンテンツの一覧ページを公開した、というニュースが上がっていました。

ここ数年、教員不足が深刻化する中で全国の教育委員会が教員の魅力を伝えようと真剣に作成したサイトがポータルサイトには並んでいます。

さながらオンライン

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「ホーユー」問題、 地元の店が弁当提供は全く美談ではない

「ホーユー」問題、 地元の店が弁当提供は全く美談ではない


「ホーユー」問題の続報「ホーユー」が経営破綻し、全国の給食施設がストップする問題に関して一昨日に取り上げました。

寮に入っている生徒の食事をどのように提供するか問題になる学校もあり、そうした学校に地元の仕出し店が協力するというニュースが上がっています。

地元の仕出し屋が弁当づくり広島県三次市の三次高校は地域の仕出し店の協力で生徒への食事を賄うことができているようです。

「ホーユー」の食事の

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平日家族旅行を欠席にしない制度の是非

平日家族旅行を欠席にしない制度の是非


大分県別府市の「たびスタ」大分県別府市は市内の小中学生を対象に、平日に家族と市外へ旅行に出かける場合、学校が欠席扱いにならないという制度の導入を発表しました。

これは「ラーケーション」と呼ばれる制度で、全国で導入が進んでいるようです。

愛知県でも9月から導入されているようです。

制度導入のきっかけ今回、別府市が平日休みを欠席扱いにしない制度を導入した背景には別府市が観光都市であるということ

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文理横断教育の重要性は同意するが、なればこそ早稲田大学が「先ず隗より始めよ」

文理横断教育の重要性は同意するが、なればこそ早稲田大学が「先ず隗より始めよ」


文理横断教育日本中の普通高校では在学中に文系、理系を選択します。

そのため、文系に進めば理科や数学の発展的な内容を扱わずに大学に進学します。

理系の場合は社会や国語の内容が軽量化したものを学ぶことになります。

そのため大学進学後や就職後に知識の偏りが発生し、それが社会のひずみとなる可能性が指摘されており、そうした偏りが行政判断に影響を与える可能性も指摘されているようです。

そういった事情

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学校での教科教育がやはり生活の中で重要ということの再確認

学校での教科教育がやはり生活の中で重要ということの再確認


学校教育の重要性に関して私は自分のnoteの記事中で繰り返すごとに学校教育の重要性について書いてきました。

その理由は長期的な視野の広がりや思考力の向上という大局的なものももちろん存在しますが、そこまで考えなくとも日常で利用する知識や思考の多くが高校までの教科の学習の中に含まれると考えているからです。

今回、またその重要性を再確認する記事を見かけたのでまとめてみます。

二酸化炭素の恐怖人間

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県立の女子高・男子高は共学化しなければならないのか?

県立の女子高・男子高は共学化しなければならないのか?


埼玉県公立高校の共学化埼玉県男女共同参画苦情処理委員は、男女差別をなくす観点から「県立高校の共学化を早期に実現すべきだ」と県教育長に勧告した、というニュースが上がっていました。

勧告の中で「男女の役割についての定型化された概念の撤廃が求められている」という結論が出たとのことです。

埼玉県の男子高、女子高埼玉県内には公立の男子高が5校、女子高は7校、合計で12校存在します。

男子高は浦和高等

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大学無償化制度や奨学金が抱える、成人なのに「親の収入」が条件になるという謎


奨学金と無償化制度大学進学に際して学生支援機構の奨学金を利用する人は少なくありません。

高校在学中に予約奨学生制度を利用して申し込む生徒も多いようです。
(この業務が高校の教員に振られることは問題ですが)

かくいう私も学生支援機構(当時は日本育英会)の奨学金を利用していました。

また、大学の学費を納付することが難しい家庭の生徒ならば大学無償化制度の対象となります。

こちらも高校在学中に手

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