誰もが、違国に住まうひと
ひといきに読んでしまうのがもったいなくて、数ヶ月をかけてゆっくりと読み進める。
物語の結末を見届けたあとも、おりにふれて何度も読み返す。
ヤマシタトモコさんの漫画「違国日記」を、わたしは、そんなふうにして読んできました。
出会ってから約一年になるのですが、今でも、読む度につよく心を動かされる作品です。
主人公の田汲朝は、中学三年生の冬、交通事故で両親を失います。
朝を引き取り、ともに暮らすようになるのは、叔母の高代槙生。朝の母親であり、槙生の姉である実里とは長い間没交渉で