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2023年美術鑑賞記録

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2023年に見た美術展色々
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#展覧会レビュー

【Suicaで行く桃源郷】埼玉県立近代美術館 桃源郷通行許可証&MOMASコレクション

【Suicaで行く桃源郷】埼玉県立近代美術館 桃源郷通行許可証&MOMASコレクション

埼玉県立近代美術館、2度目の来訪。
今回も…
お、面白かったー!!(1月28日来訪)

【企画展】【桃源郷通行許可証】

※1/29会期終了
この、所蔵コレクション×現代作家の企画展ってこの数年のトレンドかもしれないけれど、ほぼ、ハズレがない。
皆、渾身の作品をぶつけて来ている感があって、対決しているわけではないのだけど、タイトルマッチ!だ!

(そう言えば昔、赤瀬川さんが資生堂の機関誌「花椿」で

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【読後の爽快感】いのくまさん 茨城県近代美術館

【読後の爽快感】いのくまさん 茨城県近代美術館

近隣の美術館で時々展示される猪熊弦一郎氏の作品を見かけては、ああ、まとめて見てみたいなと思っていたのでは今回の展示は大変楽しみだった。

猪熊弦一郎の個展、ではあるが、谷川俊太郎の著書「いのくまさん」という絵本に沿った展示である。
沿ってはいるが、子供にも、大人にも猪熊弦一郎の画業がしっかり伝わる内容はとても良い。さすが、本として編集された内容というのは展覧会に組み立てても通用するものもあるのだな

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【なんでもない特別】「前衛」写真の精神: なんでもないものの変容 千葉市美術館

【なんでもない特別】「前衛」写真の精神: なんでもないものの変容 千葉市美術館

千葉市美すごい…としか言えない研究と展示。良かった、すごく良かった。

これを写真美術館では「ない」ところがやった事に意義があるし、東京都写真美術館でやった「アヴァンガルド勃興 近代日本の前衛写真」も良い予習になった。

あそこで、噛み砕けなかった部分(施設の広さの問題だと思う)を千葉市美に解釈してもらった感。
シュールレアリスム、ダダ、ネオダダ、の流れが一気に飲み込める。

【アジェから始まるス

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【立場が変わると景色が変わる】ケアリング/マザーフッド:「母」から「他者」のケアを考える現代美術

【立場が変わると景色が変わる】ケアリング/マザーフッド:「母」から「他者」のケアを考える現代美術

ケアリング/マザーフッド:「母」から「他者」のケアを考える現代美術
―いつ・どこで・だれに・だれが・なぜ・どのように?― 水戸芸術会館現代美術ギャラリー(5/7会期終了)

まず、この企画を実施した水戸芸の視点と、展覧会に来場していた客層を見て数年前森美術館で行われたアナザーエナジー展の時より少し、何かが変わったのかなと思えたのだ。

展覧会の趣旨は
ケアを通して見えてくるもの、ケアを「ひとり」か

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【彫り描く人】メイキング オブ ムナカタ 生誕120年棟方志功展 東京国立近代美術館

【彫り描く人】メイキング オブ ムナカタ 生誕120年棟方志功展 東京国立近代美術館

終始勢いよく楽しめる展示だった。

躍動感。
という言葉がこれほど当てはまるとは。
作品も、人となりも、外観も 笑。
魅力に溢れた人なんだろう。
だから数奇な運にも恵まれたというのもある。
引き寄せた、人か。

【仏の姿を彫る】

日本の仏像を見たであろう棟方志功の版画の仏は何処となくインド風だった。
いや、仏教はインドから伝わって来ているし当たり前と言えば当たり前だが、現在自分たちの身の回りにあ

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【どこかで見た風景】キュビズム展 美の革命  パリ・ポンピドゥー・センター 国立西洋美術館

【どこかで見た風景】キュビズム展 美の革命  パリ・ポンピドゥー・センター 国立西洋美術館

今回はキュビズムにフォーカスしたポンピドゥーセンター所蔵品の来日。
日本では1970年代以来のキュビズム・フォーカス企画だそうだ。
この様にフランスのポンピドゥーやらオルセー、ルーブルなどは本当にありがたい事に1,2年に数回、国内で見れるチャンスがある。
コロナ禍で延期続きになった事を思い出すと、本当にありがたいことだ。
おかげで、今まであまり理解できてなかったヨーロッパの近代絵画史の流れは見る度

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【いつ考え始めるのか】豊嶋康子 発生法ー天地左右の裏表 東京都現代美術館

【いつ考え始めるのか】豊嶋康子 発生法ー天地左右の裏表 東京都現代美術館

お、面白かった〜!
見ていくうちに知的興奮がドンドン上がっていく、そんな展覧会だった。

当たり前にそこにあるもの、制度、価値観ってなんだろう?

と改めて自分に問う。
問うた時、あれ?実はなんかとても不思議な事で悩んでいることが多いのかも知れないな、と思った。

モノの見方、味方、捉え方、受け取り方。
人それぞれ「当たり前」とし「考えなくてよし」と無意識に切り捨てている部分に突っ込んでくる。

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【本来の意味でのアナログ】MOTアニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ 東京都現代美術館

【本来の意味でのアナログ】MOTアニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ 東京都現代美術館

まず「MOTアニュアル」とは。

今回で19回目の開催。

第1回〜3回ぐらいまでに丸山直文、内藤礼、中村正人、
11回目に冨井大裕、池内晶子、関根直子…

などが取り上げられている。

私がMOTアニュアルで初めて作品と出会い、意識して名を覚え、現在も追っているきっかけになった作家さんたち。

こうしてみるとMOTアニュアル展後、今も一線で活躍している人も多い。
現在美術を追う視点で見に行くのも

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