【彫り描く人】メイキング オブ ムナカタ 生誕120年棟方志功展 東京国立近代美術館
終始勢いよく楽しめる展示だった。
躍動感。
という言葉がこれほど当てはまるとは。
作品も、人となりも、外観も 笑。
魅力に溢れた人なんだろう。
だから数奇な運にも恵まれたというのもある。
引き寄せた、人か。
【仏の姿を彫る】
日本の仏像を見たであろう棟方志功の版画の仏は何処となくインド風だった。
いや、仏教はインドから伝わって来ているし当たり前と言えば当たり前だが、現在自分たちの身の回りにあったり、見て来た仏像はインド風味は薄いはずだ。飛鳥時代、法隆寺仏像群では朝鮮系譜の仏像が多いがこれとも違う。
繋がった目のせいか、エジプトの壁画やインド曼荼羅の様子、一周回って本筋に辿り着いた様な、そんな気がしてしまう。
【仏像も彫るもの、版画も彫るもの】
刻むという行為で繋がった仏像の世界。
故郷の飢饉に祈りを込めた大作の大きさに胸を打たれた。
ひたすら大画面と向き合う。ダイナミックだが、でたらめな線がない。
【出品規約とたたかう】
大きさで表現したいあまり、文字通り規格外を生み出す棟方。その攻防戦が写真資料で残っていて思わず吹き出してしまった。
あれ、なんかこれ某アンでパンダン的な発想じゃない?
前衛との繋がりを感じる。
【当人の現代美術意識】
当人の映像も残っている。
その様子を見るに天真爛漫な性格側の芸術家、なのかもしれない。
現時点から彼を臨むと、版画の古典巨匠な気がするのだが、当人のインタビュー映像中に「モダン・アート」という発言があった事に驚いた。
そうか!モダンアート、現代美術だったのだ。
生前から作風が受け入れられ、時の人になったこともあったろう。常に「今」を生き生きと走ってきた棟方志功。
小学校の図工の教育にも木版画は脈々と受け継がれている。