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#小説
ピラミッドで眠りたい
砂漠でコンサートを開く夢を見て、その夢は別に叶えたいとか思っていなかったのに、毎週おなじ日におなじ夢ばかり見させられるものだから、ああこれは実行しないと死ぬまで続くなと悟った俺は、アコースティックギターを1本担いで旅に出た。
観客なんてひとりもいなくて構わない。ともかく砂漠で歌っておけば夢は叶う。
叶ったことにする。
現地のガイドは日本人慣れしていて、どこから仕入れたのか最新の芸能ネ
ノートに魔法陣を落書きしてたらなんか召喚できた話
ノートへの落書きというのは誰でもやったことがあると思うし、落書きをしないノートというのはノートとしての役割を果たしていないとさえいえるんじゃないか、とマサコは主張するのだけど、それはさておいて落書き遊びに熱中する私たち二人は、学内では飽き足らずに自宅でも落書きを続け、今はオリジナルの魔法陣を描くのがブームなのだった。
マサコの魔法陣は緻密で正確で、でもなにを表しているのかはまったくわからない
ハイファイ・ゴースト(2/2)
物心つくまえから、幽霊は身近な存在だった。
生きるために必要な栄養として、なくてはならない存在。
乳幼児のときにどうしていたのかといえば、口移しで与えられていたというのだから徹底している。
本当になくてはならないのか、絶食ならぬ絶吸を試してみたこともある。けれど結果は歴然としていた。体重はみるみる減っていくし、体力も落ちていく。
つまり私の家系は人間じゃないのでは、などと父に問い
ハイファイ・ゴースト(1/2)
世間はクリスマスムード一色、と見せかけて中はどろどろに混じった廃液みたいなものかもしれないが、少なくとも表面的には真っ白なので安全性は保たれている、ように思える。
発覚していない不祥事のような、渾身の白さ。
おれがそんなふうに俯瞰というか腐感(という言葉は多分ないが今作った)して物事を見るようになったのは、友人の長谷川カズカという女のせいである。
こいつが見る世界を通しておれの世界は