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情報過多な時代の処方箋:ロルフ・ドベリ著『News Diet』のススメ
インターネットの普及により、私たちはかつてないほど大量の情報に日々触れています。
スマートフォンやパソコンを開けば、ニュースサイトやソーシャルメディアから絶え間なく情報が流れ込んできます。
かつては新聞やテレビが主な情報源でしたが、 現代では多種多様なメディアを通じて、膨大な量のニュースや情報が瞬時に世界中を駆け巡ります。
しかし、人間の脳が処理できる情報量には限界があります。
処理能力を超えた情報洪水に飲み込まれ、私たちは集中力を失い、ストレスを感じ、重要な情報を見失ってしまう可能性さえあります。
まるで砂糖が体に及ぼす影響のように、ニュースは私たちの精神に悪影響を及ぼす可能性があります。
そこで注目されているのが、ロルフ・ドベリ著『News Diet』で提唱されている「ニュースダイエット」です。
これは、文字通り「ニュース」を食事のように捉え、その摂取量をコントロールすることで、情報過多による悪影響から身を守り、より質の高い生活を送ることを目指す考え方です。
私自身、めちゃくちゃ効果があったので、今日は徹底的に解説し、皆さんに紹介して、今日この記事を読んだ人全員にこの本を買って読んでもらいます。笑
『News Diet』とは? ― 情報の海から真の知識へ
『News Diet』は、2021年にサンマーク出版から刊行された書籍です。割と最近の書物。
原著はドイツ語で、世界11カ国で翻訳出版されているベストセラーです。
冒頭には、著者から日本の読者に向けた特別なメッセージも収録されています。
著者のロルフ・ドベリ氏は、スイス生まれの作家・実業家です。
ザンクトガレン大学を卒業後、スイス航空の子会社でCFOやCEOを歴任し、その後ビジネス書籍の要約を提供するオンライン・ライブラリー「getAbstract」を設立しました。
35歳から執筆活動を始め、ドイツやスイスの主要紙にコラムを寄稿するなど、多方面で活躍しています。
本書では、ドベリ氏が自ら実践した「ニュースダイエット」の経験を基に、ニュースの弊害と、ニュースを断つことによるメリットが解説されています。
ドベリ氏自身、かつてはニュース中毒と言えるほど大量のニュースを消費していましたが、ある時、ニュースを読むことが本当に自分のためになっているのか疑問を抱き始めます。
具体的には、「ニュースのおかげで、私は世界をもっとよく理解できるようになっただろうか?良い決断ができるようになっただろうか?」と自問自答したのです。
そして、その答えが「ノー」であると気づいたドベリ氏は、ニュースと距離を置くために、1日にニュースサイトへアクセスする回数を制限したり、読む新聞の数を減らしたりしようと試みました。
しかし、関連するリンクをクリックするのを我慢できずに、うまく距離を取ることができませんでした。
そこで一念発起し、ニュースを完全に断つという「ニュースダイエット」に挑戦した結果、多くのポジティブな変化を実感したといいます。
ニュースダイエットのメリット
これ、実際のダイエット以上に効果があります。精神面のダイエットみたいなもんです。
集中力と生産性の向上
集中力を妨げる要因が減ることで、仕事や勉強、趣味などに集中しやすくなり、生産性が向上する可能性があります。
例えば、気が散るものが少なくなることで、1つのタスクに集中して取り組むことができ、より短時間で質の高い成果物を生み出せるようになる
ストレスの軽減
ネガティブな情報から解放されることで、精神的なストレスが軽減され、心穏やかに過ごせるようになる可能性があります。
例えば、毎日悲惨な事件や事故のニュースを目にしないことで、不安や恐怖を感じることが減り、心にゆとりが生まれるでしょう。
道路が陥没したけれど、現実世界で冷静に見れば、その周囲50メートルくらいの人にしか影響はありません。
飛行機が世界の反対側で墜落したことにストレスを抱えたところであなたに何のメリットがあるのでしょうか?
時間的余裕の確保
ニュースを見る時間を他のことに使えるようになり、自由な時間が増えることで、より充実した生活を送れる。
例えば、家族や友人と過ごす時間、趣味を楽しむ時間、自己啓発に励む時間など、自分にとって本当に大切なことに時間を使えるようになる。
真の知識の習得
ニュースではなく、深く掘り下げた情報源に触れることで、より質の高い知識を身につけることができます。
例えば、専門書や学術論文を読むことで、特定の分野について深く理解することができます。
主体的な行動
自分のコントロールできる範囲に意識を集中することで、積極的に行動を起こし、より良い未来を創造できる可能性があります。
例えば、地域社会の問題に関心を持ち、ボランティア活動に参加するなど、自分の行動で社会に貢献できるようになるでしょう。
ニュースが私たちにもたらす悪影響
『News Diet』では、ニュースが私たちの精神や行動に及ぼす様々な悪影響が指摘されています。
集中力と理解力の低下
これが一番恐ろしかった。ニュースばかり見ていると、短文のものや短いものしか頭に入ってこなくなり、5分も読書ができなくなる。
一見簡単に情報が得られるニュースは断片的な情報が多いため、深く理解することが難しく、かえって集中力を阻害する可能性があるという。
自信過剰
情報量が多いほど、人は自分が世界を理解しているという錯覚に陥りやすく、根拠のない自信過剰に繋がることがあります。
オレゴン大学のポール・スロヴィック心理学教授による「競馬予想の実験」では、被験者に馬の情報を提供し、どの馬が勝つかを予想させました。
その結果、情報量が多いほど、被験者の自信度は高まりましたが、予想の的中率は上がりませんでした。
つまり、ニュースを多く見聞きしても、必ずしも世界を正しく理解できるとは限らないのです。
意思決定の質の低下
ニュースに含まれる情報は、往々にして感情的な反応を引き起こしやすく、冷静な判断を鈍らせる可能性があります。
時間とエネルギーの浪費
無駄なニュースに時間を奪われることで、本当に重要なことに使える時間が減ってしまいます。 これはSNSもそうですね。
受動的な姿勢
自分でコントロールできない事柄に関するニュースばかり見ていると、無力感を覚え、行動意欲が低下する可能性があります。
脳の疲労
過剰な情報消費は、脳に大きな負担をかけます。
特に、意思決定や感情のコントロールを司る前頭前野と呼ばれる部位が疲弊し、その機能が低下する可能性があります。
「小さな独裁者」
私たちの脳内には、「小さな独裁者」とも呼べるメカニズムが存在し、新しい情報、特にネガティブな情報に強く反応するようにできています。
これは、かつて人類が生き残るために必要な機能でしたが、現代社会では過剰な情報に晒されることで、このメカニズムが過剰に働き、ストレスや不安を増幅させてしまう可能性があります。
ニュースダイエットの実践方法
『News Diet』では、ニュースダイエットを効果的に実践するための具体的な方法も紹介されています。
段階的な制限
いきなり全てのニュースを断つのではなく、まずはニュースを見る時間や回数を徐々に減らしていく方法が推奨されています。
30日間のニュース断ち
本書では、30日間完全にニュースを断つことを推奨しています。
この期間を通して、ニュースがなくても生活に支障がないことを実感し、ニュースへの依存から脱却することができます。
代替手段の活用
ニュースの代わりに、読書や人とのコミュニケーションなど、より有益な情報源に目を向けることが重要です。
情報源の選択
ニュースを見る場合でも、信頼できる情報源を選び、偏った情報に惑わされないように注意する必要があります。
「能力の輪」
ウォーレン・バフェット氏が提唱する「能力の輪」の概念を意識し、自分が影響を与えられる範囲に集中することが重要です。
自分の「能力の輪」の外にあるニュースにばかり気を取られていると、無力感を感じ、行動意欲を失ってしまう可能性があります。
「能力の輪」の概念と、主体的な行動の重要性を結びつけると、ニュースダイエットは、単に情報摂取量を減らすだけでなく、自分にとって本当に重要な情報を選択し、行動につなげるための方法と言えるでしょう。
ニュースを断つことのデメリットと対処法
ニュースダイエットには、多くのメリットがある一方で、ニュースを完全に断つことへの抵抗感や、社会との繋がりを失ってしまうのではないかという懸念の声も存在します。
確かに、重要な情報を得るためには、ある程度のニュースに触れることは必要です。
また、社会の一員として、世の中で起こっていることを知ることは重要であり、ニュースはそれを知るための有効な手段の一つであることも事実です。
しかし、『News Diet』では、ニュースの多くは自分とは関係のない、コントロールできない事柄に関するものであると指摘しています。
このようなニュースに時間を割くよりも、自分の仕事や家族、趣味など、自分にとって本当に重要なことに集中する方が、より充実した人生を送れるのではないでしょうか。
また、ニュースを断つことで、社会との繋がりを感じにくくなるという懸念に対しては、ニュース以外の方法で社会と繋がることを意識すれば良いでしょう。
例えば、地域活動に参加したり、友人や家族と社会問題について話し合ったりすることで、社会との繋がりを維持することができます。
結論:情報との付き合い方を見直し、より豊かな人生を
『News Diet』は、情報過多の現代社会において、私たちが情報とどのように付き合っていくべきかを改めて考えさせてくれる一冊です。
ニュースダイエットは、単にニュースを断つことではなく、情報との付き合い方を見直し、より主体的に情報を選択することで、より豊かな人生を送るための方法と言えます。
この本では、多くの事例や研究結果、そしてドベリ氏自身の経験が紹介されています。
情報に振り回されるのではなく、情報を活用することで、より充実した日々を送るために、『News Diet』をぜひ手に取ってみてください。
情報過多の現代において、自分にとって本当に必要な情報を選び、取るべき行動に集中することで、私たちはより穏やかで、より充実した人生を送ることができます。
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