【短編】12月24日・異聞 #パルプアドベントカレンダー2019
「お前、俺が誰なのか知っていてやったのか?」
老人は青年の首をつかんで、古ぼけたアパートの部屋の壁に押しつけながらそう凄んだ。
いつの間にやら祝日でなくなっていた12月23日の翌日、24日の夜。
老人は青年の顔を見て、こいつは今の時期、幸福な時間を過ごすタイプではないな、と考えた。
年の頃は30前後。ひょろりとして細身の体。とりあえず邪魔くさくならぬ程度に短く切られた髪に、野暮ったい眼鏡をかけている。その奥の瞳は泥水みたいに濁っていた。
「当たり前だろ。何も知らない