ドント

おもに小説が並んでおります。著作権フリーの怖い話「禍話」リライトから、奇ッ怪な作品、謎の雑文までいろいろある雑貨屋です。タメにはならないよ! ☆ブログに書いていた「禍話」リライトシリーズはこちらに移転しました。

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マガジン

  • 拙著・禍話リライトまとめ 51~ +α

    無料&著作権フリーの怖い話ツイキャス「禍話」から、私がリライトしたものをガーッと総まとめにしたマガジン。前の50話+αはこちら↓↓↓ https://note.com/dontbetruenote/m/mb0ae1767b460

  • 逆噴射小説関連

    「ニンジャスレイヤー」で有名な創作翻訳チーム、ダイハードテイルズが営む賞や小説講座にまつわる記事をぶっこんだマガジン。ほぼ自分用。

  • 謎の文字列 ~雑~

    小説ではないものの置き場です。

  • 短編集 ~温~

    単発小説とかそういうのの置き場です。あたたかみのあるお話(作者による主観)が置いてあります。

  • 拙著・禍話リライトまとめ 1~50 +α

    無料&著作権フリーの怖い話ツイキャス「禍話」から、私がリライトしたものをガーッと総まとめにしたマガジン。50話+番外編7話収録。51話からは、こちら↓↓↓↓ https://note.com/dontbetruenote/m/mdfe74858d008

最近の記事

【怖い話】 いた、いなかった 【「禍話」リライト115】

 飲酒運転はよくない。  法律違反だし、酔っての運転は注意力や判断力が落ちて大変に危険である。  そして判断力が落ちると──こういう怖い目に遭ったりする。  平成の前半、それも一桁台の頃の話である。  Aさんは友達ふたりを加えた3人で酒を飲んで、車を運転して帰っていた。  ハンドルを握るのはAさん。俺はそんなに飲んでいないので大丈夫だろう、とタカをくくっていた。  が、車内は酔いのせいでやけに盛り上がる。  いつもは言わないような下ネタやダジャレがどんどん口をついて出てくる

    • 【怖い話】 うしろをよぎる 【「禍話」リライト掌編⑪】

       投稿者が信用を失くす可能性があるため、詳細は伏せる。  ユニットバスのある部屋に住んでいる。  そこにある鏡を見るのがイヤなのだそうだ。 「誰かがね、よぎるんですよ。後ろを」  住みはじめた頃、閉めたままだとちょっと怖いので、ドアを開けたままにして用を足していた。  手を洗う時に鏡が目に入る。  鏡の中には自分がいて、開いたドアがあり、その向こうに台所が広がっている。  そこを、人がよぎる。 「男か女かわからないんですが──」  すぅ、と通っていなくなる。  部屋

      • 【怖い話】 ガリバーすべり台 【「禍話」リライト114】

         退屈だからと言って窓から外を見ると、妙なモノを見てしまうかもしれない。  Aさんが小学校時代の話である。  理科の授業がものすごく退屈だったそうだ。  先生は理科という教科にあまり興味がないらしく、教科書をボソボソと読み上げる。  そのくせ騒いだりすれば、他の授業と同じように「ハイそこ、静かにね」と注意される。  とにかく面白くない。  その日は特にダメだった。  実験をやるでもなく、ノートに書くような重要事項もなく、教科書や参考書に興味を引かれる部分もない。  先生

        • 砂脈

           あの日のことはよく憶えている。  平成から令和になった年の師走、私は14歳だった。  学校からアパートに帰ってきた私の鼻を、シチューの匂いがくすぐった。母が台所で鍋をかき混ぜている。 「おかえり紗智。あのね、買い忘れたものがあって……」  鍋を見てて、と母は言う。  私は外出の用もなく、読みかけの漫画もあったから承知した。  火を弱めてから食卓の椅子に座り、漫画を読む。時折ガス台へ行き、焦げないように混ぜる。つまみ食いもした。人参はまだ硬かったが、母のシチューはコクのある

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          3本

        記事

          七日間の炎の華

          「シャリャ。あなたの名はこの地では、こう書く」  ハナさんは俺の母星語で拙く言いながら、砂浜を指でなぞった。  火、という文字が書かれた。 「ヒ、と読む」 「ヒ」俺は繰り返した。 「そう。それで、ヒがあのように、大きくなるでしょ?」  浜に置かれたドラム缶の中で木材が燃えていて、十数人の同胞たちが手をかざしている。火が高く立っている。 「それは、こう書く」  シマさんは火の上に、もうひとつ火を書く。 「ホノオ、だ」 「ホノオ」  ここの字は簡単だ、と俺が言うとハナさんは苦笑し

          七日間の炎の華

          【怖い話】 赤いランドセル 【「禍話」リライト 掌編⑩】

           本当によくない話だと、話す前から「ヤバい」とわかるらしい。  そんな短いお話。  仲間内で世間話をしていて、怖い体験を語る流れになった。  金縛りとか、変な人に付きまとわれたとか、そういう話が続く。  ある女性が「あ、そういえば」と声を上げた。 「ちょうど昨日の夜なんだけどさ、なんかスッゴい怖い夢見ちゃって」  顔をしかめながら言う。よほど怖かったらしい。  どんな夢だったの、と聞くと、 「あのね……赤いランドセルを背負った女の子に、ずうっと追いかけられる夢なんだ

          【怖い話】 赤いランドセル 【「禍話」リライト 掌編⑩】

          さて今年も始まりました。小説冒頭800字バトルロイヤル「逆噴射小説大賞」 多彩で愉快なお祭りですので、皆様ぜひご参加ください。たぶん私も出ます。 https://diehardtales.com/n/ne51782e7e58a

          さて今年も始まりました。小説冒頭800字バトルロイヤル「逆噴射小説大賞」 多彩で愉快なお祭りですので、皆様ぜひご参加ください。たぶん私も出ます。 https://diehardtales.com/n/ne51782e7e58a

          【怖い話】 あれ見える? 【「禍話」リライト 掌編⑨】

           とても不確かな話なので、変なウワサだと思ってお読みいただければ幸いである。  Cさんの住んでいた集合住宅、その隣の地区での話。  不審者が出るとの情報が出回った。  中年の男で、夕方頃に出没して、子どもに声をかけてくる。  声をかける相手は男女を問わない。対象は小学校低学年くらいまでらしい。  暴力的な言葉で脅したり、ワイセツなことを呟くわけではなかった。  服装も顔つきもごく普通であるという。  では、どんな風に不審なのかと言うと──  公園や道端で遊んでいると、

          【怖い話】 あれ見える? 【「禍話」リライト 掌編⑨】

          【怖い話】 名前を言うな 【「禍話」リライト113】

           この話に出てくる名前は、すべて仮名である。  杉井さんのいた小学校では昔、こっくりさんが原因で大きな騒動が起きたという。  昭和40年代の出来事で、詳細は伝わっていない。  だが救急車やパトカーが来たくらい大変な出来事だったのは事実らしい。 「そういうことがあったら普通、校則とかで禁止になるんでしょうけど──いや、禁止されてたのかもなぁ。私が知らなかっただけで」  いずれにせよ、ブームが去って誰もやらなくなれば、記憶も風化していく。教師がいちいち注意することもなくなる

          【怖い話】 名前を言うな 【「禍話」リライト113】

          【怖い話】 あさって 【「禍話」リライト 掌編⑧】

           高校で、「こっくりさんのようなもの」が流行っていたそうだ。 「こっくりさんのようなもの」は、やたらと難しい漢字と読みだったので、正式な名称は覚えていないという。  ある日やってみたら、スムーズに十円玉が動いた。  おっ、来た来た──と思って、みんなで尋ねた。 「えっ、えーっと。明日は晴れますか?」 「天気聞いてどうすんだよ。あの、明日の数学のテスト、教科書の何ページが出ますか?」 「来週、隣の市の高校とバスケの試合があるんです。けっこう強い相手なんですが、秘策とかないで

          【怖い話】 あさって 【「禍話」リライト 掌編⑧】

          【怖い話】 法事怪人 【「禍話」リライト 掌編⑦】

           祖母の法事の日の出来事だという。  仏間での読経は滞りなく終わり、親類知人一同は座敷へと移動した。  ユタカさんは思うところあって、仏間に残っていた。  ひとりきりで畳に座り、仏壇を眺める。  遺影や位牌を見つめながら、在りし日の祖母のことを思い出していた。  ふっ、と視線を感じたので、目をやった。  仏間には、庭に通じる大きな窓がある。  その窓の外に男がぬっと立って、室内を覗きこんでいた。 「えっ……」とユタカさんは驚いた。  誰? この人。  祖母の知人にしては

          【怖い話】 法事怪人 【「禍話」リライト 掌編⑦】

          【怖い話】 いんちょうの話 【「禍話」リライト112】

          「うまく選んだつもりだったんです」  と新条さんは語る。  大学一年生の時の体験だという。 「入学してすぐ、いい感じのサークルはないもんか、と探してたんですよね」  新条さんが探していたのは、 「文化系で、最低限レベルのサークル活動はしているけれど、実質は飲みサー」  そういうものだったらしい。  見つけたのが、【○○大 経済研究部】なる名称のサークルだった。  お堅い名称に反して、ゆるさが全面に出た勧誘のチラシを配っていた。  毎年一度は小冊子を出している、と書いてあっ

          【怖い話】 いんちょうの話 【「禍話」リライト112】

          【怖い話】 五回家族 【「禍話」リライト111】

           昔は変な習慣があったよねぇ、という話題になった。  田舎の村の話ではなく、小学校の話である。 「冬でも上着を着て授業を受けちゃダメ、とかさ。寒さに立ち向かえる強い体を作る、つって。ムチャだよな」 「部活の時は水を飲ませないとか。バテるからって理由だっけ? よくわかんないよねぇ」 「よくわかんないと言えばさぁ、給食のゼリーとかパンなんかを、その日に休んだ人の家に届けてたよな」 「あ~やってたやってた」 「あったねぇ、そういうの」 「パンを透明のビニール袋に入れてさ、配ったプ

          【怖い話】 五回家族 【「禍話」リライト111】

          【怖い話】 待っていた女 【「禍話」リライト110.5】

          「怖い話を聞いた話、でもいいですか?」  小野さんはそう切り出した。  直後に、「いや、違うかな──」と言い淀む。 「怖い話を聞いて、怖い目に遭った人の話なんです。正確に言うと」  ややこしくてすいません、と彼女は言う。  それは「聞くと祟る」的な話ですか? と尋ねてみると、 「いいえ、そうじゃない──はずです」  小野さんは小首を傾げる。 「私はなんともないので、大丈夫だと思います。たぶん」  小野さんがいくぶん不安げに語りはじめたのは、こういう話だった。  竹

          【怖い話】 待っていた女 【「禍話」リライト110.5】

          【読書】2023年に読んで面白かった本・9冊くらい

           タイトルの通りです。もう2024年の6月ですが、まぁそのあたりは、お許しください。  なお文章メインの本だけです。あといわゆるホラー作品は別腹なので、ここにはないです。 1.『秘曲・笑傲江湖』1~7巻/金庸  2023年の正月休みを潰して読み倒したのがこちら。中国武侠小説の王様、金庸の代表作であります。 「中国の小説……なんか……難しい感じなんでしょ……」と思ったら大間違いである。逆です。スーパー娯楽小説ですよ。そしてムチャクチャですよ。  荷を守りながら運ぶ武装運送

          【読書】2023年に読んで面白かった本・9冊くらい

          【怖い話】 寒い家 【「禍話」リライト110】

           その建物は、今はもうない。 「ドライブインみたいな、道の駅みたいな……。それにしては広いし小部屋も多いし、宿泊施設……? とにかく、妙な廃墟でしたねぇ」  鳥山さんはそう振り返る。 「妙な廃墟」には、怖いウワサがあった。  女の子が走り回る、という。  廃墟の中にいると、ぱたぱたぱた……と動くものがある。ハッと目をやると、女の子が駆けて行く。  真っ白い服を着ているので、月明かりしかない夜目にもくっきりと見えるらしい。  ただし、そこで人が事故死したとか、殺人事件が

          【怖い話】 寒い家 【「禍話」リライト110】