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俳優 福山雅治唯一の当たり役だけど…『沈黙のパレード』

 ”ましゃ”とは長い付き合いである。『あしたがあるから』というドラマが初見でその後に彼が歌う「Good night」はよくカラオケで歌った。そして時代の寵児になっていく過程でいろいろ思うことはあったが、彼から発信される俗に言う”エンタメ”を享受させてもらってきた。  ただ彼の”演技”は歌になれば抜群の武器になる低音ヴォイスが聞き取り難く足を引っ張っていたと思う。  そこで始まった「ガリレオ」というドラマも心配していたが主人公の湯川になり切り思いっきり文系の僕には全く分からない

    • つらい、それでも彼女は…『あんのこと』

       今作は朝日新聞に載った記事にインスパイアされたとのこと。  子供のころから毒親の母から虐待を受け売春を強要されドラッグ中毒でもある河合優実演じる主人公がオーヴァードーズ事件をきっかけに佐藤二朗演じる人情派の刑事、稲垣メンバー演じる雑誌記者と交流するところから始まる。刑事や記者は毒親から彼女を引き離すために生活保護申請を助け、仕事先を世話したりして彼女の更生を手助けする。すべてがうまく回り始めた矢先、コロナ禍が始まり…  脚本も兼ねる入江悠監督は決して悲劇を映すだけでなく彼女

      • う~ん、こんなんじゃもう勃たないよ...『ガンパウダー・ミルクシェイク』

         ぼくたちが大好きなドンパチ映画。そこに新たなる刺客が…って紹介したいナヴォット・パプシャド監督が脚本も兼ねる本作だが、う~ん、ちょっともう飽きちゃったかもしれない…  タランティーノに見出されたらしいのだが、タランティーノみたいないい意味での外連味は感じられないしアクションも別に特筆するようなものもなかったし設定も昨今の「ジョン・ウィック」的というか何というかありきたりで監督本人がタランティーノ・ワナビィーなのはわかるけどやっぱ師匠は中々越えられないよね…って感じ。  主役

        • 「エクソシスト」に対する東アジアからの答えがこれだ!『哭声/コクソン』

           韓国映画が隆盛を迎え何本か拝見したがぼくが一番ハマった作品である「チェイサー」の監督であるナ・ホンジンが脚本も務める本作、まず一言申し上げるのは本当に素晴らしいエンターテインメント作であるということです。冒頭の田舎警官のクァク・ドウォン一家の微笑ましい様子から始まり、だんだんと恐ろしい事件のあらましがわかっていきます。ただの幻覚植物による錯乱による殺人だと思われていた事件がひたひたとクァク・ドウォンに近づいていく流れがとても素晴らしく観客もこの地獄に引きずり込まれていきます

        俳優 福山雅治唯一の当たり役だけど…『沈黙のパレード』

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          シンプルなラブストーリーじゃないですか!『花束みたいな恋をした』

           公開当時、劇中に出てくるポップカルチャーの羅列がウザいとかいう話を聞いていたが、それがノイズになるようなこともなくシンプルな若い衆のラブストーリーじゃないですか。敬愛する坂元裕二を疑ったりしてすいません!!大学生の二人の出会いから別れまでを描いている今作だが、noteを読んでるようなぼくたちが恋愛をしている時ってたぶんこんな感じですよね!出会いこそたまたま終電を逃してなんとなく一緒に朝まで過ごすというなかなか無さそうな始まりですが、付き合ってる二人の会話って結構あんな感じだ

          シンプルなラブストーリーじゃないですか!『花束みたいな恋をした』

          独裁とは大小問わずこんなものなのだ『スターリンの葬送狂騒曲』

           スターリン死去後のソ連政府内の権力争いを描くイギリス・フランス製作のブラックコメディ映画。  スターリンを囲んでの内輪の宴会から不穏な空気が流れている。今作の主役である二人、NKVDのベリヤと後の最高指導者であるフルシチョフもスターリンに調子を合わせながら彼の挙動に注目し取り繕っている。スターリンの”一声”で誰もが殺されるからだ。そして宴会終了後の翌朝、スターリンが危篤状態になったことから党幹部たちの権力争いが始まる。この幹部たちが揃いも揃って己の立場を守りつつ他の幹部を出

          独裁とは大小問わずこんなものなのだ『スターリンの葬送狂騒曲』

          チョット能天気、だけど…『グリーン・カード』

           本作は第48回ゴールデングローブ賞の作品賞、主演男優賞を獲得したラブコメ映画です。  NYの温室付アパートに住みたい園芸家アンディ・マクダウェルとアメリカの外国人永住権(グリーン・カード)が欲しいジェラール・ドパルデュー(フランスの税金が高いからロシア人になったで有名)の二人がお互いの利害が一致して偽装結婚することから始まります。しかしその後入国管理局が偽装結婚調査のため彼女を訪ねひと月後に改めて審査すると宣告します。秘密がばれるとヤバい二人は仕方なくお互いを知るため同居す

          チョット能天気、だけど…『グリーン・カード』

          これが中国のプロパガンダ映画だ!!『ウルフ・オブ・ウォー ネイビー・シールズ傭兵部隊 vs PLA特殊部隊』

           本邦は一応G7に属し米国と同盟を結ぶ国である(是非はともかく)。だから当然アメリカ万歳映画を中心に”我々”がいつも”正しい”側の映画はたくさん観てきた。(トップガンとかネイビーシールズとか古いとこではグリーンベレーとか…)しかし相対する国も当然国威発揚のため同じテイストの映画を作っているのは至極当然である。だがそういった映画は中々我々は観ることが少ないのだが今作の評判は耳に入っていたので今回初めて観てみました。「SPL/狼よ静かに死ね」の”宇宙最強”ドニー・イェンとの路地裏

          これが中国のプロパガンダ映画だ!!『ウルフ・オブ・ウォー ネイビー・シールズ傭兵部隊 vs PLA特殊部隊』

          すべての男よ懺悔しな!!『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』

           #MeToo運動が世界へ広がる大きなきっかけのひとつとなった、ニューヨーク・タイムズ紙による2017年の性暴力報道を描く。  映画好きならみんな知ってた大物映画プロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインが自分の権力を匂わせて(あるいは行使して)、女優たちは勿論のことあらゆる映画関係者まで様々な性加害を行ったことを告発した二人のNYタイムズの記者の告発記事掲載は結果的に奴を監獄に送り込んだ。一連の報道は世界に轟きその後の女性たちの行動はあらゆるハラスメントを糾弾する流れを

          すべての男よ懺悔しな!!『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』

          最強の男が帰ってきた!!『イコライザー2』

          ”あの男”が帰ってきた。ボストンでロシアンマフィアを殲滅させたロバート・マッコールは現在配車サービスLyftの運転手として生計を立てていた。DIA時代の同僚が殺されたことがわかり調査を開始すると…  元々「ザ・シークレット・ハンター」というTVドラマが原作のこのシリーズ。元海兵隊員でDIAの特殊工作員であったロバート・マッコールが市井の善良な人々や弱者を助けるために己の持つ特殊技術を活用して悪を糾す正義の使者を演じる勧善懲悪もので腕時計で戦闘終了時間を計測するという設定が面白

          最強の男が帰ってきた!!『イコライザー2』

          こんなわかりやすい馬鹿映画って❛80年代かよ!『ベイウォッチ』

           今作はシーズン11まで製作されたTVドラマの続編?的な映画。サンタモニカの海難救助に命を懸けるベイウォッチ(水難監視救助隊)のライフガード(救命隊員)たちの活躍を描いた馬鹿アクション物。昔アメリカの広い海岸と金髪美女とサーフィン等のマリンスポーツに憧れたおっさん向けのビールとポテチを手にソファで観る作品です(今や懐かしのカウチポテト)。物語は年一回のライフガード入隊テストに競泳のゴールドメダリストでありながら個人主義で団体メドレーの試合中飲み過ぎでゲロ吐きながら泳いだ札付き

          こんなわかりやすい馬鹿映画って❛80年代かよ!『ベイウォッチ』

          友情?愛情?共依存?『スケアクロウ』

           船を降りたばかりの船乗りと出所したばかりの男がヒッチハイクを通じてコンビを組むこととなりピッツバーグを目指すロードムービー。飄々としながらもどこか影を感じさせる船乗りライオンをアル・パチーノが喧嘩っ早い変わり者マックスをジーン・ハックマンが演じる。この作品はほぼ二人の掛け合いが見どころで出会ったときはウザ絡みしてくるライオンをずっと無視し続けていたマックスが根負けして話すようになりその後洗車業の相棒として認めていく様と、ライオンが子供のプレゼントを渡そうとして妻に電話して段

          友情?愛情?共依存?『スケアクロウ』

          この赤ちゃんはどうしたら幸せになれるんだろう 『ベイビー・ブローカー』

           僕自身はいろいろなことがあって現在も独身で当然子供はいない。しかし子供は大好きで大人は彼ら彼女らの為に明るい未来を用意することが当然の責務だと思っている。しかし世の中にはいろいろな事情があって産んだ赤ちゃんを育てられない親(女性が多い)がいる。それならばと社会が生み出したものが”赤ちゃんポスト”という暫定的な解決策である。  今作は韓国の教会に設置された赤ちゃんポストに子供を預けようとした母親のシークエンスから始まる。この時の彼女の気持ちは如何なるものだったのだろう…物語は

          この赤ちゃんはどうしたら幸せになれるんだろう 『ベイビー・ブローカー』

          ”家族”って何なの? 『万引き家族』

           第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞、現在日本を代表する映画作家である是枝裕和が監督・原案・脚本・編集と渾身の力を込めた作品です。舞台は東京の下町、リリー・フランキー扮する”夫”と今をときめく安藤サクラ扮する”妻”、晩年は名バイプレイヤーだった樹木希林扮する”夫の母親”、残念ながら最近長く付き合っていたジャニタレと結婚してしまった”妻の妹”松岡茉優、子供なのに撮影当時からの男前ぶりが凄い”夫婦の息子”城桧吏という一見どこにでもありそうな家族の物語です。しかし夫と息子

          ”家族”って何なの? 『万引き家族』

          ぼくたちはいつから走らなくなったのだろう...『ルックバック』

           「チェンソーマン」で知られる天才藤本タツキによる読み切りマンガをアニメ映画化。主人公藤野をクドカン脚本のドラマ「不適切にもほどがある!」で若手トップに躍り出て今や飛ぶ鳥を落とす勢いの河合優実、もう一人の主人公京本を吉田美月喜が声を当てている。  原作は発表当時Twitterのタイムラインで拡散されていたのですぐ読んで非常に感嘆したのを覚えている。僕は「週刊少年ジャンプ」の作品群に対し”ジャンプ臭い”からあまり好きでない旨を公言しているので現在皆が飛びついている”ワン〇ース”

          ぼくたちはいつから走らなくなったのだろう...『ルックバック』

          野郎同士はやっぱり殴ってなんぼ!  ということを『犯罪都市』から学ぶ

           みんな大好き”マブリー”ことマ・ドンソク主演の韓国ノワールコメディ。2004年に実際に起きた韓国ヤクザと朝鮮族ヤクザの抗争を解決すべく持ち前の人柄と腕力でマブリーが立ち向かうという物語だが「いんだよ、細けえ事は」と言いたいぐらいマブリーがその剛腕を振るえばすべて解決!とばかりに淡々と進んでいくのが痛快です。本来の韓国ノワールならもっと陰惨な状況を畳みかけてくるのが常套ですが、今作はマブリー主演ですのでどうしても彼のキャラクターと強力なフックでみんなやられてしまいますのでぶっ

          野郎同士はやっぱり殴ってなんぼ!  ということを『犯罪都市』から学ぶ