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友情?愛情?共依存?『スケアクロウ』

 船を降りたばかりの船乗りと出所したばかりの男がヒッチハイクを通じてコンビを組むこととなりピッツバーグを目指すロードムービー。飄々としながらもどこか影を感じさせる船乗りライオンをアル・パチーノが喧嘩っ早い変わり者マックスをジーン・ハックマンが演じる。この作品はほぼ二人の掛け合いが見どころで出会ったときはウザ絡みしてくるライオンをずっと無視し続けていたマックスが根負けして話すようになりその後洗車業の相棒として認めていく様と、ライオンが子供のプレゼントを渡そうとして妻に電話して段々とおかしくなっていく様とが二人の依存度の逆転を表していて関係性の主従というか友情というか愛情というか中々言葉に出来ない関係の変化が観る者にいろいろ想像させて面白い。第26回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを獲った演技合戦を是非観て欲しい。1973年当時はおそらく友情物語というカテゴリーがされていただろうが、マックスが喧嘩して二人で刑務農場に収容されて使役されるシークエンスで農場の顔役にライオンがレイプされかけてマックスが激怒して顔役を殴り倒すことからもわかるように、二人の関係は”愛”といっていいだろう。元々精神に危うい兆候が随時見られたライオンが辿る結末とそのライオンの為にマックスが取る行動が二人の”愛”を感じられ心に残る作品に昇華される。




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