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この赤ちゃんはどうしたら幸せになれるんだろう 『ベイビー・ブローカー』

 僕自身はいろいろなことがあって現在も独身で当然子供はいない。しかし子供は大好きで大人は彼ら彼女らの為に明るい未来を用意することが当然の責務だと思っている。しかし世の中にはいろいろな事情があって産んだ赤ちゃんを育てられない親(女性が多い)がいる。それならばと社会が生み出したものが”赤ちゃんポスト”という暫定的な解決策である。
 今作は韓国の教会に設置された赤ちゃんポストに子供を預けようとした母親のシークエンスから始まる。この時の彼女の気持ちは如何なるものだったのだろう…物語はクリーニング店主の韓国俳優の代表ソン・ガンホとこの教会に勤める相棒のカン・ドンウォンが裏で行っている人身売買、その犯罪を追うペ・ドゥナと赤ちゃんの母親イ・ジウンを中心に進んでいく。物語が進むにつれ各人の過去や暗い事情が明らかになっていき単純に犯罪者たちと責めることが出来ない現代社会の”負”の部分を如実に感じ諦観にも似た気持ちを抱いてしまう。ひょんなことから赤ちゃんを売買するために旅をする”疑似家族”を演じる登場人物たちが束の間の幸せを感じている様がおかしくも切ない。このことは是枝監督の過去作「万引き家族」とも相通ずるし今までの家族形態への疑問の問いかけにも見える。
 今作は韓国映画にある感情むき出しで喚いたりするような演出は特になく、ただただ赤ちゃんを幸せにしたいという思いを皆から感じられて希望を持てる作品でした。


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