ぼくたちはいつから走らなくなったのだろう...『ルックバック』
「チェンソーマン」で知られる天才藤本タツキによる読み切りマンガをアニメ映画化。主人公藤野をクドカン脚本のドラマ「不適切にもほどがある!」で若手トップに躍り出て今や飛ぶ鳥を落とす勢いの河合優実、もう一人の主人公京本を吉田美月喜が声を当てている。
原作は発表当時Twitterのタイムラインで拡散されていたのですぐ読んで非常に感嘆したのを覚えている。僕は「週刊少年ジャンプ」の作品群に対し”ジャンプ臭い”からあまり好きでない旨を公言しているので現在皆が飛びついている”ワン〇ース”とか”〇滅の~”とか”〇術~”等をよほどのことが無い限り読むことはないだろう。しかし誰かに「チェンソーマンはお前好みではないか」と勧められいつか読んでみるかと思っていて、その後アニメ化されたのを観て非常に好きになったどころか毎週楽しみにしていたほど嵌まって仕舞った作品でした。(因みに現在週刊少年ジャンプの部数がどのくらいなのかは知らないが❛80年代の黄金期の頃は読んでいて中学ぐらいから当時のボンクラ男子の例に違わずHOUND DOGの名曲「15の好奇心」に憧れ”喧嘩”と”バイク”と”女”の講談社に鞍替えしていった)
今作で僕が好きなのがまずキャラ造型で荒い原作の造型を非常にうまく描写している点が素晴らしい。また彼女たちが暮らす街(山形?)をリアルに表現している点も本当に好きだ。3D表現が嫌いな僕にも非常に観やすい。
そしてやはり特筆すべきは主演二人のとても初めてとは思えない”声優”としての力量だろう!!小学生から20代まで独特の個性を持つ主人公達の癖のありそうな役柄を完璧に演じている!!今後は二人とも声優の仕事も増えそうである。
閑話休題、タイトルにも書いているように大人といわれる年齢になると必然が無い限り普通は走らない。しかし街中で子供たちを見かけると本当によく走っている!!なぜわざわざ苦しくなることもあるのに走っているのだろう?それは感情の吐露として走っているのだ!!今作でも藤野が京本に初めて会って褒められた後、彼女は感情が爆発して田んぼ道を走る!自信を喪失させられた当人から褒められたのだから本当に嬉しかったのだろう、そして改めて創作意欲が奔出し早く家に帰って以前のあの日々のように描いて描いて描きまくりたいのだ!!!
最早人生の後半をいろいろと日々悩みつつものほほんと生きている僕も、またあの頃のように取り敢えず走り出すことから始めてみようかな…