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柳流水
2024年5月7日 20:00
武蔵野 国木田独歩の『武蔵野』を読み進めている。 文語と口語が、地の文とセリフの使い分けも含めて、順列組み合わせ的に使われている。 地の文……文語、セリフ……文語 地の文……文語、セリフ……口語 地の文……口語、セリフ……口語 このような感じ。だが、今順列といったけれども、地の文が口語であるにもかかわらず、セリフが文語であるというのは、ちょっと考えにくいから、おそらくパターンはこの三
2024年4月30日 20:22
佐々木敦の『新しい小説のために』を、読み始めた。 以前に読んだと書いた、山本浩貴の『新たな距離』、かなりの部分この二人は同じ視点を持っているように見える、その前哨のような本だ。実際にこの中に引用されていて、書名は聞いていて気になったので図書館で借りてみた。 金井美恵子が、けっこう前に出した本で、『小説論』というのがある、という引用から始まる……。「新しい」とは何だろうか。新しいものが出てきた
2024年3月23日 20:00
読書 ほとんど柄谷行人の『日本近代文学の起源』、それに引き寄せられて国木田独歩『武蔵野』を読んでいる。 柄谷は、『武蔵野』の内容にほとんど触れずに、道具としての文章に注目している。あまり、そのような読み方はしてこなかった。しかも、その文章が内面をそのまま表現している、透明な道具としてあることが、小説としてのエポックな場面であるといったような主旨。今まで、透明なものに着目するということをしてこ
2024年3月15日 21:46
とある文芸雑誌の、とある新人賞受賞作を読んだけれども、自分にはまるでピンと来なかった。ホモセクシュアルな視線から始まること、美を大時代的に語ること、その他こまかい感触から、これは頭の芯まで三島由紀夫のコピーをしたいのだな、とそう感じるような小説だった。 なんだか現代の小説というものに絶望してしまった。 しかし、次の作品を読んで、こんな小説もあるのかと、希望が湧いてきた。 その新人賞は同時受
2024年2月14日 00:00
小説を書く書き方は、常に、今書かれているものから、それを読んで、次を書く、その繰り返しである、と、ある種の作家は言っている。 ChatGPTの根幹的な仕組みは、ある単語があり、その次に言語の集積から、いちばんもっともらしい単語をもってきて、さらにその次を予測する、という風になっているという。 ChatGPTは、おそらく、言語のあり方の、いちばん根本的な所を、いわばスティールしてきた、といって
2023年11月14日 11:09
また少し気が変わった。何かについて、このnoteに書きつける事を再開しようと思った。 前に書いたか忘れたが、ベケットの『マロウンは死ぬ』を読んでいる。 この題名は、現在形である。「死につつある」、つまり完了していない死、というのは時間のずれがあるが、それは矛盾ではない。その時間こそを表現している、もしかしたら、当時のベケットにはそういう意識もなかったか……いや、そんな事はないはずだ。
2023年8月31日 19:04
大江健三郎の『新しい人よ眼ざめよ』を、『自選短篇』からの抜粋という形で、読んだ。 新しい人、とは、単純に新しい世代の人、ということではない、らしい。 それは、最後の章で、息子のイーヨーと、おそらく対立するであろう若者の群と対比して語られることからわかる。 だが、それでも、おそらく、その新しい世代の人々に、これからを賭けるしか、われわれに出来ることはないのだろう。 あとは、死ぬまでのわずか
2023年5月8日 00:00
再び、小島信夫の拾遺のような文庫本、「小説作法」について。 保坂和志は意図してこのような、小説を書きたい人全般に目が付くような、少しさもしいような所もある題名を選んだのだろう。ここまで、勝手に保坂和志が編集しているか、かなり影響力をもってこの本の構成に関わっているのだろうと前提していたが、おそらく、いろいろな面から見て、間違いないように思う。題名もそうで、何も手元にない状態の編集者が、小島信
2023年5月3日 20:21
休みの日は、自転車を漕ぐなり、英文を読むなりしている。 昨日は、四十五キロ走って、さすがに疲れたので次の休みは走らないことにした。 英文は、ニュースを読んでみたり、ネット記事を読んでみたり、小説を読んでみたりしている。なかなか、一塊の文を読み切るというのが難しい。 少しでも専門的な内容になると、単語がほとんど理解できなくなる。調べて、覚えて、次に出てこなければ忘れてしまう。 驚くほど、何
2023年1月26日 00:00
このままではいかんと思い、最新の小説の状況について知るため、五大文芸誌「文藝」「群像」「文學界」「新潮」「すばる」の、借りられる最新刊を図書館で借り、読める小説を片っ端から読んでいる。 僕は受け付けない小説があまりに多いので、読み始めた最初の五、六作は諦めてしまった。 藤野可織と、小山田浩子の文章は、読むことが出来た。いや、今こういう文章を読むことが出来るのかと、息を吹き返したような思いであ
2023年1月2日 00:00
年末年始だからというわけではないが、キーボードの掃除をした。HHKBは、さすが掃除がしやすい。キーを嵌め込むシリンダーが、それ自体もキーであるかのような、丁寧なつくりをしている。こんなマニアックなこと言っても誰にも伝わらない。とにかく、ものを書くという願掛けのようなものもこもっているので、その気分を大事にしたいと思う。 いくつか呟きを残したが、最近、書いてどこかに発表するということにおいて、作
2022年12月29日 00:00
久しぶりに、近所の駅前にある銭湯に行った。普段はその中にある食堂で、軽く飯と酒を食って帰るという流れにしているが、その日はしなかった。その日、といっても、書いている時点から言えば、今日である。最近、この日記を予約投稿で書き溜めている。公開時点では、過去になっているはずだ。むろん、自分以外でそれが関わってくる人はいないだろう。なので読んでいる時点からすると、その日ということになる。起こったことは同
2022年6月27日 16:33
今、色々な顔を使い分けている。他のネットでも活動していて、公私の使い分けとか、数えれば五個くらい顔があるのか。 もともと、人って、場所の数だけ顔があり、使い分けている生き物だったのだと思う。儀式があり、近所の人と、親と子でも見せる顔は違うだろうし、何よりシチュエーションというより場所だ。場所を変えると、人は顔が変わるものなのではなかったのか。 お面が、クルッと変わって、笑い顔が憤怒の顔に変わ
2022年6月24日 23:10
なんとか生きている。 玄関と窓からたえず虫が入ろうとする嫌な季節になってきた。 継続することをたくさん増やすと日々が大変になる。なんで日課をそんなにたくさんこなせると踏んだのか。 書いた小説を評してくれる人が現れた。 かなり好意的に書いてもらって、申し訳ないくらいだった。