さん

私の心情のままに綴ります。

さん

私の心情のままに綴ります。

マガジン

  • 彼シリーズ

    彼との思い出、心情などを綴ったものたち

最近の記事

季節が終わるとき

練習していた言葉たちを、全くスラスラと発せない時こそ人間の真価になり得ると思う。 昨晩も、何ヶ月も悩んで数日間練習していた台詞が頭の中でぐちゃぐちゃになって、端的に終わるはずだった私のターンが気づけば20分30分になっていた。 お別れしますか。と。 結論ファーストで切り出せたことは個人的に良かったと思う。それ以外は全くダメ。 悩み、苦しみ、自分が自分で居られなくなるような闇、侵蝕してくるそれらを感じ、凛として挑んだ最終決戦。 儚く、いとも容易く、背水の陣は瓦解してし

    • スーパーガールクラッシュとは

      ガールクラッシュ(ガルクラ)とは、同性にも衝撃を与えるほど魅力的な女性、女性が憧れるようなカッコいい女性を意味する言葉です。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 要は女が惚れる女、をガールクラッシュと呼ぶらしい。 私がその言葉の本質を際限なく実感した瞬間は、中学生の頃だったと思う。 平成のアイドルサイボーグとも呼ばれるソロアイドルのステージ映像をYouTubeでなんとなく観たとき。 古臭い映像。何千人何万人の観客を1人の少女がくるくる表情を変えて楽しませ

      • 乙女は特別がほしいだけだった

        毎日あなたのことを想って泣くの。泣いて翌日腫らした眼をなんとか誤魔化すためにいっぱい寝ちゃったって言うの。 その時の私、苦虫を噛んだような顔してると思うんだけど、バレてないみたいでよかった。 私はあなたじゃないとダメなのに、あなたは私じゃなくてもいいことにたま〜に気づいて我に返るの。 危なかった。また勘違いしちゃうところだった。 恋人みたいなことをしたいし、乙女みたいに扱ってほしいんだけど。そんなの本当の恋人みたいで申し訳なくなるの。 お花畑も、イルミネーションデー

        • 終わっても終わらなくても

          甘い甘い夢のような時間をいつしか苦しく虚しい時間だと思うことが増えた。 今はもはや何も感じない領域にまで到達してしまって、自分という人間が怖い。 いずれ終わる短いスイートタイム、だと思ってしまえば前と比べて幾分か楽になった。 あなたとの甘いラストは見据えていないと言えば私が悪く映るかもしれないが、ひと夏の恋と言ってしまえばマシに聞こえるだろう。 結婚願望があるかないか。どういう人生設計を描いているのか。 こういった類の話は食い違えば食い違うほど後に後悔を産むと知って

        マガジン

        • 彼シリーズ
          10本

        記事

          植物園に行かなくなった理由

          私は花の名前なんて全然詳しくないし、貰ったとて「おお、花か」ぐらいのものだと思う。 それでも大学生で在った4年間は、結構な頻度で植物園に訪れたと思う。それもあちこち行った。 扉を開けるとムワッと感じられる全てから花や草の匂いがして、ちょっと外より蒸し暑くて、眼前には色とりどり可愛い表情をした花たちが現れる。 普段道端に咲いている花なんかには目もくれない性分だが、植物園はそれらを見ることしかできない。それらが見てくれ!と私の前に立ちはだかるのだから。 博物館や科学館みた

          植物園に行かなくなった理由

          黒いオマエと気だるい夏

          この夏、1番飲んだのは勿論アイス珈琲。今も携帯とタバコ両手に口でアイス珈琲飲んで夏の怠さと水気を飛ばしている。 アイス珈琲が赤黒く光を反射させるのが好きだ。中の氷がテラテラと煌めき、容器が結露で新たな水分を創り出し、足元に滴る。 私の暑すぎる夏を生き延びるための常備薬。種類によって多少の誤差はあれど、総じて好きだ。夏にしか飲まないが、通年好きでいる自信がある。 オマエと私の始まりはなんだったかな。たしか我々は「格好がつくから」という理由だけで繋がり始めた気がする。 「

          黒いオマエと気だるい夏

          センチメンタル自分、ぶっ倒れろ

          この頃仕事、恋愛、友達。耽ってしまうことが多い。お陰様で老けてしまった。 大きな野望を持ってオギャーと産まれてきた自分は、わずか5年ほどで死んでしまったらしい。 18の歳まではなんとか、なんとか食らいついた。今では信じられない頑張りを見せた。 19の歳でポッキリ、内の内に秘めていた炎が消えた。遊んで、サボって、時を刻むだけの数年間を過ごした。 22の歳でロウソクほどの灯りが心の臓を照らし、全部ぶっ潰す!の気持ちでがむしゃらだった。 24の今、ロウソクごと粉々になって

          センチメンタル自分、ぶっ倒れろ

          大号泣で大事故

          つい先程までずーっと、計3時間は泣いていました。いい大人が、えんえん声を出して泣いていました。 私が些細なことで不安に思ってしまうのも、こうして夜な夜な涙が止まらないのも、全てあなたがあの子のことをまだ愛しているからですよ。 私のことを好きだと言ってくれるあなたは、いつもどこか自信なさげにその言葉を呟きます。 私の「だいすき」に、あなたは「すきだよ、」と。 もう私が1番じゃない恋愛には飽きたんです。いずれ、あの子を私が越える時がくるかもしれない。こないかもしれない。こ

          大号泣で大事故

          髪切ろうかな、伸ばそうかな、とか

          彼はボブが好きらしい。ボブサップの方じゃなくて、髪型の方。でも私はロングが好きで、うーーーーん。 「ロングとボブどっちがいい?伸ばそうかな」みたいなこと聞いたけど、本音はどっちも似合ってるから決めがたいとか言ってほしかった。 「ボブが好きだけど、恋人ならどっちでも良くなっちゃう。ロングだった時期の写真を見返して、伸ばす予定ある?とか聞いちゃうな」らしい。 あ〜〜また元カノちゃんの話ですか。最愛の。明らかに目を見れなくなって、言葉に詰まって、景色見てるフリして誤魔化してた

          髪切ろうかな、伸ばそうかな、とか

          幸せな恋愛

          当人にとって幸せであればそれで良い。そのハードルや分類がそれぞれであるべきである、と思う。 先日、胸がいっぱいになるような、そんな恋愛映画を観た。幸せなやつ。 当方柄にもなくロマンチストなため、終始波のある感動を覚えていたことを憶えている。 そんな幸せな恋愛映画で、主人公のいわば“ふたり”とそうでない幸せになれなかった“ふたり”がいた。フォーカスされるべきではないのだろうが、後者のふたりの視点が苦しくてどうしようもなくて、素直に幸せだと言えなかった。 初恋の人をずっと

          幸せな恋愛

          ROCKな妹

          私は巷ではシスコンと名高いのですが、最近になってようやくその自覚が芽生えてきました。世間一般で言うところの姉妹とは、その像がかけ離れすぎていると気づきました。 妹は私の3歳下で、幼少の頃からよく2人で遊んだものです。おままごと、バドミントン、なわとび、バレーボール、キャッチボール。運動が多すぎるな。私は運動嫌いなんですけど。 私が妹をこの上なく愛するようになったきっかけ、要因は様々ですが、1番はだれよりもロックだからです。ROCKの方のロックです。 私はゲーム、アニメ、

          夏、早朝にて

          家族旅行で伊勢志摩に来ました。現在AM4:30。星のテラスという場所には浴衣姿の私1人。 日の出と共に海の水面がキラキラ宝石を作り出して、この世界に私1人。そんな幻想を抱きそうになりました。 夢の中から脱出できていない母も兄も妹も全員ホテルの部屋に置いてきてしまって少し申し訳ない気持ちと一緒に。 黄昏と誰そ彼。これらの関係性が好きなのですが、もっぱらそのようなしんしんとした気持ちに浸っていました。 波が寄せてきて戻って、その音らが耳のすぐ近くに感じられ、ああなんて、な

          夏、早朝にて

          愛おしいとその裏と

          隣で映画を見ている横顔、車を運転している時の横顔、なにかを写真におさめている時の横顔。 私を愛でている時の声、気だるい時の声、カッとなった時の声、笑い声。 愛おしい人、という名称がこんなにも似合う。愛おしくて、切なくて、隣でそっと泣きそうになって。100パーセントの愛ではないかもしれないが、120パーセントの恋ではある。 楽しくて、嬉しくて、恋しくて、幸せで、哀しい。ほんの少しの悲しさが、ずっと、抜けない。私の心の隅の隅、炭ほどの小ささで、ずっと。 自信家で能天気な私

          愛おしいとその裏と

          本を読むということ

          カツセマサヒコさんの最新作である「ブルーマリッジ」を読みました。一気読みでした。気づけば夜が明けていましたが、そんなことはどうでも良かったのです。 かつて本の虫であった私が、この7〜8年の間、一切本を読むことをしませんでした。どれも最初の2頁ぐらいは頑張れば読めるものの、その先は怖くて恐ろしくて、どうにも読めませんでした。 小学生の頃から高校2年の春まで、本が好きで本のために生きる、そんなような学生時代でした。海外の未だ和訳されていない文献も、流行りの小説も、全てを愛して

          本を読むということ

          漢気 go to hell

          職業柄、漢気という言葉を信条にしている節がある。私は女ではあるが、女だからと言って舐められるわけにはいかない。 周りのムキムキとした野郎どもに負けないために、わざと口調を荒くしてみたり試行錯誤したものだ。 笑う時は豪快に笑い、声は大きく、文句なんて言われた日には睨み返してやるぐらいの漢気。自称漢気。 それが間違った頑張り方だと知ったのはつい最近だが、そのことに気づかせてくれた彼は何も知らないような顔をしている。 舐められないために漢の真似事をしていたら、それと同じかそ

          漢気 go to hell

          紫陽花の貴婦人

          に出会ったのです。本当です。 夏、夕空の下でとぼとぼひとり散歩をしている時でした。 その気温と湿度のせいで呼吸もままならないまま、どこに行くでもなくただ歩いていました。 老夫婦と大きな犬が2匹、前からこちらに進んできたというのに、上手く目を合わせることができませんでした。大きな犬は2匹とも賢そうでした。 そこから車が数台、私に風を起こしながら横切り、若い恋人が嬉しそうにアパートに入っていくのを見送りました。夏だ、と思いました。 1年はここに住んでいるというのに、初めて

          紫陽花の貴婦人