季節が終わるとき
練習していた言葉たちを、全くスラスラと発せない時こそ人間の真価になり得ると思う。
昨晩も、何ヶ月も悩んで数日間練習していた台詞が頭の中でぐちゃぐちゃになって、端的に終わるはずだった私のターンが気づけば20分30分になっていた。
お別れしますか。と。
結論ファーストで切り出せたことは個人的に良かったと思う。それ以外は全くダメ。
悩み、苦しみ、自分が自分で居られなくなるような闇、侵蝕してくるそれらを感じ、凛として挑んだ最終決戦。
儚く、いとも容易く、背水の陣は瓦解してしまった。好きだからしょうがないよねん♪と心の中のギャルがフォローしてくれる。
無血な先輩にようやく押してもらった背中も無様に泣いている。申し訳ない。
思えば、彼との約5ヶ月間は短いながらも充実していた。毎日のように会っては、生産性のない時間を共に過ごし、恋人のようにはなれたのだと思う。
ヒロインにこそなれなかったが、ひと夏の淡い恋だと思えばそんな気がする。
実際には終わっていないが、私の中で1度終わっている。
真摯に向き合っている私に対して失礼ではないか、という憤慨もあり、また差し伸べてくれたその手に感謝もあり。
全く分からなかったが、好きなのに別れるという決断をした大人たちは、きっと苦渋を飲んで、飲んで、飲んで英断したのか。
季節は終わらないし、ループする。ただ、あの人との季節は終わったし、あの人との3回繰り返した季節も終わった。それと同じ。
付き合ってるのに片想いとかいうBerryz工房のアホみたいな曲に泣かされる日がくるとは。一周まわって面白い。
貴方との春、夏はここで終わり。
ループはしないが、変わった私たちで迎えることはあるかもしれない。関係性がどうであれ。
ありがとう。夏の恋人。